疾風ロンド

疾風ロンド
を観ました。


泰鵬大学医科学研究所から新型病原菌「K-55」が盗まれた。さらに「全国民を人質にに身代金3億円を要求する」というメールが研究所所長宛に届く。
残された時間は4日間。しかし、秘密裏に作った生物兵器なので警察に通報することも出来ない。
犯人の葛原はメールを出した直後に交通事故で死亡し、手掛かりは、葛原の遺品の受信機とデジカメに残されたテディベアの写った7枚の写真だけだ。
所長の東郷雅臣から、写真に写っているスキー場を突き止め「K-55」を早急に回収しろと、無理難題を突き付けられた研究所主任の栗林和幸は、写真からテディベアの居所を推理した息子の秀人と共に里沢温泉スキー場に向かう。
しかし、スキーの腕前があまりに下手過ぎて、息子の秀人からも呆れられる始末。そんな栗林を、密かに付け狙う者がいた。


吉田照幸監督作品です。
自分がかなり大好きなあまちゃんやサラリーマンＮＥＯの演出を担当していた方です。

原作も自分の好きな東野圭吾なので期待度はありました。
ちなみにこの原作はまだ読んでいません。

本格的サスペンスな雰囲気とコメディを混ぜ合わせたような独特な作品です。
原作を知りませんがこんなにサスペンスなのにコメディな作品はかなり珍しいですね。

色んな物語を観たり読んだりしてきた自分としても斬新さを感じました。

雪山を舞台にした細菌兵器テロと言う設定もいいです。
流石の東野圭吾原作らしいスケールの大きさです。

物語は深刻ですがびっくりするくらいサラサラと進んでいきます。
ボケボケのコメディってわけでは無いですが、かなりのテンポで物語は進みます。
クドい演出が苦手な自分にはかなり好みの演出でした。

そんな中に多くの登場人物たちがいて、皆それなりに見せ場がありバランス感も良かったです。
キャスティングのセンスも結構独特で良かったです。
阿部寛が主役ですが、場面場面によっては若干大倉忠義だったり大島優子だったりが主役っぽいです。

めちゃくちゃ理不尽なミッションを押し付けられてかなり困難なミッションになってしまいます。
ただ多くの登場人物たちが裏で同時進行的に不可抗力的に事件を揺るがしてしまいます。
観ている人は諸々わかっているのに登場人物たちはそれがわかっていないと言う作りです。
それでいて観ている人も裏切るどんでん返しもあってなかなか見事でした。

阿部寛が主人公の間抜けでいい加減な男を演じていましたが相変わらず上手くてめちゃくちゃハマっていました。
この人物目線で描かれるのでそこまでダメとは気づきにくいですが、
息子の指摘が実はイチイチ核心を突いている感じです。
おじさんのくせにちょっとした成長物語の要素もあります。

阿部寛に騙されて細菌兵器を細菌兵器とは知らずに探す羽目になるレスキュー隊を大倉忠義が演じていました。
今まであまり評価したことはないですが、今作はなかなか良かったですね。
密かに一番くらい貢献しています。

同じく騙されて細菌兵器を探すアスリートを大島優子が演じていました。
大島優子は結構苦手な方の女優さんですが、今作は非常に良かったですね。
体型が自分がイメージするスノーボーダーな感じでなかなか良かったです。
演技も結構上手だったと思います。
見事にアイドルから女優になっていってる最中だと思いますね。

ムロツヨシががっつりムロツヨシな感じのキャラで流石のコメディを披露しています。

濱田龍臣が阿部寛の息子役ですが、かなりのイケメンになっていますね。
ハンサムでスタイルが良くて演技も上々で、彼の時代がもうすぐ来る予感がひしひしとしています。

自分が結構気にしている望月歩も出ていて。
さほどインパクトある役では無かったですが、やはり独特の存在感が気になります。

前田旺志郎もお兄さんとは別個ですっかり役者として成功しています。
ちなみにソロモンの偽証ではお兄さんの方が望月歩の同級生役でしたね。

柄本明がコントみたいなとことんクズな役でした。
一人で悪の部分を一気に請け負っていたような感じです。

その他、堀内敬子、戸次重幸、志尊淳、田中要次、でんでん、等豪華な脇役でした。

クライマックスもサラサラで大変見心地の良いサスペンスでした。


そんなわけで7点。