メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

劇場

2020年07月24日 | 映画
劇場
を配信で観ました。


高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。
しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。
解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独を感じていた。
そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希(松岡)を見かけ声をかける。
自分でも驚くほどの積極性で初めて見知らぬ人に声をかける永田。
突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田が放っておけなく一緒に喫茶店に入る。
女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。


行定勲監督作品で又吉直樹原作です。

個人的に火花は小説から読んで大絶賛でしたが劇場はまだ読んでいません。
ただこの映画を見てしまうと読むのが怖いくらいある種の人間には残酷すぎるお話でした。
アマゾンプライムビデオで公開されたので家のコンディションを最大限に整えて夜中に爆音で見ていたので、
ちょっと立ち上がれないくらいダメージを食らいました。

又吉さんのこの辺の目の付け所、繊細過ぎる描写、全部が棘となって刺さりまくりでした。
きっと日本の夢追い人の悲哀が一番詰まってる設定でしょう。
10年ほどの差だけど自分の世代は会社員している人との隔たりはもっとあった気がするので落ちこぼれ気分は強かったですね。

自分の才能にあがきプライドが邪魔をして優しい彼女に依存している劇団やってるヒモ男。
ぱっと見、ひたすらクズ男で同情の余地も無いように思う人が居るかもですが。
夢追い男はうまく行かない時、全部社会が悪いと思うし、優しくしてくれる女性にどんどん依存して調子にのるものですからね。
自分でもそれが駄目だとわかっていても、なかなか一度構築されてしまった環境から抜け出せなくなるものですね。
恋人は時に自分の味方だったり時に社会の味方として敵になったりナチュラルにイライラ状態になってしまうものです。
些細な物言いにいちいちヒステリックになってしまうのもわからなくは無いのですね。

過去の僕はこの山崎賢人をブサイクにしたバージョンみたいなもんですが。
自分が過去の恋人たちにした酷い言動は自分でも引くほどなのですが当時はそれを改められないものですね。
自分はイケメンじゃないので紐になれず逆に女性を養うような状態が多かったのでよりイライラの悪循環だった気もしますね。
相手の優しさが逆に自分の心の弱さやズルやさや悪さを炙り出すようで辛かったものです。

最近は作家性に特化している印象の行定監督ですが、今作は結構わかり易い仕上がりになっていました。
この切ないテーマを最高の描写で描いていたと思います。
些細なシーンでいちいちうるうるしてしまいました。
下北の風景や自転車の二人乗りの感じとかたまらないのですよね。
東京って悲しい街だな、なんて思ってしまうような。

ベタな恋愛ものか?予定調和的な展開が待っているのかと疑ったところで、描写の繊細さがそうならないことを予感させますね。
とにかく描写が繊細で細かいので。

主演の山崎賢人はかつて無いむさ苦しくだらしのない男でした。
しかし個人的には過去一番くらいにかっこよく見えて憧れてしまうほどでした。
こういう自堕落な男にシンパシーを感じてしまうのは決して良いこととは思わないのですが。
この手の感じでしか生きれないものなのですよね。
来世はこんなルックスで生まれたいものです。

恋人役の松岡茉優もめちゃくちゃ素晴らしかったですね。
ルックスも結構あるのにカメレオン女優っぷりはなかなかで。
甘くて優しいいかにもな女性を演じていました。
彼女の年齢でなぜこういう勘所があるのか?どんな人生経験があるのか?
とほとほと感心しました。

主人公の劇団仲間を寛一郎がやっていました。
ちょっと出番少なめでしたがなかなかカッコいい仕上がりでした。

いつも高評価の伊藤沙莉は今作も外れなくハイレベルです。
この人はいい人も悪い人もハイレベルにこなすただの天才ですね。

King Gnuの井口理もちょい役で出てました。
今後役者業ありかもですね。

かなり自分好みというかもはや自分向けって感じの映画でした。


そんなわけで9点。

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