パラサイト 半地下の家族
を観ました。
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。
そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。
大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。
美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。
“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。
家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。
「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。
“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。
パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。
更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。
この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。
ポン・ジュノ監督です。
予告や宣伝で相当気になって期待していました。
観てみたら期待通りに凄い映画で圧倒されました。
韓国の名画を見ると思ういつもの感想ですが、映画文化は韓国が日本のはるか先を行きますね。
何層にもなる非常に重厚な物語で起承転結と4色に変わるような映画で2時間15分とは思えない長尺に感じました。
序盤の貧乏暮らしのの空気感、湿度まで伝わってくるようなアジア感。
この辺は韓国映画の特徴ですね。
最低限の説明や描写で最大限を伝える感じに冒頭からあっさり心掴まれました。
友人に頼まれた何気ない依頼、大学生のふりして自分の代わりに金持ちのお嬢さんの家庭教師をして欲しい。
たったそれだけのことが思いも寄らない自体に発展していきます。
こういう些細な出来事が雪だるま式にスムーズに肥大化していくのは非常に感心します。
貧乏一家が結構な企みで金持ち一家に取り憑いて行く序盤。
純粋に仕事が欲しいというだけのモチベーションで別に悪どいってわけじゃないですが、何故かその過程で嘘をつきまくるという。
この辺は韓国の貧富の差の文化を感じました。
セレブに関われるのはそれなりの家庭か学歴が必要なのでしょう。
見事に4人が家庭教師や運転手や家政婦として豪邸に入り込めますがお互いは知らない人間同士という設定での振る舞いです。
序盤はかなり笑いがあがるハイセンスなコメディテイストです。
やっていることがやっていることなのでなかなかブラック・コメディなテイストですが。
貧しい一家が生きるために罪悪感もなく違法行為を行う感じはちょっと万引き家族を感じさせました。
非常に過酷な境遇なのに家族の絆が異常なほどに強いという。
それは今作の裏テーマのようではありました。
一番頼りない父親がしっかりと家族のリスペクトを受けていて、とかく息子は全面的に父親に従っていました。
場面場面で家族のそれぞれがそれぞれを頼りにして見事に4人で支え合っている感じは終盤のとんでもない状況でも変わりませんでした。
見事なテンポ感で全く退屈することもなく凄い展開をさせていきます。
そして驚愕の中盤です。
運命の一夜がやってきます。
金持ち一家がキャンプに出かけたのを良いことに豪邸で自分たちの家かのようにはしゃいで過ごしていたらとんでもないことが起こります。
多分、いろんな人が次に起こることを予想するでしょうが、その全てが外れるほどの驚愕でした。
日常の中に突然非日常が現れ脳内で処理するのに時間がかかる感じはジョジョの奇妙な冒険っぽくて大好物でした。
そしてその見せ方が見事です。
設定や映像の雰囲気的にはホラーテイストにしがちな内容と展開でしたがそうしないところが見事だと思いました。
そこからは非常に複雑な人間関係と絡み合いですが、わかりにくくなることもなく見事に娯楽の枠に収めていました。
そして雨の中家に帰る貧乏一家、雨が流れ落ちて行く方へ、方へと歩いていく描写の切なさ。
こういうセリフもなく見事に伝えるシーンが多々ありました。
そして計画を立てるからみんな失敗する、計画を立てなければ良いという極論的な哲学に見事な説得力がありました。
終盤はそんな感じでかなり哲学的なテーマで進みますがそれでもちゃんと娯楽作品でした。
こんなに深く意味深なテーマをこういうテイストで見せた映画をあまり知らないですね。
冒頭に友人に貰った石を極限状態でも持ち歩く息子のセリフが妙に胸を打ちました。
つげ義春漫画のように意味不明ですがめちゃくちゃ切ないシーンでした。
そこから先はどこで終わっても良さそうに思いましたがまだ何度も展開があって。
更に大きな出来事が、、、。
めちゃくちゃ見応えありました。
エピローグが多すぎるような印象も受けましたが超力作を感じさせるエピローグでした。
大事な場面を乗り越えて来た一家が、時々重要なシーンで信じられないような凡ミスをするのが自分の嫌うタイプでちょっと気になりましたが。
作品としてのテイストがそれを大きく上回る程に作品を成立させていました。
こんなにもぶっ飛んだ物語を不自然に思わせないのは凄い腕です。
そしてこの作品の大きな特徴は絵力の強さです。
芸術的にも思える凄い映像世界でした。
この手の映画に映像の面でも圧倒的な描写があったのは本当に凄いと思いました。
この辺に韓国映画のレベルの高さを感じます。
濡れ場やら、汚いシーンの描写へのためらいの無さも韓国映画のレベルの高さの象徴だと思います。
役者たちがちゃんと役者なのが差な気もします。
美人な女優も実にナチュラルに塗ればを演じるし、ハンサムもためらいなく汚れを演じます。
日本だと、このクラスの俳優がキャラ外に体張ってやってます感の方が強くでてしまいますね。
それは演出やカメラワークの責任も多い気がしますが。
父親役のソン・ガンホは大作で結構目にしますが、今作もナチュラル演技が素晴らしいです。
冒頭の頼りないおっちょこちょいな感じから終盤の一番芯の強い決断をしたり。
見事に二面性を表現していました。
母親役のチャン・ヘジンも見事なカメレオンっぷりでした。
半地下のこ汚いおばさんから上流階級専門の家政婦へのなりきりまで。
今作の中だけでも素晴らしい振り幅を見せていました。
主演的で息子役のチェ・ウシクは冴えないニートのようで特に変わることなくエリート大学生にもなれて。
そもそも賢い青年という設定ですが、意外にモテるし。
それでいて繊細で深い悩みを抱えている感じがとても共感しました。
妹役のパク・ソダムも素晴らしかったです。
密かに一番堂々としていて一番大胆に計画を実行していて。
末っ子ながら家族のリーダーのような存在感でした。
豪邸の社長役をイ・ソンギョンが演じていました。
とてもハンサムでいかにもなルックスといかにもな喋り方と振る舞い。
金持ちならではのスマートさやスキの無さがしっかりと表現されていました。
その妻役をチョ・ヨジョンが演じていましたがとても美人で演技も凄かったです。
密かに一番位出番があって一番位目立ってもいましたが。
この人が世間知らずのお嬢様って感じでこの人がスキとなり騙されまくって半地下の家族に侵入を許してしまいます。
こんなに美人なのにナチュラルに体当たりも出来て凄いです。
惚れずには居られないほどの美人女優です。
娘役のチョン・ジソが初々しくて可愛くて良かったです。
いやはやこれはまた忘れがたき強烈な一本でした、オススメです。
かなりブラックで哲学的深いですが全部が娯楽の中に収まっているので誰がみていもたいてい観心地は良いと思います。
そんなわけで9点。
を観ました。
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。
そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。
大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。
美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。
“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。
家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。
「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。
“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。
パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。
更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。
この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。
ポン・ジュノ監督です。
予告や宣伝で相当気になって期待していました。
観てみたら期待通りに凄い映画で圧倒されました。
韓国の名画を見ると思ういつもの感想ですが、映画文化は韓国が日本のはるか先を行きますね。
何層にもなる非常に重厚な物語で起承転結と4色に変わるような映画で2時間15分とは思えない長尺に感じました。
序盤の貧乏暮らしのの空気感、湿度まで伝わってくるようなアジア感。
この辺は韓国映画の特徴ですね。
最低限の説明や描写で最大限を伝える感じに冒頭からあっさり心掴まれました。
友人に頼まれた何気ない依頼、大学生のふりして自分の代わりに金持ちのお嬢さんの家庭教師をして欲しい。
たったそれだけのことが思いも寄らない自体に発展していきます。
こういう些細な出来事が雪だるま式にスムーズに肥大化していくのは非常に感心します。
貧乏一家が結構な企みで金持ち一家に取り憑いて行く序盤。
純粋に仕事が欲しいというだけのモチベーションで別に悪どいってわけじゃないですが、何故かその過程で嘘をつきまくるという。
この辺は韓国の貧富の差の文化を感じました。
セレブに関われるのはそれなりの家庭か学歴が必要なのでしょう。
見事に4人が家庭教師や運転手や家政婦として豪邸に入り込めますがお互いは知らない人間同士という設定での振る舞いです。
序盤はかなり笑いがあがるハイセンスなコメディテイストです。
やっていることがやっていることなのでなかなかブラック・コメディなテイストですが。
貧しい一家が生きるために罪悪感もなく違法行為を行う感じはちょっと万引き家族を感じさせました。
非常に過酷な境遇なのに家族の絆が異常なほどに強いという。
それは今作の裏テーマのようではありました。
一番頼りない父親がしっかりと家族のリスペクトを受けていて、とかく息子は全面的に父親に従っていました。
場面場面で家族のそれぞれがそれぞれを頼りにして見事に4人で支え合っている感じは終盤のとんでもない状況でも変わりませんでした。
見事なテンポ感で全く退屈することもなく凄い展開をさせていきます。
そして驚愕の中盤です。
運命の一夜がやってきます。
金持ち一家がキャンプに出かけたのを良いことに豪邸で自分たちの家かのようにはしゃいで過ごしていたらとんでもないことが起こります。
多分、いろんな人が次に起こることを予想するでしょうが、その全てが外れるほどの驚愕でした。
日常の中に突然非日常が現れ脳内で処理するのに時間がかかる感じはジョジョの奇妙な冒険っぽくて大好物でした。
そしてその見せ方が見事です。
設定や映像の雰囲気的にはホラーテイストにしがちな内容と展開でしたがそうしないところが見事だと思いました。
そこからは非常に複雑な人間関係と絡み合いですが、わかりにくくなることもなく見事に娯楽の枠に収めていました。
そして雨の中家に帰る貧乏一家、雨が流れ落ちて行く方へ、方へと歩いていく描写の切なさ。
こういうセリフもなく見事に伝えるシーンが多々ありました。
そして計画を立てるからみんな失敗する、計画を立てなければ良いという極論的な哲学に見事な説得力がありました。
終盤はそんな感じでかなり哲学的なテーマで進みますがそれでもちゃんと娯楽作品でした。
こんなに深く意味深なテーマをこういうテイストで見せた映画をあまり知らないですね。
冒頭に友人に貰った石を極限状態でも持ち歩く息子のセリフが妙に胸を打ちました。
つげ義春漫画のように意味不明ですがめちゃくちゃ切ないシーンでした。
そこから先はどこで終わっても良さそうに思いましたがまだ何度も展開があって。
更に大きな出来事が、、、。
めちゃくちゃ見応えありました。
エピローグが多すぎるような印象も受けましたが超力作を感じさせるエピローグでした。
大事な場面を乗り越えて来た一家が、時々重要なシーンで信じられないような凡ミスをするのが自分の嫌うタイプでちょっと気になりましたが。
作品としてのテイストがそれを大きく上回る程に作品を成立させていました。
こんなにもぶっ飛んだ物語を不自然に思わせないのは凄い腕です。
そしてこの作品の大きな特徴は絵力の強さです。
芸術的にも思える凄い映像世界でした。
この手の映画に映像の面でも圧倒的な描写があったのは本当に凄いと思いました。
この辺に韓国映画のレベルの高さを感じます。
濡れ場やら、汚いシーンの描写へのためらいの無さも韓国映画のレベルの高さの象徴だと思います。
役者たちがちゃんと役者なのが差な気もします。
美人な女優も実にナチュラルに塗ればを演じるし、ハンサムもためらいなく汚れを演じます。
日本だと、このクラスの俳優がキャラ外に体張ってやってます感の方が強くでてしまいますね。
それは演出やカメラワークの責任も多い気がしますが。
父親役のソン・ガンホは大作で結構目にしますが、今作もナチュラル演技が素晴らしいです。
冒頭の頼りないおっちょこちょいな感じから終盤の一番芯の強い決断をしたり。
見事に二面性を表現していました。
母親役のチャン・ヘジンも見事なカメレオンっぷりでした。
半地下のこ汚いおばさんから上流階級専門の家政婦へのなりきりまで。
今作の中だけでも素晴らしい振り幅を見せていました。
主演的で息子役のチェ・ウシクは冴えないニートのようで特に変わることなくエリート大学生にもなれて。
そもそも賢い青年という設定ですが、意外にモテるし。
それでいて繊細で深い悩みを抱えている感じがとても共感しました。
妹役のパク・ソダムも素晴らしかったです。
密かに一番堂々としていて一番大胆に計画を実行していて。
末っ子ながら家族のリーダーのような存在感でした。
豪邸の社長役をイ・ソンギョンが演じていました。
とてもハンサムでいかにもなルックスといかにもな喋り方と振る舞い。
金持ちならではのスマートさやスキの無さがしっかりと表現されていました。
その妻役をチョ・ヨジョンが演じていましたがとても美人で演技も凄かったです。
密かに一番位出番があって一番位目立ってもいましたが。
この人が世間知らずのお嬢様って感じでこの人がスキとなり騙されまくって半地下の家族に侵入を許してしまいます。
こんなに美人なのにナチュラルに体当たりも出来て凄いです。
惚れずには居られないほどの美人女優です。
娘役のチョン・ジソが初々しくて可愛くて良かったです。
いやはやこれはまた忘れがたき強烈な一本でした、オススメです。
かなりブラックで哲学的深いですが全部が娯楽の中に収まっているので誰がみていもたいてい観心地は良いと思います。
そんなわけで9点。
