メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

68、ウィーン探訪記

2013年04月13日 | 魂の旅立ち
朝食付きのホテル。
この旅では既にあるある。
欧州人の大群に囲まれながら独りアウェイの空気感、居心地悪い空気感の中の朝食。

給仕の方が女装したほっしゃん。さんの様で面白くて目が離せなかった。

そうしてウィーン探訪を開始。
前日はゆっくりとウィーンの空気を吸うことに費やしてしまったので今日は沢山観光をすることに。

モーツァルト像を観て、王宮を観たりして。

何となくツーリストインフォメーションへ。
知らずに行ったがそこにはウィーンの主要なコンサートのチケットを扱ってるカウンターがあった。
何かそこそこのコンサートのチケットが手に入ったらいいな・・・程度の軽い気持ちでカウンターへ。
カウンターの人は日本人に見えるけど違うかもな・・・と思ったら日本人で当然日本語が通じて本当に助かった。
当然僕以外の人にはドイツ語でやりとりしていたので。
その方にオススメのチケットを聞いた、すると楽友協会ホールでそこそこの格のコンサートがあると聞かされる。
しかも値段がかなりリーズナブル。
僕が幼い頃からニューイヤーコンサートを観てきた人間だというとなおさら勧められた。
もう迷わず買った!興奮で鼻息が荒くなる程。
ドレスコードを気にして敢えて控えめな席にしたが、僕にとっては最高のプラチナチケットだった。
予想外にハードルが高くなくてまさかこんなチケットが手に入るとは夢にも思わなかった。

ちょっと移動してシェーンブルン宮殿を観光。
とても晴れて庭園では多くの人々がピクニックをしてて、とても素敵な環境だった。
森に入るとリスが居てびっくりする。
しかし歩いてるとリスだらけ。
数十分歩いた頃には「リス邪魔だな!道に出てくるなよ!」なんて思うほど。
しかし大量にいた野生のリスは僕を興奮させるに十分な可愛さと癒しを持っていた。

美術史美術館や公園にある著名な音楽家たちの像を見て廻った。
どれも高品質でいい観光名所だった。

マクドナルドで早めの晩御飯。

そしていよいよ楽友協会ホールへ。
実際にそこに行っただけで泣けそうなほど嬉しかった。

コンサートが始まる前に興奮してそわそわしてしまった。
サイドの仕切りのある席。
仕切りの間には10人ずつ程の席がある。
目の前に座った紳士淑女な老夫婦が一人でこんな所に居る日本人の若者を珍しがる感じで話しかけてくる。
今まで交流したどの欧州人とも違った感じだった。
「日本は今桜が咲いてるか?」
「そんなに長く旅をして仕事は?日本人がそんなに休んだら生きていけないだろう、日本人は休まない国民だから(笑)」
「日本には何回か行ってる、去年は神戸と大阪と京都に行った、とても綺麗だったよ」
「日本は最近首相が変わったな、新しい首相はどうだ?君はどう思ってる?」
なんて話をした。
流石こういう場所で出会う人々は高尚だなぁと感心してとても嬉しかった。

そうして始まった全曲モーツァルトのコンサート、非常に高品質でちょっとマニアックな選曲。
音が素晴らしく良くて泣けた。
とにかくずっと感動していた。

前日同様コンサートの余韻にどっぷり浸りながら時間をかけてポツポツと歩いて帰った。
なんだか人生で体験したことのないような高揚した心境だった。


僕は3歳でピアノを始めた、自分の意志で始めた。
文字より先に音符を覚えた様な人生だった。
日本の偉人なんかより先にベートーヴェンやモーツァルトを認識した人生だった。
だから普通の子供と違ってアメリカなんかより先にオーストリアを認識した人生だった。
ウィーンこそがこの世界の中心の様に思って生きてきた人生だった。
日本のどんな都市もよりもウィーンが特別と思って生きてきた人生だった。
いつかは自分もウィーンに移り住むのだと無邪気に思っていた人生だった。
いつしか日本でしょうもない人生に埋もれたのだが、色々あってこうして遂にウィーンにやってきた。

3歳の時、母に連れられ初めてピアノの先生の家に行った日のことを鮮明に覚えている。
そこで習ったことも鮮明に覚えている。
それからホント長いこと紆余曲折を経たが、生きているうちにこうしてウィーンに来ることが出来た。
36年かかったが、人生は走馬灯のように蘇りここに一つの完結を見た気がする。

幼い頃から観てきた楽友協会ホールのコンサート。
今日遂にそこでモーツァルトコンサートを観るという経験をした。
自分がそこに居たということが、偉人たちと同じウィーンの空気を吸っているということが、とにかく感慨深くて仕方なかった。

本当に長い遠回りだったなぁ・・・ホント遠回りこそ僕の最短の道なのだなぁ、そんな事を考えていた。

コレが僕の一つの完結なのだとそんな気がしてたまらない。
ちっぽけなこんな僕の人生、それでも人生とはなんて重たいものか。
ただこの街に辿り着いただけの事だが、人生とはなんて重たいものか。


ウィーン最後の夜は更けた。

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