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リチャード・ジュエル

2020年01月22日 | 映画
リチャード・ジュエル
を観ました。


1996年、警備員のリチャード・ジュエルは米アトランタのセンテニアル公園で不審なバッグを発見。
その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。
事件を未然に防ぎ一時は英雄視された彼だが、現地の新聞社とテレビ局がリチャードを容疑者であるかのように書き立て、実名報道したことで状況は一変。
さらに、FBIの徹底的な捜査、メディアによる連日の過熱報道により、リチャードの人格は全国民の目前でおとしめられていった。
そこへ異を唱えるため弁護士のワトソンが立ち上がる。
無実を信じ続けるワトソンだが、そこへ立ちはだかるのは、FBIとマスコミ、そしておよそ3億人の人口をかかえるアメリカ全国民だったーーー。


クリント・イーストウッド監督作品です。
すっかりノンフィクション作家になってきた印象のイーストウッドですが今作も実話ベースです。

扱う事件は年々普通になってきた印象ですが社会的弱者、理不尽な弾圧を受けた人物を扱う印象は強いですね。

今作はいかにもアメリカらしいアメリカでしかありえないような事件ですね。
ヒーローに憧れる主人公、しかし不摂生でかなりの太り方、そして感情表現も余り得意ではない。
一時はヒーローになるにも関わらずあっさりと社会的なバッシング対象になってしまうという。
アメリカ人の差別意識の高さみたいのを感じさせるテーマでした。

序盤ですがもちろん爆破シーンがありますが。
爆破テロがあるとわかっていても映画館で見るにはやはり怖くて緊張感半端なかったです。
風船すら大嫌いな自分には爆破が起きるとわかっていながら見てるだけで手汗でした。

FBIの理不尽極まりない不正な捜査の描写がかなり多いですがどこまでリアルなのか?と気になりました。
96年、アトランタオリンピックは自分からするとそこそこ最近にも思えますが。
その頃ならばまだネット社会もないしこういう強引な捜査といい加減な報道もあったのかと思いました。
弁護士がちょっと検証したら犯罪が不可能なのがわかってしまうレベル。
それなのに無理やりこじつけようとするFBIでした。
ここまで露骨に無罪ならば逆に主人公が犯人じゃないと盛り上がらなそうな程の露骨さでした。

新聞記者の描写もそこそこありますが、そこのシーンがイマイチ消化不良でした。
元は一番悪いのは新聞記者なのに、ちょっと心変わりしたようなシーンがあってもだからといって何かの役に立つ程でもなく。
人々のヘイトを紛らわすための描写って感じでした。

恐らく事実に忠実にやっているので仕方ないのでしょうが、映画らしい盛り上がり。
痛快な大逆転みたいなシーンは無く。
フェードアウトみたいな終盤と、お約束の文字ベースでの登場人物たちのその後でした。

主演のポール・ウォルター・ハウザーはなかなかインパクトありました。
実在の人物を知らないですがかなり説得力ある見た目と所作と喋り方。
本人を知らないのに、きっと似てるんだろうなと思えました。

弁護士役のサム・ロックウェルは結構好きです。
最近ジョジョ・ラビットでも素晴らしい演技と存在感でしたが今作も非常に素晴らしかったですね。
ルックスも演技もかなり好みでした。

母親役のキャシー・ベイツは演技派のイメージしかないですが今作も非常に良い演技です。
ミザリーの印象がトラウマみたいになっているのでいい人の役をやっててもちょっと構えてしまいますが。
すっかり良いおばあさん的な役をやるようになりましたね。

緊迫感とストレスがあるので退屈せずに見れるシリアス作品ですね。
真に迫る感じは流石のイーストウッドなので娯楽作品として十分楽しめました。


そんなわけで6点。

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