メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

羊と鋼の森

2018年06月11日 | 映画
羊と鋼の森
を観ました。


将来の夢を持っていなかった主人公・外村(山﨑賢人)は、 高校でピアノ調律師・板鳥(三浦友和)に出会う。
彼が調律したその音に、 生まれ故郷と同じ森の匂いを感じた外村は、 調律の世界に魅せられ、果てしなく深く遠い森のような その世界に、足を踏み入れる。
ときに迷いながらも、先輩調律師・柳(鈴木亮平)や ピアノに関わる多くの人に支えられ、磨かれて、 外村は調律師として、人として、逞しく成長していく。
そして、ピアニストの姉妹・ 和音(上白石萌音)由仁(上白石萌歌)との出会いが、 【才能】に悩む外村の人生を変えることに―。


橋本光二郎監督作品です。
長編2作目だそうです。
2作目でこういう大きな企画をやるのはすごいですね。

自分はかなり長いことピアノをやっているので、調律師との付き合いもあったし。
なので必見だと思っていました。

調律師をテーマにここまで深く掘り下げたのは素晴らしいことだと思いました。
正直、自分は3歳からピアノを始め、半絶対音感のような相対音感等はあるのですが。
ピアノの調律なんてその気になれば、道具さえあれば自分でできると長いこと思っていましたが。
そんなナメた考えをこの世の全ての調律師に謝罪したくなるような映画でした。

それくらい調律師とは何なのか?どれくらい難しい仕事なのか?
見事に描写していたと思います。

静かな映画は山程観てきましたが、これほど静寂を大事にしたような映画は初めてかも知れません。
静まり返る静寂の中の一音一音が非常に重厚で良かったですね。
絶対にポップコーンとか持ち込んだらいけない映画ですね。

選曲のセンスも良くて、クラシック上級者でも音楽を楽しめると思います。

途中、主人公が初めて一人で調律に行くシーン。
無声映画のような、紙芝居仕立てで子犬のワルツをBGMに依頼主の人生が回想されるのですが。
幼い頃、両親と愛犬に囲まれ幸せにピアノを弾いていたが、両親が死に、ピアノをやめ犬と二人きりで落ち込んだ暮らし。
そして愛犬もいなくなり首輪だけ残り。。。しかしそこから立ち上がろうと廃墟のようなピアノに調律師を呼んだみたいな。
いやはやなかなか見事な感動作でした。
自分も子供の頃、子犬のワルツを弾いたのでよりグッと来るものもありました。
そしてペットロス人間の自分には辛すぎました。

基本は上質な演出なのですが、時々ローセンスな演出も散見しました。
調律がうまくいかない描写を画面をゆらゆらさせて汗だくになるような。
今日日あまり見かけない昭和センスだなと思ったり。
急に感情的になって走り出して雪の中で何度も転んだり。
やはりこの作品には不似合いな昭和センスに思えました。

キャストは山崎賢人、鈴木亮平、三浦友和などなかなか本格的です。
このキャスティングで作品の格が高い感じがします。

山崎賢人は今旬でハンサムで演技も良いです。
ちょっとわかり易すぎるキャラだったのでもう少し奥深い雰囲気で描写した方が良い気がしましたが。
クライマックスはなかなか予定調和感で萎えそうでしたが、この子の演技や演出が良かったので全然見れました。
彼のキャリアの中では幅を広げるいい作品だったと思います。

鈴木亮平は主人公の先輩、優しいお兄さん的な役どころで。
いつも演技力や役作りを求められる彼にしては普通に近い役でした。
途中ドラムを叩くシーンがありましたが、そこはあまり様にはなっていませんでした。
主演でも脇役でも一級品の素晴らしい俳優だと思います。

三浦友和はみんなを大きく包むようなベテラン調律師でとてもらしい役どころでした。
ここに三浦友和をキャスティングしたことがこの作品の一つの成功だと思います。
感情を表に出さないでみんなを導くまさしく師でした。

上白石萌音と上白石萌歌がピアニスト姉妹役で共演していました。
実際の姉妹が姉妹役をやる説得力は強いのでとても好印象です。

上白石萌音は非常に雰囲気ある若手女優ですね。
君の名は。が出世作でしょうが、声優ですし。
実際女優さんとしての活躍もしっかり残してきて良いキャリアの最中ですね。

上白石萌歌も姉同様雰囲気あってとてもいいと思います。
ふたりとも将来的に実力派女優になっていく雰囲気プンプンです。

調律師という職業をここまでフォーカスした時点で価値ある作品でした。


そんなわけで6点。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。