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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

2019年08月30日 | 映画
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
を観ました。


リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)はピークを過ぎたTV俳優。
映画スターへの道がなかなか拓けず焦る日々が続いていた。
そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。
目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らし情緒不安定なリックとは対照的に、いつもお自分らしさを失わないクリフ。
この二人の関係は、ビジネスでもプライベートでもまさにパーフェクト。
しかし、時代は徐々に彼らを必要とはしなくなっていた。
そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫婦が越してくる。
落ちぶれつつある二人とは対照的な輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。
リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするがーー。
そして、1969年8月9日ーーそれぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える【事件】は起こる。


クエンティン・タランティーノ監督作品です。

禁断とも言えるようなディカプリオとプラピの初共演です。
それがハリウッドを舞台にした役者の映画をやっているとのことで諸々現実とのシンクロを感じずにはいられない作品でした。
二人同時に登場して、そこから車に乗り込んでクレジット。
ブラッド・ピットの後ろ姿にディカプリオ、ディカプリオの後ろ姿にブラッド・ピットという表記があるのが素敵で心掴まれました。

ハリウッドで実際に起きた女優さんの殺人事件をモチーフにしているそうですがそれ以上に、元売れっ子、なんとか再ブレイクを狙うが上手く行かずナイーブになる男と彼の友人でスタントマンの人生の物語でした。
凄く不思議な友情関係のようなビジネスパートナーのような。
日本で言うならば漫才コンビの物語を見ているような感じでしょうか。

この二人の共演に目が行きそうですが、それ以上にタランティーノ節ですね。
クセが強い映画しか作らないタランティーノですが今回も大クセです。
思ったより全然難解で自分には難しかったです。

一体何を目的にしてるのだろう?というシーンの連続。
非常に冗長的に物語的に目的のわからないシーンを長々と見せられます。
これが何に繋がるのだろうか?何処に転がっていくのだろうか?
という既成概念の意識で見ては行けない映画でした。
我々はいつも勝手に展開や落ちを期待して物語を予測保管しながら見てしまっていることを再認識させられる映画でした。
全然予定調和的では無いストーリー展開です。

タランティーノ作品はチャプターで区切られていくつかのシナリオを組み合わせたタイプの作品が多いですが。
今作は明確なチャプター等は無いですが実際はいくつかのシナリオを組み合わせた感じです。
一つ一つが非常に見応えありました。

舞台が1969年のハリウッドです。
レビューの度に言うのですがアメリカの1960年代が大好物の僕です。
中でも69年はピークですね。
その時代を生きれなかったことが悔やまれるほどに興味あります。
恐らく強烈なインパクトがあったからでしょうが、だから子供の頃から無意識にそのシーンやらそこに影響を受けたものに触れて居たのでしょうが。
とてもノスタルジーな気持ちになります。
その再現度は流石のクオリティです。
CG嫌いなタランティーノならではの凄いリアリティがあった気がします。
冒頭のコロンビアのロゴから映像の質感からフォントから、何もかもが完璧なアメリカンレトロでした。
そういう舞台設定やセットを含め映像の絵力がすごかったです。
劇場で観るにはめちゃくちゃ没入させられます。

相変わらずの緊張感溢れる間の作り方、何か嫌な予感やら想像をさせられるあの間がタランティーノのひとつの特徴ですね。
今作はヤバいヒッピーが結構たくさん出てくるので緊張感ありました。
そういうシーンでもエンターテイメントなカット割りもなく淡々と見せるのはイチイチ流石です。

登場人物たちの感情の説明やら、心情の説明がないので物語は全体的にちょっと難解です。
ただ場面ごとの熱量が流石なのでずっと引き込まれてしまいます。
ストーリーの全体像がわかりにくいのにこれだけ引き込まれるのは流石のハイセンスでした。

ラスト数分だけ急に凄い展開ですがそこを越えたところに妙な感動がありました。
最中はめちゃくちゃコミカルなバイオレンスに笑ってしまうのですが。
え?これで終わり?な終わり方をしますがそれもまたジーンとさせられました。
何かほんの少しだけ希望の余韻でした。

主演はレオナルド・ディカプリオです。
昔から彼は人気以上に演技派だと言い続けて来ましたが今作はそれが最高峰に発揮されていたでしょう。
得意なヒステリックなシーンは多いですが今作はそこにナイーブな感じもあって。
ちょうど憎めない感じの良い塩梅でした。
酒を飲む時のアル中っぽいちょっとキマっちゃってる演技がとても気持ちよかったですね。

ブラッド・ピットはクールでワイルドで彼のカッコよさがよく出ていました。
ブレずに強気で怖いもの知らずな感じでした。
若い頃憧れに憧れたブラッド・ピットの感じで嬉しかったですね。

マーゴット・ロビーがハリウッドスターの役でした。
ちょっとプッツンな役をやるイメージがありますがその点で今作は普通に近いキャラでした。
普通っぽくしてもプッツンな雰囲気が出るのでちょうど良かった気がします。
ルックスも整っていて美しくて一昔前のハリウッド女優の顔立ちでした。

アル・パチーノは出番は少なめでしたが良い存在感出てました。

昔好きだったダコタ・ファニングを久々に見ました。
とても良い感じのハイセンスな雰囲気出ていて良かったですね。

あとディカプリオを慰める子役がめちゃくちゃ可愛かったです。

とにかく映画の世界観にずっと浸っていたくなるような。
不思議ともう一度観に行きたくなる流石のタランティーノ作品でした。


そんなわけで9点。

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