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母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

2019年02月25日 | 映画
母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。
を観ました。


2012年・春。最愛の母の火葬場で母の遺骨の前にたたずむサトシは、小さい母のかけらをポケットにそっとしまうのだった。
30代後半、漫画家になる目標がありながら、知人と営む塾の講師として働いていたサトシは、自分の母と永遠に別れる日が来るなんて、思ってもみなかった。
子供の頃から泣き虫で病気がちで、お調子モノだったサトシは、いつも明るく、優しく、パワフルな母に救われてきたのだった。
その母が突然がんを宣告されたのは2年前の春のことだった。それまで母が自分にかけてくれていた言葉を今度はサトシがかける番になる。「俺がいるから大丈夫だよ、お袋は必ず助かるから」―。サトシは母のためにがむしゃらになり、家族も戸惑いながらも見守るが、がんは進行していってしまう。弱気になりがちなサトシを笑顔にさせてくれたのは、母が病になってからよく家に来てくれるようになったサトシの恋人・真里だった。
2011年・秋。それまでの自宅治療から入院に切り替わる事になった母は、それでも気丈にふるまい、サトシと真里の結婚を後押ししてくれるのだった。
そして、2012年・春。ついに、その時が来てしまった。
病室に駆け付けたサトシは母の命がゆっくり消えゆく前に、「お袋……愛しとるよ。」と伝える。そして家族に見守られ母は安らかに旅立っていった。
一家の大黒柱の存在だった母と別れて、すっかり生きる気力を失っていたサトシ、そして父と兄。
それまでしっかりしていた父は酔っぱらって庭に大の字で寝転んだり、兄も母の壊れた形見の時計を肩身離さず身に付けていた。
だが、久しぶりに人気のない湖で男たち3人だけで集まった時、兄が熱い想いをぶつけ、3人はようやく新たなスタートをきる気持ちになれたのだった。 
2012年・秋。サトシは念願だった漫画家としてデビューを果たし、結婚した真里と東京に引っ越していた。
そして引っ越しがまだ落ち着いていない、ある日、一本の電話がかかってくる。
それは、サトシの人生を大きく変える、母からの“驚くべき贈り物”だった……。


大森立嗣監督作品です。
結構評価高い作品は多いです。

ちょっと地味な作品の雰囲気でしたがそんな大森立嗣監督作品なので見に行きました。
自分は結構母と音信不通なのですが、実際あっても照れて真っ向から絡んだりもしませんが、
メンタル的には相当マザコンなのでなんかそんな予感がして観てみました。

案の定、母の息子への強い愛、そんな母への強い思いの作品でした。
世代的にも自分と近くて、家の感じも親子関係の感じも妙に親近感でした。

幼い頃、過保護では無いけれどパワフルに息子のために尽くしていた母。
息子が育った後も仲良く楽しい日々を過ごしていたが、母が病気になり母の闘病を支える日々。
母への思いが強すぎて、母に死んでほしくないがゆえに無理させたりプレッシャーを与えてしまう感じ。
なんか微妙な難しさを描いていて、もしもなんて考えたくは無いですが、自分がそうなった時は気をつけようと勉強になりました。
病気の家族って当人に無理をさせてしまいがちなのですね。
それが病人では無く家族のエゴってこともあるのですね。

母の病気が奇しくも恋人との距離を近づける感じはとても家族ドラマで良かったです。
恋人なのに親身に母親の看病をする姿はとても微笑ましかったです。

母が死んでからの喪失感、主人公ばかりではなく、父や兄も同じように喪失感で。
でも言葉を超越して残された家族が立ち直ろうとする姿もジーンとしました。
クライマックスはなかなか情熱的な素晴らしいシーンでした。

映像は静と動がある中で伝わりやすい家族ドラマで。
時々長尺で動きのあるシーンが良い臨場感を生み出していました。

ごくごく普通なアラフォーの男性とその母と。
ちょっと特別っぽい展開はあれど家族像としては一般的で。
いろんな人が意外と共感する内容だと思いました。

主演の安田顕は今やトップ俳優で名作ばかり出ていますね。
毎作違った顔を見せて本当に役の幅が広いです。
今作はちょっと年よりは精神年齢が低いような、ちょっと臆病なタイプの男性で。
それでも母のためには迷いがない感じでとてもリアルなこの世代の弾性を表現していました。

母親役の倍賞美津子はが良かったですね。
強い母親像から弱々しい母親像まで。
なんか自分の母を思い出して泣きそうになってしまいました。
コレもかなりリアルなこの世代の女性って感じで素晴らしかったです。

松下奈緒はとても好きな女優ですが相変わらずべっぴんさんでした。
ピアノ弾きとしては問答無用でファンになれる女優ですね。

村上淳がほとんど出番が無いかと思いきや僅かな出番でのインパクトが凄かったです。
よくこの出番の少なさでこのテンションの演技ができると感心しました。
濃度で言ったら最高峰の演技でした。

石橋蓮司の父親感も良かったです。
陰ながら支えてそれなりにしっかりしてるようで妻が死んだら一気に生活力を失って。
ふと自分の両親のこと、父がこのパターンになったらどうしよう?と真剣に不安になりました。

さほど珍しくは無い家族の物語でしたが、独特の演出とほんのりジーンと来るポイントがちょいちょいあっていい映画でした。
自分に置き換えたら・・・としきりに考えさせられました。


そんなわけで6点。

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