水曜日が消えた

水曜日が消えた
を観ました。


幼い頃の交通事故をきっかけに、ひとつの身体の中で曜日ごとに入れ替わる“7人の僕”。
性格も個性も異なる7人は、不便ではあるが、平穏に暮らしていた。
各曜日の名前で呼び合う彼らの中でも、“火曜日”は一番地味で退屈な存在。
家の掃除、荷物の受け取り、通院、、、他の曜日に何かと押し付けられて、いつも損な役回り。
今日も“火曜日”はいつも通り単調な一日を終えると、また一週間後に備えて、ベッドに入る。
それは突然やってきた。
“火曜日”が朝目を覚ますと、周囲の様子がいつもと違うことに気付く。
見慣れないTV番組、初めて聞く緑道の音楽…そう、“水曜日”が消えたのだ。
水曜日を謳歌する“火曜日”だったが、その日常は徐々に驚きと恐怖に変わっていく。
残された“火曜日”はどうなってしまうのか―。


吉野耕平監督・脚本です。

大好きな中村倫也主演なので見てみました。

曜日ごとに人格が入れ替わる多重人格の主人公を描いたファンタジーでミステリーな物語でした。
多重人格的な物語と思いきや火曜日の人格の目線だけで描かれる序盤でした。

ちょっと設定が独特なので冒頭は説明多めの描写です。
ストーリー仕立てで巧妙に空気感を伝えたい狙いは伝わりますが、不自然な行動と描写の多さとカット毎のフォーカスの強調さで。
結局説明多くて長いな、、、って気持ちにはなりました。

そこからは結構ほのぼの映画で映像の質感やら編集やら役者の演技やらはなかなか良かったです。
作家性強めのインディペンデント映画みたいな雰囲気すらありました。

しかしもちろん娯楽映画なので徐々に不穏な要素が匂わせ程度に入ってきて。
かなり謎めいたミステリーの様相になっていきます。
どんでん返し的に衝撃的な展開ではありますがまああるあるな範疇だと思います。
見た後にストーリー全体を見渡しても特に特別なものはなく。
基本的には一人の人間の中で起きていることなので社会的には何も無いと言っても良いようなお話です。

ただ始まりと終わりではちょっと風景が変わるというか。
クライマックスの見せ方でこの映画が一応変化に重要な物語だったと思わされました。

冒頭がやたら説明的だったのに終盤は逆に説明不足な印象にはなります。
コレができるのであれば序盤もこの手法で良かったと思いました。

ブリッジ的に使われるフラッシュバックなシーンがちょっと多すぎるなとは思いました。
もちろんそこの変化が物語の進行にシンクロしてある種まとめみたいになってるのですが。

作品の雰囲気や空気感は好みでした。
複数人っぽい暮らしを一人でやってる閉塞感は好みですね。
説得力というか独特な設定の辻褄の部分も頑張っていました。

主演は中村倫也です。
大好きな俳優でハンサムなのにカメレオン的に役の幅も広くて良いですね。
好みのソフトなちょっと可愛いペット的なキャラクターがメインでした。
多重人格なのでワイルドで強気なキャラになったりもします。
彼の魅力を引き出そうとのこのキャスティングだと思いますが、大成功かはちょっと微妙でした。

石橋菜津美が主人公の友人役でした。
かなり高評価している女優さんで今作でもポテンシャルの高さはしっかりと発揮していました。
最初から謎めいていたのでちょっと過剰に憶測してしまいそうでしたが。
彼女はもっともっと評価されてビッグになっていく気がします。

好きな深川麻衣も出ていて良かったですね。
この子も非常に適した役で魅力がよく出ていました。
このくらいの親近感がある美女で使われるのがとても良いですね。

医者役の中島歩も高評価する俳優で良いキャスティングでした。
グッド・ストライプスは好きでした。
掴みどころない好青年の雰囲気はピカイチですね。

医者役のきたろうさんもいい感じでした。
すっかり演技派のバイプレーヤーになっていますね。
存在感も強くていいと思います。

期待したくらいの妥当に楽しめる高品質の映画でした。
丁寧に頑張って作ったなという印象でした。


そんなわけで6点。