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レディ・バード

2018年06月05日 | 映画
レディ・バード
を観ました。


2002年、カリフォルニア州サクラメント。
閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン(自称“レディ・バード”)。
高校生活最後の1年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、悩める17歳の少女の揺れ動く心情を瑞々しくユーモアたっぷりに描く。


グレタ・ガーウィグ監督作品です。
過去作品はなかなか好みですが、今作はピークに好みです。
正直、この手の映画は大好物です。

決して特別でもないありふれた少女がちょっとだけ大人になる。
その過程の一部分を切り取っただけの。
普通に考えれば映画にするほどのテーマでも無いような物語ですが。
そういうものほど映画にしてほしいと思う自分の願望です。

大きな事件や事故が起きるわけでもなく、ロマンチックな出来事が起きるわけでもなく。
淡々と思春期な女の子のその世代ならではの悩みや葛藤を描いているだけです。
めちゃくちゃ衝突する母娘ですが、お互いの愛が強すぎるだけという悩ましさでした。
お互いに愛されたいだけなのに衝突する感じは日本の親子でも同様ですね。

このタイトルがまさしくそれを象徴していて見事なタイトルとその内容でした。
名前は自分で決めたものじゃないから、自分で決めた名前を名乗ることを信条としていて。
なので主人公は常にレディ・バードと名乗っています。

アメリカのハイスクールらしいヒエラルキーの描写もなかなか生々しく。
主人公は上でも下でもなく、ちょっと上の方って感じなのも見事な設定と思いました。

演出は非常にウィットに富んでいた、場内は混んでいましたがなかなかの笑いが起きてました。
明確にボケるような場面は無いですが、絶妙な滑稽さの描き方が素晴らしかったです。
この手のハイセンス人間だと結構リアルなやり取りなのかも知れません。
セリフがいちいちハイセンスで素晴らしかったです。

家庭環境がちょっと複雑感ありますが、特別説明はなかったです。
主人公の兄だけアジア系なルックスで、なにかそれにまつわる確執がある感じでした。
ブラックにいじっていたので。

先生との軽い衝突の塩梅もいい感じでした。
サクラメントという田舎町を嫌う主人公。
サクラメントの嫌いなところを沢山言える主人公に、
注意深く観察することは愛と同じよ、みたいなセリフがかなり刺さりました。
確かに観察することは愛なのですね。

全体的にオシャレな雰囲気もあるコメディって感じですね。
少女が家族を巣立っていくような、この手のパターンは結構見ますが、
自分の青春時代とオーバーラップしてかなり切なくなります。

子供が初めて巣立っていく際の親子の不器用な歯がゆさ、
あれってめちゃくちゃジーンとなるのですよね。

主演のシアーシャ・ローナンは結構好きな女優さんです。
子役の頃からとてもオーラがあり、王道路線の女優になっていくのかと思いきや。
すっかりハイセンス系のインディペンデント寄りの女優になっていますね。
この子が出る映画はたいてい好みです。

母親役のローリー・メトカーフがきつい母親の感じで。
この役が妙にリアルで作品の重要なファクターでした。
素晴らしい演技だったと思います。

父親役はトレイシー・レッツで、母親とは対照的にうつ病だけど優しくて。
二人をうまくフォローしてるのがなんかジーンとします。

友人のビーニー・フェルドスタインがなかなかインパクトあるルックスで。
演技も良かったので今後売れる予感がプンプンです。
デブ女優枠ではかなりいいほうだと思います。

みんなの憧れ的な女子を演じたロイス・スミスが可愛かったです。
ちゃんと性格悪そうで良かったです。

軽い気持ちでサラッと見てサラッと笑えて泣ける映画ですね。
非常に好物でした。


そんなわけで8点。

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