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秒速5センチメートル

2010-01-19 23:45:55 | アニメ


アニメ「ほしのこえ」の作者、新海誠氏の作品。

小学校の同級生で、転校で離れ離れになった貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、その後の貴樹を片思いする少女の視点から描いた「コスモナウト」、そして大人になった彼らの気持は・・・?表題作「秒速5センチメートル」。3本の連作アニメーション作品。

「秒速5センチメートル」と言うのは、桜の花びらが散る速度なのだそうだ。
「桜花抄」 では、再会を約束した日に大雪に見舞われ、電車は遅れに遅れ、約束の時間に大幅に遅れて貴樹がやっとたどり着いた駅の待合室で、明里を見つけたときの貴樹の表情がいい。

「ほしのこえ」の背景画もそうだったが、主人公達の気持が、挿入された背景画に描かれる風景や小道具のアングルや描き方で、「台詞」で聞くよりも更に切なく胸が締め付けられるように伝わってくる。
桜の花びらが舞い落ちる水溜り、新宿駅の雑踏の様子、切れそうで切れない蛍光灯の点滅、車窓に張り付く結露の一粒一粒にいたるまで、ただの場所や状況説明ではなく、それぞれにちゃんと役どころがあるのだ。
オールロケで描かれたという背景は、リアルに描かれながらもとても幻想的であり、1カット1カットの絵に存在感がある。
特に、「コスモナウト」に描かれる種子島での宇宙ロケット打ち上げの瞬間は、胸が高鳴りながらもなぜかすごく切なくなる。貴樹の夢と現実の間で揺れ動く少年の気持が、ロケットの軌跡のあとの一筋の煙に分断された夕焼け空に反映されているからだろうか・・。
最終章の「秒速5センチメートル」は、大人になるってこういうこと・・・?二人はこうして「大人」になっていくの?その絶対的な「時間」と「距離」は、それでも、今はそうでも、いつかは再びリンクすることはあるのでは?と淡い期待を抱かせる。

BGMに流れる山崎まさよしの「One more time, One more chance」がその映像とともに胸を締め付ける。
初恋の切なさと儚さが切々と伝わってくる。

自分の初恋とリンクする部分もあり、見終わった後もしばらくは余韻に浸ってしまった。

春になったら、桜の花びらが散るのを見るたび、BGM には「One more time, One more chance」が脳裏に蘇り、切なくなってしまうかもしれない。

【秒速5センチメートル】http://5cm.yahoo.co.jp/story/index.html
【One more time, One more chance】http://www.youtube.com/watch?v=T-yemSc3VdI

ほしのこえ

2010-01-19 22:24:59 | アニメ


「ほしのこえ」は、携帯メールをモチーフとした、宇宙と地上にわかたれた少年と少女の超遠距離恋愛のお話(作品全長25分)。
新海誠氏が、監督・脚本・演出・作画・美術・編集などほとんどの作業を一人で行った約25分のフルデジタルアニメーションだ。

第1回新世紀東京国際アニメフェア21・第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭・第8回AMD AWARD・デジタルコンテンツグランプリ2002受賞作品。

私がこのアニメを見るきっかけとなったのは、1年生の美術の課題に出した『読書感想画』で、この作品を描いて来た生徒がいて、その内容に興味を持ったからだ。
地球と宇宙に引き裂かれる恋人達を繋ぐのは一本の携帯電話によるメール。
そのメールが届くのが、宇宙船の移動とともに1週間から1ヶ月、半年、1年、8年とかかってしまう。その絶望的な距離と時間を切なく描く詩情あふれるアニメだ。
設定やキャラクターを際立たせる背景美術が素晴しい。本当に絵が上手い。何気ない日常の一コマや、小道具、風景や建物のアングルが、台詞はないのに雄弁に物語っている。その存在感は登場人物にも匹敵するようだ。ただの水溜りがあんなに美しく、電柱やバス停にいたるまで全てのモチーフの描き方に愛情を感じる。
宇宙に行ったきり帰って来られない15歳の少女が、地球と恋人を恋しがる気持がびんびんと伝わってくる。

私も、故郷を離れ、ホームシックに苛まれて初めて帰省した時、故郷の無人駅のトイレのドアや電柱にまで頬ずりしたくなるような愛おしさを感じたのとすごくリンクする。

一緒に見ていた中2の14歳の娘は、
「切ない、切ない」
と言いながら見ていた。

宇宙に旅立った彼女が未だ15歳なのに、地上に残った彼はどんどん年をとっていく・・・。
8年後に届く「HAPPY BIRTHDAY!」のメールに、その届く時点での彼の年齢をメールに打つ彼女の気持はどんなだろう。
そのメールを待つ8年間と、それを受け取る時の彼の気持はどんなだろう?・・・

夜空を見上げると、無数の星が輝いている。
あの星の光は何万光年を経てこの地上に届いているのだろうか?
その星の光源は、その光が地上に届く間に消滅しているかもしれないのだ。
私が生まれた時にできた星の光が、今、この時、ようやく地球に届いているかもしれない。
そう思うと、夜空の星の輝きは本当に神秘的だ。

久しぶりに、元アニメ背景マンとして眠っていた「何か」を揺り起こされるようなアニメだった。

【ほしのこえ】http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/stars/index.html
【新海 誠】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%B5%B7%E8%AA%A0
      http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/