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「ごらん、世界は美しい」

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マーウェン

2019年07月30日 | 映画
マーウェン
を観ました。


バーからの帰り道で5人の男に暴行されたマーク・ホーガンキャンプは、瀕死の重傷を負い、9日間の昏睡状態に陥る。
脳に障害を抱え、襲撃の後遺症(PDSD)に苦しむ彼はまともな治療も受けられず、セラピー代わりにフィギュアの撮影を始める。
自宅に作った空想の世界“マーウェン”ではG.Iジョーのホーギー大尉と5人のバービー人形が、迫り来るナチス親衛隊と日々戦いを繰り広げていた。
地域の人々の理解と協力でマーウェンの写真は評価され、やがてマークの個展が開かれることになる。
“マーウェン”で戦う勇気を与えられたマークは、避けていた暴行事件の裁判で証言しようと決意するが・・・。


ロバート・ゼメキス監督です。
言わずと知れた巨匠の最新作です。

予告編がなかなか意味不明だったので結構好奇心そそられていました。
冒頭から謎めいていて映像がめちゃくちゃ独特でした。

実写っぽくて、でも絶妙におもちゃっぽくて。
シームレスに人間が人形に変わっていったり、その逆だったり。

人形がかなり人形っぽいのにそれがめちゃくちゃ人間のように動きます。
人形たちだけで繰り広げられる物語、かなりなめらかに動くのに撃たれたりすると急に人形になったりします。
そんな感じで要所要所には思いっきり人形らしさがあります。
実に不思議な設定の映画です。

普通の人間のドラマ部分、人形たちが繰り広げるドラマ部分、人間社会に人形が混在しているドラマ部分、人形世界に人間が入り込んでいくドラマ部分。
そんなパターンで構成されそれぞれが何を意図してるのかはちょっと一度だけでは難しかったですが、確定していることは主人公の妄想ということでした。
この映画のほとんどの部分が主人公の病気というか妄想で出来ています。

現実に相当する部分で何か事件がありそれに纏わる物語を小出しに匂わしていきます。
それと人形の世界がかなりシンクロしていて、人形たちは皆何かのメタファーでした。

ちょっとストーリー展開はまったりで冗長的でした。
娯楽な雰囲気がありつつ全然娯楽感が無い、作家性が強いタイプのやつですね。
盛り上がるシーンは特に無く、画面的に盛り上がっているようでもそれはあくまで病気の主人公が作ってるものなので。
おそらくこの主人公に感情移入することは出来ないので、どうやってこの主人公を捉えるか?というところがポイントだったと思います。
可愛そうと思ったり、勇気を貰えると思ったり。
フォレスト・ガンプ的な感じなのでしょうがやはり共感力や感動はそれほどは無かったです。

その分、彼を取り巻く周りの人々の優しさが一番ジーンと来ましたね。
みんなが実にナチュラルに良い塩梅で彼を支えたり助けたりしています。
その辺はフォレスト・ガンプ的でもありました。

クライマックスに向けてのちゃんと山場はありそこに向けての展開はありますが。
大団円としっとりジーンとなる中間くらいでした。

主人公はスティーブ・カレルです。
近年自分が高評価する映画によく出ていてこの人自体も非常に高評価です。
ここに来て急に演技派でブレイクしている印象ですが、今作もまた彼の演技力が発揮されています。
病気で空想の世界に生きている中年男の感じが非常に出ていて、もうそういう人にしか見えませんでした。
映画の度に雰囲気変えてきてもどんな役でも満点級にこなします。
今作はこの人の演技を見るだけでも価値はあったと思います。

ヒロインで主人公が恋する相手をレスリー・マンが演じていました。
美人でこういう病気の人が一方的に恋する相手として説得力がありました。

ちょっと期待とは違いましたが流石のクオリティではあります。
独特でハイクオリティなCGや主人公の演技は見応えありました。


そんなわけで6点。

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