フォードvsフェラーリ
を観ました。
気鋭のカー・デザイナーとして活躍するキャロル・シェルビー(マット・デイモン)のもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社から思いがけないオファーが届く。
それはル・マン24時間耐久レースで、モータースポーツ界の頂点に君臨するイタリアのフェラーリ社に勝てる車を作って欲しいという途方もない依頼だった。
その背景には、フォードの会長であるヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)の憎悪にも似たフェラーリへの対抗心があった。
フォードでマーケット戦略を担当するリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)は、若い世代のユーザーを魅了する早くてセクシーな車を売り出すべきだとフォード2世に進言し、フェラーリの買収計画を進めてきた。
ところが契約成立直前、レース部門を手放したくない創業者のエンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)が態度を翻して交渉は決裂。エンツォの傲慢な振る舞いに激怒したフォード2世は、打倒フェラーリに燃えて新たなレースカーを作るよう命じ、それを受けてアイアコッカはシェルビーに白羽の矢を立てたのだ。
1960年から直近の1965年までル・マンを6連覇中のフェラーリは、モータースポーツ界の絶対王者である。
しかも悪天候に見舞われようと昼も夜も24時間ぶっ通しで過酷なコースを走る車には、並外れたスピードと頑丈さが要求される。
それでもフォードの”本気”を感じ取ったシェルビーは、不可能とさえ思えるオファーを受諾した。
かつて1959年のル・マンにアストン・マーチンで参戦し、アメリカ人レーサーとして初めて優勝した経験を持ちながらも、心臓の病によって無念のリタイヤを余儀なくされたシェルビーの胸の奥底には、今なおレースの世界への熱い思いが燻っていた。
次のル・マンまでわずか90日しか準備期間がないシェルビーが真っ先に足を向けたのは、凄腕のイギリス人ドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)のもとだった。
自らが営む自動車修理工場を国税局に差し押さえられ、生活が行きづまっていたマイルズは、妻モリー(カトリーナ・バルフ)とひとり息子ピーター(ノア・ジュブ)にも背中を押され、シェルビーの無謀な挑戦に加わることを決意する。
こうしてシェルビーとマイルズは史上最高のレーシングカーを生み出すため、フォードGT40の抜本的改良とテストを重ねていく。
しかし妥協を知らないマイルズの歯に衣着せぬ言動は、フォードのレーシング部門の責任者に就任した副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)の反感を買ってしまう。
マイルズを除外しようとするビーブの思惑を察したシェルビーは、巧みな機転を利かせてフォード2世に直談判し、ミッション達成に必要不可欠なマイルズを守ることに成功。
レースへの純粋な情熱を共有するシェルビーとマイルズは、いつしか固い友情で結ばれていた。
やがて前哨戦のレースで結果を出したシェルビーらは、いよいよ決戦の地、フランスのル・マンに乗り込んでいく。
しかし、マイルズが乗り込んだフォード1号車がフェラーリとの壮絶なデッドヒートを繰り広げるなか、理不尽な大企業の論理をふりかざすビーブがまたしても横やりを入れてくるのだった・・・。
ジェームズ・マンゴールド監督です。
モータースポーツの黎明期を描いたハリウッドらしい大作でした。
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルの共演で本格派なテイストも強いです。
冒頭からいきなり上質な語りで素敵なシーンで、まるで映画が終わるみたいだなと思わされるつかみでした。
モータースポーツのスピード系を哲学的に語るのは古くからのよくある感じの演出ですがこの作品にはマッチしていました。
そこからは時代が古いから頭が固く現代の常識とはちょっとずれているという。
勧善懲悪の構図を作るのにはわかりやすい手法で物語が進みます。
基本的にフォード目線なのでフェラーリが倒すべき悪役なのですが、やってることは圧倒的にフェラーリの方が正義の感じで複雑でした。
具体的にはネタバレになるので言えませんが、フォード側は大事な時までまあまあズルします。
フェラーリはものづくりにこだわり大量生産せずに性能と美しさにこだわる企業理念で。
フォードは利益主義で大量生産で沢山車を売ることを目的としているという。
フォードの社長は傲慢でわがままでレースにかける思いもまあまあ不順で。
なんと大事なレースのシーンでもズルしたり、ルール解釈のギリギリの屁理屈で戦うのは主人公側という。
この手の映画、この手のテイストの映画では非常に斬新な設定でした。
逆にフェラーリにはなんの落ち度もなく、理不尽な嫉妬されているだけで。
それを悪役風に描かれたり負けたことを感動的に喜ばれたりするのはとても違和感でした。
なかなか長尺の映画でしっかりとしたハリウッド大作クオリティで見応えはあります。
長尺なのでこのくだりはガッツリいらないのではとも思いましたが、結果長尺が正解だと思いました。
ハイライトとなるレースが2つもあり1つ目でもかなりサブイボな盛り上がりだったので、ここで終わってもいいのに、って思えるくらいでした。
肝心なル・マンのレースは逆にしこりを残すような、でも哲学的なメッセージがあって納得でした。
その後は結構取ってつけたようなエピローグで、それもなかなか長いなとは思いましたが。
それも納得でした。
冒頭の個人的に印象に残ったシーンもちゃんと回収があって感動しました。
主演のマット・デイモンは流石の演技派で、漠然とこっちがレーサー役と思ってましたが制作側でした。
流石の実力派でこの大作の主演にはピッタリでした。
出す気なクリスチャン・ベイルは自分の中では圧倒的No.1のカメレオン俳優です。
デ・ニーロ・アプローチを遥かに超える毎作の変貌っぷりには具合が悪くなるほどですが。
今作は中でも控えめな方の役作りですが、非常にがさつでとてもバットマンとは思えないなりきりっぷりでした。
クリスチャン・ベイルの妻役をカトリーナ・バルフが演じていました。
非常に演技派で激情的な演技からクールでスマートな演技まで非常に様になっていてかなり上質でした。
意外とこの作品を引き締めていたのは彼女かも知れません。
その息子役はノア・ジュプが演じていました。
ワンダー、クワイエット・プレイスで見ましたが非常に印象的で評価高いです。
ルックスも演技もよく、将来イケメントップ俳優になる予感も結構あります。
ジョン・バーンサル、ジョシュ・ルーカスなどの好みの脇役もいい塩梅でした。
あと一歩で名作になれそうな予感もありましたが、妥当な仕上がりになっていた印象でした。
そんなわけで6点。
を観ました。
気鋭のカー・デザイナーとして活躍するキャロル・シェルビー(マット・デイモン)のもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社から思いがけないオファーが届く。
それはル・マン24時間耐久レースで、モータースポーツ界の頂点に君臨するイタリアのフェラーリ社に勝てる車を作って欲しいという途方もない依頼だった。
その背景には、フォードの会長であるヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)の憎悪にも似たフェラーリへの対抗心があった。
フォードでマーケット戦略を担当するリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)は、若い世代のユーザーを魅了する早くてセクシーな車を売り出すべきだとフォード2世に進言し、フェラーリの買収計画を進めてきた。
ところが契約成立直前、レース部門を手放したくない創業者のエンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)が態度を翻して交渉は決裂。エンツォの傲慢な振る舞いに激怒したフォード2世は、打倒フェラーリに燃えて新たなレースカーを作るよう命じ、それを受けてアイアコッカはシェルビーに白羽の矢を立てたのだ。
1960年から直近の1965年までル・マンを6連覇中のフェラーリは、モータースポーツ界の絶対王者である。
しかも悪天候に見舞われようと昼も夜も24時間ぶっ通しで過酷なコースを走る車には、並外れたスピードと頑丈さが要求される。
それでもフォードの”本気”を感じ取ったシェルビーは、不可能とさえ思えるオファーを受諾した。
かつて1959年のル・マンにアストン・マーチンで参戦し、アメリカ人レーサーとして初めて優勝した経験を持ちながらも、心臓の病によって無念のリタイヤを余儀なくされたシェルビーの胸の奥底には、今なおレースの世界への熱い思いが燻っていた。
次のル・マンまでわずか90日しか準備期間がないシェルビーが真っ先に足を向けたのは、凄腕のイギリス人ドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)のもとだった。
自らが営む自動車修理工場を国税局に差し押さえられ、生活が行きづまっていたマイルズは、妻モリー(カトリーナ・バルフ)とひとり息子ピーター(ノア・ジュブ)にも背中を押され、シェルビーの無謀な挑戦に加わることを決意する。
こうしてシェルビーとマイルズは史上最高のレーシングカーを生み出すため、フォードGT40の抜本的改良とテストを重ねていく。
しかし妥協を知らないマイルズの歯に衣着せぬ言動は、フォードのレーシング部門の責任者に就任した副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)の反感を買ってしまう。
マイルズを除外しようとするビーブの思惑を察したシェルビーは、巧みな機転を利かせてフォード2世に直談判し、ミッション達成に必要不可欠なマイルズを守ることに成功。
レースへの純粋な情熱を共有するシェルビーとマイルズは、いつしか固い友情で結ばれていた。
やがて前哨戦のレースで結果を出したシェルビーらは、いよいよ決戦の地、フランスのル・マンに乗り込んでいく。
しかし、マイルズが乗り込んだフォード1号車がフェラーリとの壮絶なデッドヒートを繰り広げるなか、理不尽な大企業の論理をふりかざすビーブがまたしても横やりを入れてくるのだった・・・。
ジェームズ・マンゴールド監督です。
モータースポーツの黎明期を描いたハリウッドらしい大作でした。
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルの共演で本格派なテイストも強いです。
冒頭からいきなり上質な語りで素敵なシーンで、まるで映画が終わるみたいだなと思わされるつかみでした。
モータースポーツのスピード系を哲学的に語るのは古くからのよくある感じの演出ですがこの作品にはマッチしていました。
そこからは時代が古いから頭が固く現代の常識とはちょっとずれているという。
勧善懲悪の構図を作るのにはわかりやすい手法で物語が進みます。
基本的にフォード目線なのでフェラーリが倒すべき悪役なのですが、やってることは圧倒的にフェラーリの方が正義の感じで複雑でした。
具体的にはネタバレになるので言えませんが、フォード側は大事な時までまあまあズルします。
フェラーリはものづくりにこだわり大量生産せずに性能と美しさにこだわる企業理念で。
フォードは利益主義で大量生産で沢山車を売ることを目的としているという。
フォードの社長は傲慢でわがままでレースにかける思いもまあまあ不順で。
なんと大事なレースのシーンでもズルしたり、ルール解釈のギリギリの屁理屈で戦うのは主人公側という。
この手の映画、この手のテイストの映画では非常に斬新な設定でした。
逆にフェラーリにはなんの落ち度もなく、理不尽な嫉妬されているだけで。
それを悪役風に描かれたり負けたことを感動的に喜ばれたりするのはとても違和感でした。
なかなか長尺の映画でしっかりとしたハリウッド大作クオリティで見応えはあります。
長尺なのでこのくだりはガッツリいらないのではとも思いましたが、結果長尺が正解だと思いました。
ハイライトとなるレースが2つもあり1つ目でもかなりサブイボな盛り上がりだったので、ここで終わってもいいのに、って思えるくらいでした。
肝心なル・マンのレースは逆にしこりを残すような、でも哲学的なメッセージがあって納得でした。
その後は結構取ってつけたようなエピローグで、それもなかなか長いなとは思いましたが。
それも納得でした。
冒頭の個人的に印象に残ったシーンもちゃんと回収があって感動しました。
主演のマット・デイモンは流石の演技派で、漠然とこっちがレーサー役と思ってましたが制作側でした。
流石の実力派でこの大作の主演にはピッタリでした。
出す気なクリスチャン・ベイルは自分の中では圧倒的No.1のカメレオン俳優です。
デ・ニーロ・アプローチを遥かに超える毎作の変貌っぷりには具合が悪くなるほどですが。
今作は中でも控えめな方の役作りですが、非常にがさつでとてもバットマンとは思えないなりきりっぷりでした。
クリスチャン・ベイルの妻役をカトリーナ・バルフが演じていました。
非常に演技派で激情的な演技からクールでスマートな演技まで非常に様になっていてかなり上質でした。
意外とこの作品を引き締めていたのは彼女かも知れません。
その息子役はノア・ジュプが演じていました。
ワンダー、クワイエット・プレイスで見ましたが非常に印象的で評価高いです。
ルックスも演技もよく、将来イケメントップ俳優になる予感も結構あります。
ジョン・バーンサル、ジョシュ・ルーカスなどの好みの脇役もいい塩梅でした。
あと一歩で名作になれそうな予感もありましたが、妥当な仕上がりになっていた印象でした。
そんなわけで6点。