ミッドサマー
を観ました。
家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。
しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
アリ・アスター監督です。
前作のへレディタリーは大絶賛して、ホラー映画好きの自分の中でも歴代トップクラスの作品でした。
未だにトラウマになってるほどです。
そんなわけで名画作家としてかなり信頼している監督ですが、今作もめちゃくちゃ凄かったです。
自分の映画史でもトップクラスのショッキング映画ですね。
R15+ですがR18+でもいいような、これがR18+じゃなかったらそのレーティングの使い道が疑問になってきます。
冒頭、叙情的で断片的で説明は少なめですが、主人公の少女に非常にショッキングで悲しいことが起こったことがわかります。
静かめの描写で普通の事件のようにも見えしっかりホラーっぽいテイストも感じさせるけどチープさは無い感じで。
そこから普通の若者たちの日常の描写。
一見男女のすれ違いというか意図の通じなさを描くのかと思いきやそれは結構生々しくリアリティある出来事で。
へレディタリーでもやってたようなちょっと遊び心あるような主人公を軸に背景が変わるような場面転換なんかもあり。
気分転換な感じで友人の地元のスウェーデンの田舎へ舞台が変わっていく感じに妙な説得力でした。
そこはとにかくカルト的で、そんな旅行と興味本位ででとある集団に参加したら徐々に不穏になっていくという。
この徐々に感があまりに絶妙で、明らかに嫌なことが起こってたりするわけではなく、観客にはわかってるけど劇中の人物にはわからない出来事。
逆に信じられない儀式が行われるがそれはそれで妙に説得力のある説明で言いくるめられてしまうような。
そういう塩梅が見事なので、いい人たちと楽しい祝祭しているつもりが気がついたら後戻りできないくらいに日常は崩壊しているという。
大学の友人が招待してくれた楽しいお祭という目くらましもあり、村人たちの言うことがそこまで狂ったことではなくそれなりに筋が通っている感じも目くらましです。
自分からすると大阪の串カツの気分ですね。
わけわからない仕組みでつけにくいソースをつけさせ「二度漬け禁止!」という印象的なフレーズで目くらましをしてくる感じですね。
土地の人達がそうしてるからと、成立しているようで実はシステムが崩壊していることから目を逸らさせられてる感じですね。
キャベツの使い方のいびつさもちょっと自分の中ではつながってしまいました。
ホラー映画好きとして数々のホラー映画を見てきましたが、スーパー根本的なアンチテーゼ。
明るいことを怖くするというものすごい挑戦とその絶妙な効果でした。
恐怖シーンに闇のごまかしを使わずはっきりと見えてる中で、明るい場所で繰り広げられる恐怖です。
そして開放感ある広いスペースというのも同様にホラーの常識を覆していました。
別に銃を持ってるわけでもないので走って逃げたりできるのですよね。
そんなシチュエーションの中で囚われている感じが見事でした。
その点でまったくもって新しいホラー映画になっていたと思います。
おばけ的な怖さではなく普通や新設を装う人たちの狂気の宗教観みたいな怖さです。
宿場の異様な大部屋っぷりも見事な設定でした。
大部屋でみんなで寝てるので夜の闇の中で不審な行動をしている人も全然見えているという。
誰かは誰かを見ている感じの斬新さです。
模型みたいに見せるシーンはへレディタリーでも使っていた手法ですね。
そんな感じでストーリー上に明確な歪がないまま知らず知らずのうちにとんでもないことになっていました。
冒頭の事件から主人公がちょっと放心状態でトランス感があるのですが、それがどんどん強まっていくんですよね。
スウェーデンに着いてそこのしきたりな薬をやったり飲み物を飲んだりで、基本ずっとトランス感が強いです。
そのへんでうまく日常が壊れていることを気づかせない感じでした。
後半は薬とかやってるわけでもなくトランス状態って感じでした。
主人公が序盤は陰鬱と塞ぎ込んだ感じなのに祝祭で意外と開放されていく感じは結構悩まされました。
自分は無宗教で理解不能ですが、宗教にハマる人はこういうメソッドなのかな?なんて思うような。
主人公がまともなようで洗脳されていく感じは妙に意味深で考えさせられました。
怖いしグロテスクだしショッキングで前作同様謎すぎる神々しいようなクライマックスですが。
カルトが行き過ぎててちょっと笑ってしまうくらいでした。
見てるうちに何度かトランスしてしまいそうになりました。
叙情的で作家性も強くて新しいホラーでしっかり怖くてトラウマになるような嫌な要素もあり。
自分には非常に高評価な作品でしたが。
それにしてもグロテスクとショッキングと狂った性描写があるので人には勧めないですね。
主演のフローレンス・ピューはかなり良かったですね。
ちょっとぽっちゃりですが顔はかなり可愛いのですっかり好きになりました。
かなりクセの強い作品でクセの強い演技も必要でしたが見事にこなしていたとおもいます。
彼氏役のジャック・レイナーが結構冷静で一番全うな判断をしているようにも見えましたが。
ハンサムでスマートな雰囲気で頼ってました。
それでもって感じでしたね。
主人公グループの友人役をウィル・ポールターがやってました。
相変わらずの憎まれ役で今やこの世代のそこのトップランナーの感じですね。
どの作品でも強烈なインパクトを残すのは凄いと思います。
良いか悪いかわからないですがとにかく強烈なインパクトとトラウマになる映画でした。
そんなわけで9点。
を観ました。
家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。
しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
アリ・アスター監督です。
前作のへレディタリーは大絶賛して、ホラー映画好きの自分の中でも歴代トップクラスの作品でした。
未だにトラウマになってるほどです。
そんなわけで名画作家としてかなり信頼している監督ですが、今作もめちゃくちゃ凄かったです。
自分の映画史でもトップクラスのショッキング映画ですね。
R15+ですがR18+でもいいような、これがR18+じゃなかったらそのレーティングの使い道が疑問になってきます。
冒頭、叙情的で断片的で説明は少なめですが、主人公の少女に非常にショッキングで悲しいことが起こったことがわかります。
静かめの描写で普通の事件のようにも見えしっかりホラーっぽいテイストも感じさせるけどチープさは無い感じで。
そこから普通の若者たちの日常の描写。
一見男女のすれ違いというか意図の通じなさを描くのかと思いきやそれは結構生々しくリアリティある出来事で。
へレディタリーでもやってたようなちょっと遊び心あるような主人公を軸に背景が変わるような場面転換なんかもあり。
気分転換な感じで友人の地元のスウェーデンの田舎へ舞台が変わっていく感じに妙な説得力でした。
そこはとにかくカルト的で、そんな旅行と興味本位ででとある集団に参加したら徐々に不穏になっていくという。
この徐々に感があまりに絶妙で、明らかに嫌なことが起こってたりするわけではなく、観客にはわかってるけど劇中の人物にはわからない出来事。
逆に信じられない儀式が行われるがそれはそれで妙に説得力のある説明で言いくるめられてしまうような。
そういう塩梅が見事なので、いい人たちと楽しい祝祭しているつもりが気がついたら後戻りできないくらいに日常は崩壊しているという。
大学の友人が招待してくれた楽しいお祭という目くらましもあり、村人たちの言うことがそこまで狂ったことではなくそれなりに筋が通っている感じも目くらましです。
自分からすると大阪の串カツの気分ですね。
わけわからない仕組みでつけにくいソースをつけさせ「二度漬け禁止!」という印象的なフレーズで目くらましをしてくる感じですね。
土地の人達がそうしてるからと、成立しているようで実はシステムが崩壊していることから目を逸らさせられてる感じですね。
キャベツの使い方のいびつさもちょっと自分の中ではつながってしまいました。
ホラー映画好きとして数々のホラー映画を見てきましたが、スーパー根本的なアンチテーゼ。
明るいことを怖くするというものすごい挑戦とその絶妙な効果でした。
恐怖シーンに闇のごまかしを使わずはっきりと見えてる中で、明るい場所で繰り広げられる恐怖です。
そして開放感ある広いスペースというのも同様にホラーの常識を覆していました。
別に銃を持ってるわけでもないので走って逃げたりできるのですよね。
そんなシチュエーションの中で囚われている感じが見事でした。
その点でまったくもって新しいホラー映画になっていたと思います。
おばけ的な怖さではなく普通や新設を装う人たちの狂気の宗教観みたいな怖さです。
宿場の異様な大部屋っぷりも見事な設定でした。
大部屋でみんなで寝てるので夜の闇の中で不審な行動をしている人も全然見えているという。
誰かは誰かを見ている感じの斬新さです。
模型みたいに見せるシーンはへレディタリーでも使っていた手法ですね。
そんな感じでストーリー上に明確な歪がないまま知らず知らずのうちにとんでもないことになっていました。
冒頭の事件から主人公がちょっと放心状態でトランス感があるのですが、それがどんどん強まっていくんですよね。
スウェーデンに着いてそこのしきたりな薬をやったり飲み物を飲んだりで、基本ずっとトランス感が強いです。
そのへんでうまく日常が壊れていることを気づかせない感じでした。
後半は薬とかやってるわけでもなくトランス状態って感じでした。
主人公が序盤は陰鬱と塞ぎ込んだ感じなのに祝祭で意外と開放されていく感じは結構悩まされました。
自分は無宗教で理解不能ですが、宗教にハマる人はこういうメソッドなのかな?なんて思うような。
主人公がまともなようで洗脳されていく感じは妙に意味深で考えさせられました。
怖いしグロテスクだしショッキングで前作同様謎すぎる神々しいようなクライマックスですが。
カルトが行き過ぎててちょっと笑ってしまうくらいでした。
見てるうちに何度かトランスしてしまいそうになりました。
叙情的で作家性も強くて新しいホラーでしっかり怖くてトラウマになるような嫌な要素もあり。
自分には非常に高評価な作品でしたが。
それにしてもグロテスクとショッキングと狂った性描写があるので人には勧めないですね。
主演のフローレンス・ピューはかなり良かったですね。
ちょっとぽっちゃりですが顔はかなり可愛いのですっかり好きになりました。
かなりクセの強い作品でクセの強い演技も必要でしたが見事にこなしていたとおもいます。
彼氏役のジャック・レイナーが結構冷静で一番全うな判断をしているようにも見えましたが。
ハンサムでスマートな雰囲気で頼ってました。
それでもって感じでしたね。
主人公グループの友人役をウィル・ポールターがやってました。
相変わらずの憎まれ役で今やこの世代のそこのトップランナーの感じですね。
どの作品でも強烈なインパクトを残すのは凄いと思います。
良いか悪いかわからないですがとにかく強烈なインパクトとトラウマになる映画でした。
そんなわけで9点。