火花
を観ました。
若手コンビ「スパークス」としてデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永は、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷と出会う。
神谷は、「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。その奇想な芸風と人間味に惹かれ、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出る。
神谷はそれを了承し、その代わり「俺の伝記を作って欲しい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴る。
2年後、徳永は、拠点を大阪から東京に移した神谷と再会する。
二人は毎日のように呑みに出かけ、芸の議論を交わし、仕事はほぼないが才能を磨き合う充実した日々を送るように。
そして、そんな二人を、神谷の同棲相手・真樹は優しく見守っていた。
しかし、いつしか二人の間にわずかな意識の違いが生まれ始める―
「笑い」に魅せられ、「現実」に阻まれ、「才能」に葛藤しながら、「夢」に向かって全力で生きる二人の10年間の青春物語。
板尾創路監督作品です。
原作は勿論又吉直樹の芥川賞作品です。
最近では珍しく映画に備えて原作を読んでいた映画でした。
因みにあまりに原作が良かったのでかなり熱い想いを持った状態で見に行きました。
原作は読みながら何度も泣きました。
ベタですが自分もバンドでの成功を夢見て過ごしていた期間が長かったので、
結構お笑い目指す人と近いのですよね。
その点でグサグサと来るものが沢山あり、
コレは多くの芸人さんやそれを目指している人、目指していた人を救う作品だと思いました。
それをトリッキーな作品しか撮ってこなかった板尾創路が映像化すると言うので正直不安はありました。
お笑いシーンへの信頼度はありますが、もっとその分野出身の監督に撮って欲しいかな?なんて思ってました。
しかしそれは単なる老婆心でした。
ちゃんとした青春映画でした。
冒頭のプロローグ的な、2本の線が交差して伸びていくだけの映像のない会話だけのシーン。
象徴的で映画らしい良いアレンジだと思いました。
そこから熱海の営業シーンへ、映画な雰囲気プンプンの質感の映像にクレーンでのカメラワークもいい感じで。
結果、原作で受けた印象はかなりの再現率だった気がします。
吉祥寺のシーンの情緒はかなりのレベルでたまらなかったです。
こういう20代の青春ってあるよなー、ってものすごく親近感を抱きました。
そして歩いている間に何でもない夜が開けていく夜明けの雰囲気、貧乏同棲の雰囲気。
どれもちゃんと湿度感を持って描かれていて好印象でした。
アポ無しで電話して、今から飯行こうか?みたいな暮らし。
自分の大学生時代はもっとたくさん集まれるこんな感じでしたが。
社会に出てこういう暮らしをするのって非常に難しく怖いと思います。
そういうチャレンジなのか、現実逃避なのかはわかりませんが、
夢を追う人には避けられないシチュエーションだと思います。
この手のモノをこの情緒で描かれると猛烈に儚く切ない気持ちになります。
テンポと言うか編集と言うか、起承転結は非常に上手で、
必要な要素を必要な尺で丁寧に描いている印象でした。
ほぼ原作に忠実ですが、伝えるテーマによっては若干のアレンジで上手いこと表現してました。
主演の菅田将暉はちょっと原作のイメージと違いますが、
大阪出身だしお笑い好きな印象あるので、ネームバリューも考えて良いキャスティングだと思いました。
個人的にはもう少し大人しいナイーブな人間の感じを出して欲しかったですが。
師匠役の桐谷健太は原作を読んでいた時の神谷とかなり近いイメージですね。
やはり大阪出身で漫才をやる役としては良かったでしょう。
もっと強烈にエゴイスティックに振る舞っても良かったかな、とも思いましたが。
神谷の優しい部分が強調されている感じでした。
意外と今作の三番手は2丁拳銃の川谷修士でした。
リアル漫才師ですし、ザ・ツッコミな芸人だしキャラとしてはピッタリですが、
菅田将暉とのリアルな年齢差はどうかな~と見る前から気になってました。
川谷が若作りすることで何とか成立させてる感じですが、
やはり親子くらい年の差がある2人の同級生設定は若干きつかったですかね。
違和感としては菅田将暉の若々しさな感じが原因だとは思いますが、作品としては彼がメインですからね。
まさかの演技派で原作より大分目立っていました。
桐谷健太の彼女的役を大好きな木村文乃がやってました。
原作同様優しく見守る様なまさに兄さんの彼女の雰囲気はちゃんと出ていました。
あー、ちょうどイメージしてた感じ、みたいな気分になりました。
その点で今や売れっ子の木村文乃のわかり易い良さは使っておらず、新たな魅力を引き出してる感じで素晴らしかったです。
おっとりとしてて、変顔もしてて、下ネタもあって更に好きになりました。
三浦誠己は元芸人俳優としてこの役にピッタリ過ぎると思いました。
ちょっとチンピラ芸人風の佇まいが非常に好みでした。
それにしても強烈な青春を新たな切り口で描いた作品ですね。
原作で幾つか胸に突き刺さったフレーズがありましたが、
「捨てれることだけを誇らんといてください!」
のシーンはたまらないです。
自分も媚びることを嫌がりとがるタイプなので、こうして生身の人間の声で言われると泣きそうでした。
笑いは同時代に舞台に立った全員の共同作業、という考え方も素晴らしすぎて泣きそうでした。
音楽も笑いもそうだと思いますが、何かと比較して、
真似しよう、目指そう、と思ったり、自分は違うことやろう、と思ったり。
確かに単体では成立しない全員の共同作業だと思います。
原作は比較的読んだばかりですが、もう一度読みたい気分になります。
コレは純粋に夢を追う人々のバイブルになりうる作品だと思います。
そんな素晴らしい力を持った作品だと思いました。
自分はまだまだ夢を追っていこうと、改めてそんな刺激をもらいました。
そして舞台に立つすべての人々を尊敬して生きて行こうと思います。
そんなわけで8点。
を観ました。
若手コンビ「スパークス」としてデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永は、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷と出会う。
神谷は、「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。その奇想な芸風と人間味に惹かれ、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出る。
神谷はそれを了承し、その代わり「俺の伝記を作って欲しい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴る。
2年後、徳永は、拠点を大阪から東京に移した神谷と再会する。
二人は毎日のように呑みに出かけ、芸の議論を交わし、仕事はほぼないが才能を磨き合う充実した日々を送るように。
そして、そんな二人を、神谷の同棲相手・真樹は優しく見守っていた。
しかし、いつしか二人の間にわずかな意識の違いが生まれ始める―
「笑い」に魅せられ、「現実」に阻まれ、「才能」に葛藤しながら、「夢」に向かって全力で生きる二人の10年間の青春物語。
板尾創路監督作品です。
原作は勿論又吉直樹の芥川賞作品です。
最近では珍しく映画に備えて原作を読んでいた映画でした。
因みにあまりに原作が良かったのでかなり熱い想いを持った状態で見に行きました。
原作は読みながら何度も泣きました。
ベタですが自分もバンドでの成功を夢見て過ごしていた期間が長かったので、
結構お笑い目指す人と近いのですよね。
その点でグサグサと来るものが沢山あり、
コレは多くの芸人さんやそれを目指している人、目指していた人を救う作品だと思いました。
それをトリッキーな作品しか撮ってこなかった板尾創路が映像化すると言うので正直不安はありました。
お笑いシーンへの信頼度はありますが、もっとその分野出身の監督に撮って欲しいかな?なんて思ってました。
しかしそれは単なる老婆心でした。
ちゃんとした青春映画でした。
冒頭のプロローグ的な、2本の線が交差して伸びていくだけの映像のない会話だけのシーン。
象徴的で映画らしい良いアレンジだと思いました。
そこから熱海の営業シーンへ、映画な雰囲気プンプンの質感の映像にクレーンでのカメラワークもいい感じで。
結果、原作で受けた印象はかなりの再現率だった気がします。
吉祥寺のシーンの情緒はかなりのレベルでたまらなかったです。
こういう20代の青春ってあるよなー、ってものすごく親近感を抱きました。
そして歩いている間に何でもない夜が開けていく夜明けの雰囲気、貧乏同棲の雰囲気。
どれもちゃんと湿度感を持って描かれていて好印象でした。
アポ無しで電話して、今から飯行こうか?みたいな暮らし。
自分の大学生時代はもっとたくさん集まれるこんな感じでしたが。
社会に出てこういう暮らしをするのって非常に難しく怖いと思います。
そういうチャレンジなのか、現実逃避なのかはわかりませんが、
夢を追う人には避けられないシチュエーションだと思います。
この手のモノをこの情緒で描かれると猛烈に儚く切ない気持ちになります。
テンポと言うか編集と言うか、起承転結は非常に上手で、
必要な要素を必要な尺で丁寧に描いている印象でした。
ほぼ原作に忠実ですが、伝えるテーマによっては若干のアレンジで上手いこと表現してました。
主演の菅田将暉はちょっと原作のイメージと違いますが、
大阪出身だしお笑い好きな印象あるので、ネームバリューも考えて良いキャスティングだと思いました。
個人的にはもう少し大人しいナイーブな人間の感じを出して欲しかったですが。
師匠役の桐谷健太は原作を読んでいた時の神谷とかなり近いイメージですね。
やはり大阪出身で漫才をやる役としては良かったでしょう。
もっと強烈にエゴイスティックに振る舞っても良かったかな、とも思いましたが。
神谷の優しい部分が強調されている感じでした。
意外と今作の三番手は2丁拳銃の川谷修士でした。
リアル漫才師ですし、ザ・ツッコミな芸人だしキャラとしてはピッタリですが、
菅田将暉とのリアルな年齢差はどうかな~と見る前から気になってました。
川谷が若作りすることで何とか成立させてる感じですが、
やはり親子くらい年の差がある2人の同級生設定は若干きつかったですかね。
違和感としては菅田将暉の若々しさな感じが原因だとは思いますが、作品としては彼がメインですからね。
まさかの演技派で原作より大分目立っていました。
桐谷健太の彼女的役を大好きな木村文乃がやってました。
原作同様優しく見守る様なまさに兄さんの彼女の雰囲気はちゃんと出ていました。
あー、ちょうどイメージしてた感じ、みたいな気分になりました。
その点で今や売れっ子の木村文乃のわかり易い良さは使っておらず、新たな魅力を引き出してる感じで素晴らしかったです。
おっとりとしてて、変顔もしてて、下ネタもあって更に好きになりました。
三浦誠己は元芸人俳優としてこの役にピッタリ過ぎると思いました。
ちょっとチンピラ芸人風の佇まいが非常に好みでした。
それにしても強烈な青春を新たな切り口で描いた作品ですね。
原作で幾つか胸に突き刺さったフレーズがありましたが、
「捨てれることだけを誇らんといてください!」
のシーンはたまらないです。
自分も媚びることを嫌がりとがるタイプなので、こうして生身の人間の声で言われると泣きそうでした。
笑いは同時代に舞台に立った全員の共同作業、という考え方も素晴らしすぎて泣きそうでした。
音楽も笑いもそうだと思いますが、何かと比較して、
真似しよう、目指そう、と思ったり、自分は違うことやろう、と思ったり。
確かに単体では成立しない全員の共同作業だと思います。
原作は比較的読んだばかりですが、もう一度読みたい気分になります。
コレは純粋に夢を追う人々のバイブルになりうる作品だと思います。
そんな素晴らしい力を持った作品だと思いました。
自分はまだまだ夢を追っていこうと、改めてそんな刺激をもらいました。
そして舞台に立つすべての人々を尊敬して生きて行こうと思います。
そんなわけで8点。