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エリカ38

2019年06月07日 | 映画
エリカ38
を観ました。


巨額投資詐欺で国際手配された女詐欺師の物語。


日比遊一監督作品です。
浅田美代子主演で樹木希林さん企画で出演もしています。
樹木希林さんを見れるのももう最後じゃないか?と見に行きました。

が、凄い映画でした。
これは浅田美代子の女優としての凄さを猛烈に発揮している作品です。
日本社会にあるであろう胡散臭い世界、その世界でどっぷり生きてきた女性の半生です。

ホステスからマルチ商法、そして投資詐欺に染まっていく女。
映画全体に漂うダークな雰囲気、日本社会の裏側、まともに稼ごうとしない人々の空気感をなかなかマックスに出していました。
ちょっと粗めの映像の質感や音声もこのひと昔前の詐欺師の感じを醸し出すに良いスパイスでした。

時のうつろい、徐々に悪事に染まっていく様。
実在のモデルが居るノンフィクションらしいですが、とても説得力がありました。
いくつかのチャプターになっている魅せ方、観せていく順番も良かったと思います。

そして個人的にこの映画の大きな特徴は、、、キスシーンですね。
自分の中のディープキスインパクト映画部門ではトップかも知れません。
とにかく出てくる人たちのキスシーンが下品で不快感半端ないです。
その辺からこの映画の下衆っぷり、登場人物たちの下衆っぷりが上手く表現されていました。

今のご時世だとわからないですが、昭和や平成の序盤ならばこの手の話は結構ありましたね。
今も振り込め詐欺であくどい世の中みたいに言いますが、昔のほうが表沙汰になってないだけで胡散臭い商売がもっと多かった気がしますね。
そういう社会が生んだ詐欺師代表って感じの主人公でした。

おばさんなのに若作りして男遊びもして成金ならではの遊び方。
それでいてちょっと礼儀正しいような振る舞いの逆に胡散臭さ。
金欠で無謀な金策する時の妙に冷静で上品な口調も詐欺師らしかったです。
タイで恋人作る感じもなんか生々しかったですね。

最初からずっと漂う嫌な空気感、もちろん破綻に向かっていくのですがいよいよ破綻な状況になります。
彼女に詰め寄る投資してしまった、騙されてしまった人たち。
配当金を払え!できないなら金返せ!約束が違う!ウチの主人は自殺した!
凄い熱量のシーンで、ヒステリック苦手な自分でもめちゃくちゃ興奮して見れました。
ヒステリックになる事情に共感できればヒステリックでも構わないのだと学びました。

主演の浅田美代子はめちゃくちゃ素晴らしかったです。
これはもう俺アカデミー賞主演女優賞候補です。
天然バラエティタレントのイメージで観たら駄目ですしもうそんなイメージも無いです。
もうとことん胡散臭い女詐欺師にしか見えなかったです。
ベットシーンもたくさんで、この歳での濡れ場は凄いと思いますね。
嫌悪感を感じさせますが妙な説得力、成立してる感が素晴らしかったです。

平岳大がエリカを巻き込む元々の詐欺師でしたがこれまた見事な胡散臭さでした。
この存在だけで説得力ある感じは素晴らしかったです。

やはりエリカに大きく影響を与える女役の木内みどりも胡散臭かったですね。
こういう人居そうーって思わされる見事な役作りでした。

出番は少なめでしたが樹木希林さんの存在感、演技力はすごかったです。
改めて凄い女優さんでした。

妙に切ない終わり方、完全に憎めない感情で終わる感じは素晴らしかったです。
エンドロールに実際の被害者たちの音声コメントが流れるのも良かったです。

日比遊一監督の評価がかなり上がるいい映画でした。


そんなわけで8点。

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