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アルキメデスの大戦

2019年07月27日 | 映画
アルキメデスの大戦
を観ました。


1933年(昭和8年)。欧米列強との対立を深め、軍拡路線を歩み始めた日本。海軍省は、世界最大の戦艦を建造する計画を秘密裏に進めていた。
だが省内は決して一枚岩ではなく、この計画に反対する者も。
「今後の海戦は航空機が主流」とという持論を持つ海軍少将・山本五十六は、巨大戦艦の建造がいかに国家予算の無駄遣いか、独自に見積もりを算出して明白にしようと考えていた。
しかし戦艦に関する一切の情報は、建造推進派の者たちが秘匿している。
必要なのは、軍部の息がかかってない協力者・・・。
山本が目を付けたのは、100年に一人の天才と言われる元帝国大学数学者・櫂直。
ところが櫂という男は、数学を偏愛し、大の軍隊嫌いという一筋縄ではいかない変わり者だった。
頑なに協力を拒む櫂に、山本は衝撃の一言を叩きつける。
「巨大戦艦を建造すれば、その力を過信した日本は、必ず戦争を始める」
・・・この言葉に意を決した櫂は、帝国海軍という巨大な権力の中枢に、たったひとりで飛び込んでいく。
天才数学者VS海軍、かつてない頭脳戦が始まった。
同調圧力と妨害工作のなか、巨大戦艦の秘密に迫る櫂。
その艦の名は、【大和】・・・。

山崎貴監督です。
日本のCGを使った映画では今やトップクラスと言えるでしょう。
CGだけじゃなくちゃんとドラマ部分のクオリティも高いのは素晴らしいと思います。

今作もいきなりトップギアな凄い戦闘シーンから始まります。
もちろん第二次世界大戦の太平洋の海戦ですが大和が沈められるシーンを描いていました。
パールハーバーやらタイタニックばりの凄い迫力のシーンでかなり見応えありました。
この大和の沈没で3000人が犠牲になったとの解説。
そこまでがプロローグですが、いきなりの掴みとしては見事です。

そこから時が遡り、舘ひろし演じる山本五十六や菅田将暉演じる櫂が大和建造をやめさせとうとするドラマでした。
僅か2週間後のミーティングまでに根拠や証拠を揃えて中止させなければいけないという。
タイム・クライムなドラマです。
やり取りは主にディベートなので法定モノの映画なんかと雰囲気は近いですかね。

めちゃくちゃ時間に追われているのにめちゃくちゃ邪魔されたり妨害されたり。
色んな作品のそれぞれの方式をパターン化させて名前を付けて来ましたが、今後はこういうのをジャック・バウアー式と呼ぼうかと思います。
24式よりは響きが良くて伝わりやすいと思うので。

かなり手に汗握る展開でずっと没入できるテンポ感は見事でした。
そして少しずつ痛快な突破口から突破していきます。
主人公はかなり曲者で超天才でその数学描写もエンタメに富んでいて、数学大好きな僕はかなり興味を惹かれました。

推進派が正直少将やられ感たっぷりな悪に描かれているのでもちろん主人公側が勝つ予感しかないのですが。
それなのに史実として言うまでもなく大和は存在し、しかも冒頭で沈没シーンから始まっているのです。
一体どんな複雑なルートを辿ってそういうオチに向かうのか?という適度な食いつきがありました。

タイムリミットが迫る中、もちろん過剰な困難を乗り越えていくのですが。
ある種のクライマックスがあるのですが、まさに数学が正義であるという方向でかなり痛快なのですが。
正直そこで終わっても成立しそうだったのですがその先が更にあり、序盤は単純構造な勧善懲悪モノと思って見ていましたが。
終盤はかなり高尚なイデオロギー闘争でした。

物語にずっとつきまわる当時の日本ならではの思想、驕り高ぶり戦争に向かっていく雰囲気。
ただ主人公の櫂を始め数人の人間は先見の明がありなんとか日本の破滅を防ごうとするのですが。
その防ぎ方がいくつかあるって感じでした。
そしてその結論はこの邦画としては大作な今作の結論にふさわしいものだったと思いました。

ところで最近ちょいちょいあるやつですが、またもやあのカメ止めの廃墟がロケーションに使われていました。
正直、カメ止めだ!ってなってちょっと集中力削がれます。

主人公の菅田将暉は天才数学者で曲者で堅物で熱血漢でした。
最初は数学を極めるために日本を捨てようとしていた人物なのですがもの凄い情熱でミッションを遂行していきます。
曲者では済まないくらい国のために頑張る理由はちょっとわからなかったです。
今となっては当時の軍国主義の中で現代的な思想を持ってる人間がいるだけで痛快ですね。

山本五十六役を舘ひろしが演じていました。
存在感抜群なのでキャスティング的には妥当でした。
流石にダンディズムな雰囲気は出てしまいますが、似てなくもない気がしました。
個人的には最後まで良い人なのか、悪い人なのかがわからない感じでした。
今まで正義の山本五十六像ばかり見てきたのでちょっと新たな一面を見た気がしました。

柄本佑が櫂の助手役でなんかとてもいい感じでした。
なんか想像以上に重要で主役に近いまさしく助演で、彼のキャリアハイくらいいい役でした。
ちなみにちょっとだけですが、角替和枝が出ていてここで共演してたのかって思い、なんか感傷的になりました。

大好きな浜辺美波がヒロイン的な、当時の財閥のお嬢様な役でした。
相変わらず可愛くて華があるのはもちろんですが、こういう昭和のお嬢様やらせてもかなりハマっていました。
さほどピュアな雰囲気でもなくお嬢様なプライドは持ったまま主人公を手助けするという独特の雰囲気でした。

笑福亭鶴瓶はすっかり名優な雰囲気ですが今作でも良かったです。

田中泯が悪役側でセリフも少なく、随分贅沢な使い方だなと思っていましたが。
ちゃんと終盤は重要な役でした。

小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功など豪華キャストでした。

映像も凄くてドラマ部分も面白くて。
史実をモデルにしたフィクションですが、もちろん登場人物や戦艦は史実にも登場するものなので非常に見応えありました。
想像以上にいい映画でした。
見終わった後ちょっとタイトルがもっと相応しいものがあったかも、とだけ思いました。


そんなわけで8点。

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