メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

小さいおうち

2014年01月30日 | 映画
小さいおうち を観た。


すべては、数冊の大学ノートから始まった。健史(妻夫木聡)の大伯母で、先日亡くなったばかりのタキ(倍賞千恵子)が遺した“自叙伝”だ。
大学生の健史は、一人暮らしのタキの身の回りの世話に来るたびに、執筆途中の原稿を読むことを楽しみにしていた。
そこには、まるで知らない国のような、昭和初期の日本が描かれていた。
物語は、タキが山形から東京へ奉公に出るところから始まる。
小説家の屋敷に1年ほど仕えた後、タキ(黒木華)は東京郊外の平井家に奉公することになる。
赤い三角屋根の小さいけれどモダンな家には、玩具会社に勤める雅樹(片岡孝太郎)と妻の時子(松たか子)、まだ幼い一人息子の恭一が暮らしていた。
初めて会った瞬間から、若く美しくお洒落な時子に、強い憧れを抱くタキ。
時子は気さくで優しく、東京の言葉やマナーなど何でも教えてくれた。
時子に尽くすことが何よりもうれしいタキは、恭一が小児麻痺で倒れた時も、毎日おんぶして、日本橋の病院へ通った。
新年、正月の準備が整った平井家に雅樹の会社の社長と社員たちが集まり、日中戦争と金儲けの話で盛り上がる。
中に一人だけ、話の輪に入れない男がいた。
デザイン部門の新入社員、板倉正治(吉岡秀隆)だ。
上司から逃げ出した板倉は、恭一の部屋で眠ってしまう。
客が帰り、雅樹も寝た後、ようやく目覚めた板倉は、タキの作った雑煮を食べながら、時子と映画や音楽の話で意気投合する。
その日以降、板倉はレコードを聴きに平井家を訪ねては、時子と楽しそうに話していくのだった。
次第に、時子と板倉の“密会”の噂が広がり始める。
贅沢を戒める国の政策が、人々の目を厳しくしていた。
戦争は激化し、ついに板倉にも召集令状が届き、板倉は平井家に別れを告げにやって来る。
翌朝、ただならぬ様子で出かけようとする時子を見て、板倉に会いに行くのだと直感したタキ。
迷いに迷った末に、タキは時子を押しとどめ、ある一つの重大な提案をもちかける・・・


って話。


山田洋次監督作品です。
昨年、東京家族という映画を上映したばかりなのになかなかハイペースで映画作りしています。

そのせいか、キャストの過半数が東京家族と同じでした。
東京家族を降板していた室井滋も出てました。

昭和初期が舞台。
死んだ大おばあちゃんの自伝から繰り広げられる回想ムービー。

女中をしていた若いころ、
主に奉公先で出会った美しい奥様の事を語っている。

基本的には絵本の様に語られる優しい物語。

戦時下での許されざる不倫の話ですが、
回想シーンでの人々の話し方がどこか演技じみていて。
昭和初期がの口調がそう感じさせているのかもしれませんが。
それは恐らくわざとそういうふうに演出されていて。

それが実写の物語として表現されていても、
どこか絵本を見ているような独特の空気を創りだしていました。

現代のシーンは普通だったのでこの辺は非常にハイレベルな狙いだったと思います。

それを狙いを成功させたのは松たか子の演技力だと思います。
近頃はこの辺の時代の役をやったり、結構過激な役をやったり幅を広げていますが、
今作でも実に見事な存在感を示していました。
昭和初期の淑女を見事に演じていました。

主役の黒木華は最近急激に売れているので、
芸能界で誰か権力ある人に気に入られプッシュされてるのかしら?
とか思ってしまいますが。
演技は上手いと思います。
決して美人では無いですがとてもオーラを持ってますね。
素朴な顔をしているのでこういう時代劇には向いていますね。
それでいて結構オシャレな顔もしてる気がするので、
小林聡美あたりと絡むような作品にも出て欲しいですね。
その辺の後継者になって欲しいですね。

ジュンとホタルが揃って出ています。
吉岡秀隆が20代半ばの役ってのはちょっと違和感を感じましたが、
確かに昭和の人って老けてる気がしますね。

物語は展開して結構壮大な展開になります。
僕と同じような世代の人がお年寄りから戦争時代の話を聞いて、
その足跡を辿る。
この辺はちょっと永遠の0に通づるものがあります。

これといった感動は無く淡々と進んでいく物語ですが、
最終的にはその戦時下の苦しみを現代の人々が知る展開。
このへんで急に感動します。

そしてなんといってもエンドロールの後ろで流れていた無声映画のようなやり取りに涙でした。

とても素晴らしい終わり方だったと思います。

どういう事情があってエンドロールを凝る映画と何もしない映画があるのかは知りませんが、
僕はエンドロールでも凝っていて欲しいです。
ここも貴重な表現スペースだと思うので。

山田洋次監督にハズレは無いですね。
昔は王道映画を撮る監督の印象が強かったですが、
この歳になってハイセンス系映画を撮るようになってきた気がします。

でもよくよく思い出せば昔からハイセンスだったって事ですね。
自分がそれに気づけて無かっただけな気がします。


そんなわけで7点です。


黒澤明監督作品を生で見れなかった僕ら世代は可哀想である。

しかし山田洋次監督作品を生で見られる世代は幸せな気がするので、
こういう気づきにくい幸せを噛み締めておこうと思います。

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