メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

団地

2016年06月06日 | 映画
団地
を観ました。


大阪近郊にある、古ぼけた団地。昭和の面影を残すその一角で、山下ヒナ子は、夫で元漢方薬局店主の清治とひっそりと暮らしていた。
半年ほど前に店を閉め、引っ越してきたばかり。
腰は低いがどこか世を捨てた雰囲気に、住民たちは好奇心を隠せない。
調子のいい自治会長の行徳と、妻で“ゴミ監視役”の君子。
クレーマーで次期会長を狙う吉住に、暇を持て余した奥さま連中。
ときおり訪れる妙な立ち居振る舞いの青年・真城だけが、山下夫妻の抱えた過去を知っていた──。
そんなある日、些細な出来事でヘソを曲げた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。
夫の姿が団地から消えても、淡々とパートに通い続けるヒナ子の言動に、隣人たちの妄想は膨らむばかり。
「もう殺されてると思う…」。一人がつい口にしてしまった言葉をきっかけに、団地を覆った不安は一気にあらぬ方向へと走りだして……。


阪本順治監督作品です。

顔の阪本順治という触れ込みですが、確かに顔は名画でした。
しかし近年の阪本順治作品は個人的に低評価多いですね。

よくわからない不思議な設定の映画なのでほんのりな期待感を持って観に行きましたが。
いやはやコレは相当面白いです!
かなりのハイセンスムービーです。

センス良すぎるセリフのやり取り、シュールやベタを織り交ぜたコメディ要素、独特なカメラのアングル、少々飛ぶ時系列での見せ方。
何よりも非常にぶっ飛んだびっくりな設定。
公開初日に観にいったので結構混んでましたが、場内はなかなかの笑いが上がっていました。
素晴らしいハイセンスなコメディでした。

多くを言わないやり取り、何故か疑いを晴らそうともしない主人公。
噂大好きな団地の住民たち、噂に影響されて変わっていく自治会長夫婦。
大阪の団地の空気感は見事に表現されていました。

そしてあまりに謎めいた振る舞いをする斎藤工演じる青年が物凄い異物感で存在しています。
このキャラクターが思い切り物語を展開させます。
普通だったらありえなすぎて興ざめしてもおかしくないような展開ですが、
ハイセンスに作るとこんなぶっ飛んだ物語を作ることも可能なんですね。

コメディ、サスペンス、SFと展開して行く相当斬新な映画ですが、
ラストは不思議と爽やかでちょっと感動してしまいました。

散々フリのエピソードを作っておきながらあっさり裏切ってきたりするのでイチイチ痛快でした。

藤山直美が主演ですが、この人を主演にしているのが成功ですね。
これ以上ない見事なキャスティングですね。
あまり沢山仕事しないイメージですが、アドリブ感強い演技力は相当なものですね。
コメディの技術もなかなかで、独特な喋り独特なフォルムが非常に活きていました。

岸部一徳もらしさ全開で面白かったです。
この人のせいで妻はえらい目に遭いますが、不思議な夫婦の絆の強さは良かったです。
周りの人が思うより意外に器が小さくて人間味に溢れていました。

斎藤工がまるで異星人みたいな立ち振舞をする若者を演じていました。
なかなか難しい役どころだと思いますが元々不思議な雰囲気を醸し出す、
素もなかなか変人的な斎藤工なので実によくハマっていました。
日本語も不思議な使い方をするので面白かったです。
こんなキャラ設定を作れることが凄いと思いました。

斎藤工以外は正直旬では無いキャスティングですが、
実に理にかなっていて見事でした。

失礼ながら、予想外に超面白い映画でした。
こういうハイセンスなやり取りの映画が大好きですね。


そんなわけで9点です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。