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さらば愛しきアウトロー

2019年08月20日 | 映画
さらば愛しきアウトロー
を観ました。


時は1980年代初頭、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。
彼の名はフォレスト・タッカー、74歳。
被害者のはずの銀行の窓口係や支店長は彼のことを、「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。
事件を担当することになったジョン・ハント刑事も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。
彼が堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人もいた。
そんな中、フォレストは仲間のテディとウォラーと共に、かつてない“デカいヤマ”を計画し、まんまと成功させる。
だが、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、予想もしなかった危機にさらされる─。


デヴィッド・ロウリー監督です。

実在した銀行強盗をモデルにした殆ど真実の物語だそうです。
そんな始まりです。

非常にダンディな老人の銀行強盗が実に簡単にスマートに銀行強盗を繰り返します。
結構尋常じゃない回数の強盗をするのです。
時代背景的にこんなに簡単でこんなに逃げ切れるものなのか?と見ながらもかなり疑問でした。
ただこれが実話ベースですし、きっと映画化するに値するそういう人がいたのでしょう。
そういうリアリティを超越するような作品のテイストなので途中からそういうのは気にならなくなりました。

非常にウィットに富んだ作風で決してコメディではないのですが、シリアスな空気の中にほんのちょっとお遊びな演出が差し込まれます。
それが非常に効果的で妙なオシャレさやコミカルさを醸し出していました。

老人カップルのラブロマンスもありますがそれも妙に素敵な雰囲気でした。
老人の恋愛ものって日本ではあまり無いですがハリウッドは結構やりますよね。
あまり慣れない事が多いのですが、今作は非常に素敵でした。

老人の銀行強盗を追う若い刑事の視点でも描かれるシーンが多く、イーストウッドの運び屋にも通づるものを感じました。
徐々に追い込まれて行くのも似ていました。
しかし今作には悲壮感があまりなく、主人公がダンディズムなスタイルを崩さないのがとても良かったです。

主演のロバート・レッドフォードは今作が引退作らしいです。
流石にかなりの老人になりましたがこの年齢でこのダンディさは流石ですね。
ハリウッドの引退宣言は基本的に信用しませんが一応悲しんでおこうと思います。

銀行強盗を追う刑事役をケイシー・アフレックが演じていました。
マンチェスター・バイ・ザ・シーでかなり気に入りましたが今作もとても良かったです。
実に深みのある良い雰囲気だしますね。
とてもカッコいい男だと思います。

シシー・スペイセクがヒロインのポジションでした。
根っからの銀行強盗に惹かれていきますが、自立した女性の雰囲気なので破滅的な空気が全く無いのです。
それはこの作品においては良いですね。
超ベテランな銀行強盗もこの人のアドバイスは聞くという。
人生の終盤だから妙に開き直って楽観的なのが良かったです。

とても素敵な作品でいいセンスでした。


そんなわけで6点。

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