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「ごらん、世界は美しい」

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後妻業の女

2016年09月08日 | 映画
後妻業の女
を観ました。


「竹内小夜子、63歳、若くして夫を失った熟年女性です。好きなことは読書と夜空を見上げること・・・わたし、尽くすタイプやと思います。」
結婚相談所主催のパーティで淑女然として老人たちに語る小夜子(大竹しのぶ)。その魅力に老人たちはイチコロである。
80歳になる中瀬耕造(津川雅彦)もその一人。小夜子と耕造は互いに惹かれ合い結婚。幸せな送るはず、だったーーー。
2年後、耕造の娘、中瀬朋美(尾野真千子)は病院へと急いでいた。父親の耕造が脳梗塞で突然倒れたからだ。
姉の西木尚子(長谷川京子)と病院で合流すると、のんきに着替えを持ってきた後妻の小夜子に法外な葬式費用を要求される。
かねてから耕造の世話をろくにしていないように見えた小夜子に激昂する朋美と、ただただ唖然とする、主婦で世間知らずの尚子だったが、耕造は快復することなく亡くなってしまう。
さらに、小夜子に法的効力のある”遺言公正証書”を突き付けられ、小夜子が全財産を相続する事実を言い渡される。


鶴橋康夫監督作品です。

あまり聞き慣れない後妻業という犯罪を描いた人間喜劇です。

大竹しのぶや豊川悦司が関西を舞台に後妻業で悪行を重ねる物語。
老い先短い金持ちの後妻となりその夫を殺して遺産相続で稼いでいたが遺族に疑われ、
彼女たちに雇われた調査員に追いつめられて行く展開。

例えば古畑任三郎みたいなドラマだとついつい悪さをしている犯人が逃げきれるよう、
思わず応援したくなる気分になることがありますがそんな感じでした。
それでいて彼女たちを調査する人々も応援したくなるのでなかなか複雑な気分にさせられます。
それくらい感情移入出来る物語でした。
悪事を働いていた期間が長く、

関西の下品な部分も見事に表現されていて素晴らしいゲスな感じを表現していました。
見ている間、関西世界に入り込んだ様な錯覚を受けるほどかなり見事な関西感でした。
その点ではなかなかやりきっている映画だと思います。

そしてコテコテ関西映画ならではのブラックなコメディもチョイチョイあり、
クスッと笑えるくらいの面白さはありました。
場内はそこそこ笑いが起きていました。

何においても大竹しのぶは流石の演技派です。
大竹しのぶの仕事の中でもかなり上位に来る出来だったと思います。
関西の悪女の感じはふんだんに出ていました。
若い時代のキャラから中年女性まで見事ななりきりです。
この年齢でも老人を惑わす可愛らしい女性の感じから、
悪女の本性を表した後の極端なキャラまで見事に演じ分けていました。
追いつめられても全然慌てず飄々と受け流す様は痛快ですらあります。

同じく豊川悦司も見事でした。
胡散臭い関西人の成金の感じが見事に表現されていました。
実際にいそうなお金に貪欲な関西の経営者って感じでした。

永瀬正敏が調査員として二人を追い詰めますが・・・この人もなかなかクズで嫌なやつです。
最初は二人の悪事を暴け、って気持ちで観てましたが、
終盤は逆にこの役が憎らしく思えて二人に逃げ切ってほしく思えました。

尾野真千子はいつもの尾野真千子って感じで。
ヒステリックであるあるな一般的な女性を上手に演じていました。

長谷川京子が世間知らずな普通の女性を演じて大竹しのぶに好き放題やらせるきっかけになってましたが。
意外とこのキャラが一番まともで一番社会的に常識的な人間でした。

水川あさみは今度は愛妻家でも豊川悦司とこんな感じで絡んでましたが、
清純な役やらチャラい役まで色々こなすいい女優になりましたね。

風間俊介が大竹しのぶの息子役で一番馬鹿な放蕩息子でしたが、
このキャラが出てくると展開が極端でドタバタ感半端無くて。
舞台みたいな苦手な演技でした。
もう少しリアルな演技で良かったと思います。

最近チョイチョイ見かける樋井明日香ですが、いやはやエロくて素晴らしかったです。
体当たり体当たりでとにかく興奮しました。

騙される老人たちはなかなか豪華なベテラン俳優勢揃いで引き締まっていました。

あまり期待していなかったせいか、なかなか面白かったです。
ハチャメチャなクライマックスもなかなかブラックなコメディで締めていて。
この物語のオチとしてはなかなかいい展開だったと思いました。

こんな商売があることが勉強になりました。
そして結構リアルなんじゃないか?と思いました。


そんなわけで7点。

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