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「ごらん、世界は美しい」

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ディーパンの闘い

2016年02月14日 | 映画
ディーパンの闘い
を観ました。


スリランカの戦火から逃れるために偽造パスポートと見ず知らずの女性と女の子を連れて擬似家族としてパリ郊外に移住してきたディーパン。
そこで団地の管理人をしながらひっそりと暮らしたかったディーパンだが、そこは若者ヤンキーやギャングたちの溜まり場だったというお話です。


予告編が気になって観に行きましたが。
名画でしたねー。
魂揺さぶられましたよ。

ざっくり言ってしまえば、昨年日本でヒットした海街diaryのフランス版って感じです。
それを過激に怖くした感じですが、
本質はやはり家族で無いものが共同生活をしながら本当の家族になっていく物語です。

とかくドラマチックに描くこともなく、
説明シーンも全然無く、日常のシーン、シーンを切り取って見せていく様な手法です。

スリランカの言葉(タミル語)と片言のフランス語と片言の英語で見せますが、
もうタミル語には字幕が入ってなかったり、フランス語のシーンにも字幕は無かったり。

くどいですが、言葉を大事にする僕ですが。
なんというか複数の言語が入り混じった時の感覚ってこういう感じなんですよね。
わかるやり取りとわからないやり取りでコミュニケーションを取るものですよね。

ディーパンたちがフランス語を勉強してる感じも良かったです。
自分にも刺激になりました。

フランス語が苦手な妻役ヤリニはバイヤーの親分の家の家政婦をしますが、
フランス語が話せないからおとなしいと思われるが、話せ!と言われてタミル語とフランス語で、
お互い何を言ってるかふんわりしかわからないままお互いの身の上話をするシーンとか良かったですね。

スリランカとフランスのカルチャーギャップに悩む場面もいいですね。
フランス人は面白い事言ってないのに笑いながら話をするのは何故だ?
というディーパンにヤリニは「あなたはスリランカ人の中でも堅物で面白くないから場所の問題じゃない」って言うシーンは最高でした。

流石に順応が早くフランス語もいち早く覚える娘役ですが、
底知れぬ不安や寂しさを抱えてるのは良かったですね。
ヤリニとはさほど歳も離れてないようで、衝突してしまうし。

頑固で堅物で不器用な感じのディーパンを演じてたアントニーターサン・ジェスターサンは調べたら役者ではないのですね。
元兵士から政治活動をしていて今はその手の本を執筆してる作家なのですね。
ガチのディーパンなわけでほぼドキュメンタリーですね。
納得の迫真さと完成度でした。

ヤリニを演じてたカレアスワリ・スリニバサンも本当に素晴らしかったです。
薄汚い難民姿から、ちょっとキュートな雰囲気も出す演技もあって。
自分から見たら決して美人じゃないですが何か凄く惹かれるものがありましたね。
必死に生きようとするような表情、本気で怯える姿とかもう超演技派でした。

バイヤーを演じてたヴァンサン・ロティエもハンサムで怖くて良かったです。
好みのタイプの役者さんでした。

叙情的な映像と断片的な編集と説明の無い展開とで完全に好みのハイセンス映画でした。

昔のイニャリトゥ作品を思い出させる様なエネルギーがありました。

スリランカ人だしフランス語片言だしヤンキーたちがずっと奴隷的扱いをしていたディーパンですが、
めちゃくちゃ怒らせてはいけないガチの戦争を生き抜いてきた兵士でした。

コレはいい映画でしたね。
おじさんになって魂揺さぶられる映画って減るので、ありがたいです。
思い出し泣きしそうです。


そんなわけで9点です。

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