激しかったジャムの息子のバカ犬ディノもすっかり老いた。
目も耳も機能しなくなってしまったので、
おとなしくなってしまった。
静かに暮すその姿はほんのりジャムを彷彿とさせる。
元々猫のように動かなかったジャム。
犬もある点へと収束していくのを感じる。
ジャムは
「ご褒美」「ご飯」
と言うと首を傾げた。
なんとも愛くるしい反応だった。
可愛さのあまり繰り返しやっていたので
「ご・・・」
の部分だけで首をかしげるようになった。
「ジャム!お母さん!」
と言うと首を上げて探すように横を向く。
反対を向いたりもした。
明らかにお母さんの足音を探す反応である。
お母さんが目の前に居てもそうした。
本当の初期。
ジャムは僕が出かけるだけで騒いだ。
僕が予備校に行くために玄関から外にでると、
ジャムは階段を駆け上り、
二階の僕の部屋から僕が見えなくなるまで道路を見ていた。
ベッドに登ると低い窓のサッシの台の部分に手が届く。
ジャムはそこに手を置いて二本足で立って外を見た。
僕も何度も振り返ってその姿を見た。
首の部分だけが見えていた。
結構距離があってもその姿を確認できた。
何よりも愛しい姿だった。
もう20年も昔の話になってしまった。
きっとこうして記憶は薄れていく。
当たり前だったことが当たり前から程遠くへ行ってしまう。
僕は消えないように
消えないように
何度も記憶を抱きしめる。
目も耳も機能しなくなってしまったので、
おとなしくなってしまった。
静かに暮すその姿はほんのりジャムを彷彿とさせる。
元々猫のように動かなかったジャム。
犬もある点へと収束していくのを感じる。
ジャムは
「ご褒美」「ご飯」
と言うと首を傾げた。
なんとも愛くるしい反応だった。
可愛さのあまり繰り返しやっていたので
「ご・・・」
の部分だけで首をかしげるようになった。
「ジャム!お母さん!」
と言うと首を上げて探すように横を向く。
反対を向いたりもした。
明らかにお母さんの足音を探す反応である。
お母さんが目の前に居てもそうした。
本当の初期。
ジャムは僕が出かけるだけで騒いだ。
僕が予備校に行くために玄関から外にでると、
ジャムは階段を駆け上り、
二階の僕の部屋から僕が見えなくなるまで道路を見ていた。
ベッドに登ると低い窓のサッシの台の部分に手が届く。
ジャムはそこに手を置いて二本足で立って外を見た。
僕も何度も振り返ってその姿を見た。
首の部分だけが見えていた。
結構距離があってもその姿を確認できた。
何よりも愛しい姿だった。
もう20年も昔の話になってしまった。
きっとこうして記憶は薄れていく。
当たり前だったことが当たり前から程遠くへ行ってしまう。
僕は消えないように
消えないように
何度も記憶を抱きしめる。