明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(738)安倍首相の大嘘を世界に告発しよう!(NHKWORLDの活用を!)

2013年09月13日 22時00分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130913 22:00)

みなさま。東京五輪招致のために安倍首相が大嘘をついたことことに対して、さまざまな人士が否定や批判の声を上げ始めています。
その一つに、なんと東京電力の姿があります。 同社の山下和彦フェローが、民主党議員に「安倍総理大臣は、IOC=国際オリンピック委員会の総会で、『状況はコントロールされており、まったく問題はない』と述べたが、発言のとおり、状況はコントロールできていると思うか」と問われ、「今の状態はコントロールできていないと考えている」と答えたのです。
これをNHKが報じているのですが、日本語放送とまったく同じ内容が海外向け英語放送でも流されています。記事内容には、菅官房長官の見苦しい首相擁護なども含まれていますが、よい機会ですので、ぜひこの英文を活用して、海外の知人・友人や、英語圏の人々にこの内容を伝えてください。
英語を読まれない方も、日本語版を読めば内容をつかめるので、ぜひ使って欲しいと思います。英語が堪能で、英語圏の友人がいる方から拡散してもらうのもいいと思います。僕はこれは、日本でこの事態を見届けているものの義務だと思います。世界に事実を伝える必要があります。

また東京オリンピック開催の問題を論じる非常に優れた論考をFACEBOOKの友人が教えてくれましたので紹介します。

あえて熱狂・東京オリンピックの死角を問う
http://diamond.jp/articles/-/41573

この記事では以下の点が書かれています。

1、政治家の嘘は世界では国内以上に厳しく咎められる。いずれ責任を問われる可能性がある。
2、東京五輪の真の狙いは、東京の湾岸開発だ。
3、この結果もたらされるのは、東京が輝き地方の影が増すことだ。
4、しかし汚染水対策など難問山積。「重病人を抱えた家庭が、隣近所を呼び集めて宴会を催す」のが東京五輪だ。
5、「東京カジノ」構想までもが便乗しようとしている。
6、成長期待の一本道ではなく、新しい時代への想像力が問われている。

読み応えがあります。ぜひご参照ください。

以上、さまざまな手段を使って、安倍首相の嘘を世界に告発していきましょう。今宵はNHKWORLDをご活用ください!
以下、日英両語のニュースを貼り付けます。英語版の前には、僕が書いた簡単な英語の紹介文もつけておきます。

*****

東電幹部「汚染水の制御できていない」
9月13日 17時1分 NHKNEWSWEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130913/k10014516761000.html

東電幹部「汚染水の制御できていない」

東京電力の幹部は、民主党が開いた会合で、福島第一原子力発電所の汚染水問題について、「今の状態はコントロールできていないと考えている」と述べました。
これについて、菅官房長官は、貯水タンクから汚染水が漏えいしている個別の事象について述べたもので安倍総理大臣のIOC=国際オリンピック委員会の総会での発言とは矛盾しないと反論しました。

民主党は、福島第一原発の汚染水問題への対応を検討するため、政府の担当者や東京電力の幹部らを呼んで福島県郡山市で会合を開きました。
この中で、東京電力の山下和彦フェローは、「東京電力として対策を取っているが、想定を超えたことが起きており、申し訳なく思っている」と述べました。
そのうえで、民主党の議員が、「安倍総理大臣は、IOC=国際オリンピック委員会の総会で、『状況はコントロールされており、まったく問題はない』と述べたが、発言のとおり、状況はコントロールできていると思うか」と質問したのに対し、山下氏は、「今の状態はコントロールできていないと考えている」と述べました。
これに対して、菅官房長官は、午後の記者会見で、「何回か厳しく問い詰められて発言したと承知している。東京電力に確認したが、発言の趣旨は、『貯水タンクから汚染水が漏えいしているという個々の事象が発生しているという意味だ』と聞いている。
こうした個々の事象が発生したとしても、対策を予防的、重層的に講ずることで、汚染水の影響が海洋に及ばないようにしていく」と述べました。
また菅官房長官は、記者団が、「安倍総理大臣のIOC総会での発言と異ならないのか」と質問したのに対し、「異ならないだろう。個々の事象として現実的にタンクから汚染水が漏えいしたことは事実だ。今までの1日1回のパトロールを4回にして応急的な対策を取るよう全力で取り組んでいる」と述べました。

民主・海江田代表「速やかに閉会中審査を」

民主党の海江田代表は記者団に対し、「東京電力が『コントロールできていない』と認めたことは重大な問題であり、安倍総理大臣がオリンピック招致の際に述べた事実と違う。
国会の閉会中審査は今月末になるという話もあるが可及的速やかに開くべきであり、臨時国会の召集も前倒しするよう野党一致して求めていきたい」と述べました。

*****

Dear my friends.
Our Prime Minister "Shinzo Abe" told a heavy lie.
TEPCO's Fukushima Nuclear Power Plant is not under control!!

Please read this report by NHK.
And tell your friend.

*****

TEPCO official: Leakage 'not under control'
Sep. 13, 2013 - Updated 09:39 UTC
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/news/20130913_36.html

A senior official from the Tokyo Electric Power Company has acknowledged that the radioactive water leakage at the crippled Fukushima Daiichi plant is not under control.

The government's top spokesman later said the assessment does not contradict Prime Minister Shinzo Abe's statement, delivered internationally, that the situation in Fukushima is under control.

TEPCO official Kazuhiko Yamashita was speaking at a hearing on Friday in Koriyama City, Fukushima Prefecture. The session was organized by the opposition Democratic Party, with officials from the government and TEPCO taking part.

Yamashita apologized for the radioactive water leaks, saying that what's happening now goes beyond TEPCO's assumptions.
A lawmaker asked if Yamashita agrees with Abe's statement made last Saturday at a general meeting of the International Olympic Committee in Buenos Aires.

Yamashita replied that he believes the current situation is not under control.

Chief Cabinet Secretary Yoshihide Suga later told a news conference that he heard Yamashita made the comment after being pressed several times for an answer.

Suga said government officials have confirmed with TEPCO that Yamashita was speaking in reference to independent incidents, including a leak of radioactive wastewater from a storage tank at the plant.

Suga said that even if such independent incidents take place, multi-layered steps will be taken to prevent the radioactive water from contaminating the ocean.

Suga said it is true that tainted water has leaked from a tank. But he said workers' patrols of storage tanks have been increased from once to 4 times per day, as part of all-out efforts to urgently deal with the problem.


 

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明日に向けて(737)福島原発汚染水大量漏れの考察(2) 汚染水垂れ流しの実態を構造的につかもう!

2013年09月11日 22時30分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130911 22:30)

7月21日の参院選投票直後から汚染水問題が全面化しだしました。それまで汚染水の海への漏れ出しを否定していた東電が一転して事実の公表を行ったからです。これ以降、タンクからの高濃度の汚染水漏れなども起こってきました。
この汚染水漏れにさすがに世界のマスコミも反応し、東電や日本政府への批判が飛び交うようになりましたが、こうした中で安倍首相は、東京オリンピックの招致プレゼンに出向き大嘘をつきました。
いわく「状況は完全にコントロールされている」とか「汚染水は0.3キロ平米にブロックされている」・・・。

同時に、東京での五輪開催決定のどさくさともいえるようなタイミングで、検察が東電幹部をはじめ、福島事故の責任者を不起訴にすることを決定しました。
参院選、東電による海洋汚染認め、汚染水問題への政府の全面的関与の表明、東京五輪大嘘プレゼン、検察による福島原発事故責任者の不起訴は一連の流れとしてあります。
私たちに今必要なのは、この次から次へと続いている事象の中の、本質的な流れをつかむことです。そのために必要なのは、現在にいたる時間的、歴史的流れをもう一度捉え返していくことです。

汚染水問題として捉え返されるべきことは何でしょうか。

まずはおさえるべきは、福島第一原発がどのような状態になっているかです。ご存知のように福島1号機から3号機は、大地震によってメルトダウンしてしまいました。炉心にあった燃料体が原子炉圧力容器を突き破り、原子炉格納容器の底に落ちてしまったのです。
東電は格納容器の下部にたまっていると言い続けていますが、多くの人士が、格納容器をも突き破り、地中に埋まってしまっているのではないかとも推測しています。
いずれにせよ、周辺は今もものすごい高線量地帯であり、人はおろかロボットも近づけなくて、実態を把握することが到底、不可能な状態にあります。

問題はこの燃料体が今も高熱を発し続けていることです。京都大学の小出裕章さんによれば、ウランは核分裂をすると放射能量がもともとの量の1億倍にもなってしまいます。
そこから放射線が出続け、エネルギーを発し続けます。これを核分裂の熱と分けて「崩壊熱」と呼びます。「崩壊」とはある放射性物質が放射線を出して、違う物質に変わる物理現象です。
このため核分裂を終えた核燃料は、冷却し続けなければなりません。熱を取りつづけなければならないのです。それができなくなってメルトダウンしてしまった今も、熱を取らなければどんどん高温化し、たちまち再度の大きな危機が現出してしまいます。

そのために事故以来、必死になって炉心に注水が行われてきたわけですが、原子炉が圧力容器も格納容器も、把握できない壊れ方をしているため、各所から中に入れた水が漏れてしまう状態にあります。
当初(2011年5月ごろ)には、原子炉を水によって満たして事故収束をめざす「水棺」の創出が目指されましたが、破たんしてしまいました。
このため今もなお、注水を行い続けているわけですが、これが核燃料と接して、熱を奪いながら高濃度に汚染され、原子炉建屋の中に貯まってしまうわけです。現在も建屋の中には高濃度汚染水が推定7万5千トンも貯まっています。(東京新聞7月26日)

これだけでも大きな問題なのですが、さらに事態を深刻化させているのは、福島原発サイトが、阿武隈山系からの大きな地下水脈の上に立地しているため、山側から1日1000トンもの地下水が流れてくることです。
そんなところになぜ原発を建てたのかと思いますが、それを横におくとしてもこのうち400トンが建屋の中に流入してしまっています。そのため炉心の冷却を循環型にしても連日400トンの汚染水が増えてしまうわけです。
それではすぐに建屋地下がいっぱいになり、汚染水が地表に流れてしまうのが明らかなので、東電はこれをくみ上げ、ゼオライトなどでセシウムを回収したのちに、タンクを建てて、そこに回収して、とりあえずの貯蔵をしてきたのです。8月現在でタンクの数が350基。汚染水の総量は34万トンです。

今年になってからの汚染水問題は、まずはこの原子炉建屋からくみ上げて、セシウムの除去を行う前の貯蔵先であった地下貯水槽でおこりました。
貯水槽といっても底にビニールシートを数枚重ねただけの非常に安易なもので、それから汚染水がしみだしてしまったのです。それが今年の4月に起こったことでした。東電はこの貯水槽の汚染水も、タンクに移送しました。
ところが5月ごろから、原子炉の海側にある地下水汚染観測用の井戸から、たびたび高濃度の汚染が発見されるようになりました。東電は繰り返し、事故後に発生した汚染水が周辺の土壌に沁みこみ、地下水に接して汚染している。海には到達していないと言い続けました。

しかし東電は、参議院選挙の終わった翌日7月22日に記者会見を開き、原子炉周辺で観測されていた汚染水が、海に漏れ出してることを認めました。
これはどういうことだったのか。東電によれば、原子炉から海に向けてトレンチと言われる地下トンネルが掘られています。そこには冷却用の取水と排水を行うパイプが敷設されており、同時に電源などの無数の配管も配置されていました。
そのトレンチから地上に向けて立て坑(ピット)と言われる直径7メートルの穴があけられていますが、このトレンチと立て坑(ピット)に、事故直後に発生した高濃度の汚染水が貯まっており、それが地下水と混じって、海に出てしまったというのです。

この点をもう少し詳しく解説します。そもそも汚染水問題は今年になって始まったのではなく、2011年4月にこのトレンチを伝わった高濃度汚染水が大量に海に流入されているのが発見されたのでした。
このとき東電は液体ガラス材などを投入し、この漏洩を止めたと発表しました。このときの漏れは520トンと見積もられました。
しかしトレンチはそれぞれの炉から海に向けて縦横無尽に走っており、とても地上から点検できるものではありません。原子炉を破壊した地震と津波によってどのような損害がでているのかまったく把握しようのない状態です。地下にあるので目視ができず、監視のための機器などもない。このうち漏洩を止めたのは目視できる部分でしかありませんでした。

ではここにどれぐらいの汚染水が貯まっているのかというと東電の推計で約1万1千トンです!(東京新聞7月30日)しかも濃度がものすごく高い。場所によって大きな違いがあるのですが、1号機2号機の間にあるトレンチからは1リットルあたりのセシウム値がなんと23億5千万ベクレル。法令限度の1500万倍のものが見つかりました。
このようにトレンチ内にかなりの濃度の汚染水が貯まっていることを東電が初めに発表したのは7月27日でした。
その後、どこの立て坑でどれぐらいの汚染が見つかったとか、情報が乱れ飛ぶように出されていきます。ストロンチウムもセシウムと同じように1リットルあたり何億ベクレルもあることが発表されました。

こうした発表をしている最中に、続いて東電は、8月2日に、実は地下水が毎日400トン、海に流れていたとの重大な発表をしました。しかも推定で2011年5月からです。当然にも地下水はトレンチなどのの汚染水と混じり、海に流れ続けていたのです。
このため膨大な汚染が起こったはずですが、東電はあえてこれを法令の一番甘い放射性トリチウムで計算。推定汚染を20から40兆ベクレルとしました。ちなみに放射性トリチウムの法令限度は1リットル6万ベクレル。福島原発は年間22兆ベクレルが許容されています。
東電は「それの2倍ぐらいだ。問題がないわけではないが」とうそぶきましたが、これはかなりの重大問題です。海洋汚染が2011年4月に止めたといいながら止められていなかったことを告白したのだからです。

端的に言って、そんなこと、2年以上も気が付かなかったのでしょうか。僕は分かっていたに違いないと思います。あるいは本当に気が付かなかったのだとしたら、東電は今、現場で起こっている基礎的なことが何も把握できていないことになります。

しかしこうした考察にマスコミが向かう前に、次の重大事態が発生しました。それが貯蔵タンクからの汚染水漏れです。発覚したのは8月20日ですが、どうも怪しい。僕にはタイミングを見計らっての発表に見えてしまいます。
ともあれ起こった事態は、急ごしらえで溶接が行えず、ボルト締めで作ったタンクの下部、おそらくはボルト締めのパッキング付近と思われる個所から300トンの汚染水がタンクの外に漏れてしまったということでした。
どれぐらいの濃度かというと、セシウムは除去されているのですが、ストロンチウムが1リットルあたり8千万ベクレル。法令の放出濃度限度の数百万倍です。それが300トン漏れたので、合計で数千テラベクレルと推定されています。(東京新聞8月21日)

原子力規制委員会は、当初これを事故の国際尺度のレベル1としましたが、すぐにレベル3に「格上げ」しました。しかし反対に言えば、その直前に公表された2011年5月から続いていたと告白された汚染水の混じった地下水400トンの海への流出は事故評価すらされなかったことになります。
こうした事態がありながら、安倍首相は、「状況はコントロールされている」「汚染水は0.3平米の中にブロックされている」と公言したわけですが、後者の数値は原子炉の直前のハノ字型の防波堤のある港湾の面積のこと。
しかし漏れ出した300トンの汚染水は、この港湾の外の外洋につながる排水溝を伝わって、海に流れてしまったことが8月23日に東電によって発表されています。東電が首相の言葉にうなづけなかった直接の原因でしょう。

さて、以上でこの間の汚染水問題の構造を把握することができたかと思いますが、ここまでまとめるまでに大変な時間と労力がかかりました。膨大な記事を読みましたが、さまざまな事象や数値が乱れ飛んでいて事態が把握しにくいのです。
また地下水の総量がどうなっており、そのうちどれだけが建屋に入り、どれだけが海に流れたのか、調べても調べても数値的にまだ僕が分かっていない点もあることもお伝えしておきます。東電資料を全部読み込めば分かるのでしょうがそこまでの時間がありませんでした。
このような困難な分析をしていると、こういう発表の仕方そのものが、人々の目を欺く手法なのだと思えてきます。いや実際にそうではないか。だからこそこの点に食らいつく必要を感じて分析を行いました。

ともあれ言えることは、次から次へと出されるめちゃくちゃな事態にマヒしてしまわずに、しっかりと批判精神を保ち、この事態に対決していこうということです。
今、起こっているのは大変な事故であり、汚染物質の漏えいです。にもかかわらず誰の責任も問われていない。というか責任者が逃げ出そうとしている。そしてそんなあり方にこそ、私たちの巨大な危機があるのです。
この危機を少しでも遠ざけるためには、民衆の側のウォッチ力を常に高め、原発の今の監視を続けて、危機を訴え続けることが必要です。大嘘で「勝ち取った」オリンピックの成功の大合唱にけして負けず、ともに批判精神を育て、行動していきましょう!

 

 

 


 

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明日に向けて(736)世界の信義を裏切った安倍首相の嘘を許さず東京五輪の危険性を訴えよう!

2013年09月10日 11時30分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130910 11:30)

東京五輪開催が決定しました。なんということでしょうか。すでにさまざまな健康被害の出てきている東京、福島原発事故が収束などしておらず、深刻な海洋汚染が進み、いつまた事態が悪化するかもしれないこの国に世界のトップアスリートを集めて「平和の祭典」を行おうというのです。あまりにひどいです。
なかでも最も許しがたいことは、安倍首相が世界の信義をまったく裏切り、東電でさえも言ってない大嘘を使って、福島原発による放射能汚染の危険性を完全に隠そうとしたことです。
いわく。「(原発の)状況はコントロールされている」。「東京に悪影響を及ぼすことはない。私が保証する」。
メインスピーチ後の質疑応答では次のようにも述べました。「汚染水の影響は福島原発の港湾内〇・三平方キロメートル内で、完全にブロックされている」「必ず責任を完全に果たす」。

開いた口が塞がりません。もともと安倍首相には人間的な信頼を持つことなどできませんでしたが、しかしこんな大嘘を、一国の首相が、世界に向けて公言するなどということがあってもいいのでしょうか。
繰り返しますが、あの嘘を繰り返してきた東電ですら言ってないことです。それどころか9日の記者会見で、東電自身が首相の公言を否定する見解を打ち出しています。
これを報道した毎日新聞の記事から一部を引用します。「9日に開かれた東京電力の記者会見で、報道陣から首相発言を裏付けるデータを求める質問が相次いだ。担当者は「一日も早く(状況を)安定させたい」と応じた上で、政府に真意を照会したことを明らかにするなど、認識の違いを見せた。」
東電ですら否定せざるをえない大嘘なのです。私たちは世界の人々への信義にかけて、このあまりにひどい虚言を訂正しなければなりません。積極的に福島原発の危機、東京にも汚染が及んでいることをアピールする責務があります。

まず何よりも批判しなければならないのは、「原発の状況がコントロールされている」という大嘘です。コントロールされているどころか、核燃料がどういう状態にあるのか、何が起こっているのかも把握できていないのが現実です。だから原子炉から湯気が立つだけでも東電が事態を把握できず、解釈がクルクルと変わっていきます。それゆえ、私たちはそのたびに危険を感じ、避難の準備を進めざるをえない状況なのです。
しかも膨大な汚染水が発生して対処不能に陥っている。もっとも深刻なのは周辺から流れ込む地下水が、炉内の冷却に使われた高濃度の汚染水と混ざってしまい、東電の控えめな推定でも300トンという膨大な量が、2011年3月の事故以降、海に流れ続けているという事態です。
これに加えて、必死になって貯めてきた高濃度汚染水がタンクから漏れ出すという事態も加わっています。これがまた地下水を汚染してしまっています。対策として汚染除去装置のアルプスの活用が目指されてきましたが、これもトラブル続きで実用の目途が立ちません。
さらに今年3月にクーリングシステムがねずみによるショートによって一斉にダウンしてしまうなどの事故も起こり、現場が場あたり的な対処の連続で、ぎりぎりの状態で命脈を保っていることも明らかになりました。要するにまったくもってアンコントロールな状態が続いているのです。

そもそも、政府がこの事態を今になってようやく認めたから、前面にでて公金を投入することにしたのではないのでしょうか。東電のこれまでの対処で「状況はコントロールされている」のであれば、なぜこのような対処が必要だと言いださねばならなかったのでしょうか。
安倍首相もそんなことは分かり切っているのです。にもかかわらず東京にオリンピックを招致したいとの一点ですぐにばれるような大嘘をついたのです。もちろん狙いはオリンピックの経済効果と、自分の首相としてのポイントの獲得でしょう。
しかしそのために、たちまち東電ですら否定せざるをえないような嘘をついてしまった安倍首相は、私たちの国に対する世界の信頼を大きく損なったと言わざるを得ません。海洋汚染問題を世界にお詫びし、本当の事故収束にむけて世界の英知の結集を訴えかけることこそが本来なすべきことであるのに、その道も大きく遠ざけてしまいました。
僕はこんなことは、絶対に、いつまでも通用しないと思います。いくら嘘を繰り返しても事実を変えることはできないからです。なかでもいくら嘘をついても放射能は消えません。その意味でこの大嘘は必ず安倍首相自身に何らかの報いをもたらすでしょう。

しかしそれに私たち市民・住民が巻き込まれるのはまっぴらです。私たちは安倍首相が大嘘をついた限り、反対に真実を声を大にして述べ続ける責務があります。真実の第一は、福島原発の現状があまりに深刻であることです。
そして二つ目に、東京にも深刻な汚染があること、「東京に悪影響を及ぼすことはない」などとはまったく言えないことを明らかにすることが大切です。この点は東京に住んでいるみなさんにもぜひ自覚を深めていただきたい点です。東京安全宣言に巻き込まれ、放射線防護を怠ってはなりません。
汚染を指摘する根拠はいくらでもあります。まず事故の初期に放射性ヨウ素が東京まで到達して、飲料水を汚染したという事実です。残念なことにこの放射性ヨウ素を東京在住の多くの方々が吸わされてしまったのです。
そのための健康被害が今後、どんどん出てくることが懸念されますが、自分が汚染されたか否かを心配するのはなく、ぜひとも汚染されたと腹をくくっての対処を進めていただきたいです。参考までに、ヨウ素による水道水の汚染を報じた当時の記事や、早川由紀夫さんがヨウ素汚染について論じた記事を紹介しておきます。

東京の水道水から検出 乳児基準超えるヨウ素
共同通信 2011/03/24
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032301000502.html

2011年3月に東京を襲ったヨウ素
早川由紀夫の火山ブログ 20130114
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-569.html

もちろん、福島からの風で運ばれてきたのはヨウ素だけではありません。セシウムもたくさん飛来して、東京の各地を手ひどく汚染してしまいました。これらについては、事故当初より、各地の土壌汚染を精力的に調査した「放射能防御プロジェクト」が繰り返し警鐘を鳴らしてきました。
ぜひ今一度、このプロジェクトが発表した調査結果に目を通して、東京や首都圏各地の汚染についての把握を進めて欲しいです。またこうしたことを自分の周りにいる海外から来られている方、あるいは海外に情報発信できる方にお伝えください。
東京の汚染は、こうした福島からの風によるものだけでもたらされたのではありません。汚染物質が大量に付着しているごみを集め、焼却してしまったために、とくに焼却場に近い地域がよりひどい汚染を被ってしまいました。
その上、東北の放射性物質の付着したがれきなどを積極的に引き受けて焼却してきたために汚染がさらに追加されてしまいました。このゴミには放射能だけでなく、ヒ素や六価クロムなど、津波によって工場などが破壊されることで発生したものも大量に混じっていました。これらをも勘案しつつ、以下のデータを参照して欲しいです。

首都圏150ヶ所放射能土壌汚染調査結果一覧(2011年8月8日発表)
http://tokyo-23.seesaa.net/article/219200602.html

東京で被曝対策をして生きるということ
http://hibakutokyo.com/3-%E3%81%A9%E3%81%AE%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%B1%9A%E6%9F%93%E5%BA%A6%E3%81%AA%E3%82%89%E4%BD%8F%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B/


さて、福島原発や東京の現実を世界に明らかにし続けるにあたって、私たちがおさえておくべきことは、当面、東京オリンピック成功に向けた大きなキャンペーンが開始され、反対の声を上げにくい状況が作られることです。
まず私たちはこのことに腹をくくり、孤立を恐れずに真実の声を上げ続けることに腹をくくろうではありませんか。
その際、私たちが踏まえるべきことは、東京オリンピック成功の大合唱は、必ず安倍首相の大嘘を肯定する方向に強まっていくということです。福島原発の危険性を覆い隠す方向にということです。

しかしこのこと自体が、現場の状況から人々の目をそらすことにつながり、現場で働いている方たちの孤立化をもたらし、危険性そのものを大きくします。
そのため、これに対して、政府が前面に立つこと、すでにして原発はコントロールされていることを、安倍政権が世界に公約したのですから、これまで以上に、原発の今へのウォッチを強め、安倍政権の福島原発事故処理を監視して、市民サイドから現状を明らかにし続けていく努力が必要です。
このことこそが危機の回避に大きな貢献を果たします。だからこそ私たちは孤立しようとなんであろうと、必至になってこの作業を続けていく必要がある。そのことで国民・市民を、私たちを、未来世代を守りましょう。

また東京オリンピック成功の大合唱は、津波被害に襲われた東北の回復、新たな街の創造を後景化させてしまう可能性が強くあります。「復興予算」にオリンピックの準備が先行してしまうということです。
おそらくは「オリンピックで儲かれば、東北へも波及する」などというロジックが使われるでしょうが、誰かが儲かれば、全体が儲かるなどと言うのは真っ赤な嘘であり幻想です。現実に私たちの国は巨額な富を貯めながら貧富の差の拡大ばかりを作り出しているのですから。
しかし被災地は、「東京オリンピック反対」とはいいにくいでしょう。だからこそ私たちが大きな声をあげ、オリンピックよりも東北の町の再建を優先せよという声を上げる必要があるのです。

さらにオリンピックに向けたムーブメントは、健康被害を覆い隠す方向にも流れていく可能性が高いです。これに対して立ち向かっていく必要があります。甲状腺検査をはじめ、健康被害に立ち向かう試みを強め、その結果を明らかにし、さらに広く健康被害との対決を呼びかけていく必要があります。
とくに僕は東京の人々のためにこのことが大切になってくると思います。なぜなら今後はオリンピック予定地の東京が、もっとも健康被害が起こっていることを隠される地域になりうるからです。そのことで東京では放射線被曝に由来すると思われる病を発症しても声をあげにくくなってしまう。
検査や治療が遅れ、病が深刻化してしまう可能性も大きくあります。病に対してはできるだけ早くその兆候をつかみ、免疫力を上げることを軸に、早期の対処をしていくことが肝心です。そうした意識が東京で大きく後退させられてしまうことに抗っていく必要があります。

どこの地域の人々だから大切だなどということはありませんが、東京は最も人口が多い街です。当然にも子どもたちももっともたくさんいます。その東京で、このような大嘘による安全宣言が世界になされたことこそが、都民にとっての最大の脅威です。
東京にお住いの方は、ぜひこのことに目覚めてください。放射線被曝の影響を今は感じない方も、そもそも東京の被曝の実態はほとんど都民に把握されていないこと、同時に放射線と人間の関係はまだまだ未知数であることにも着目して欲しいです。
だからこそ西洋科学の知見から言っても、健康被害が絶対にないなどとは言えないのです。チェルノブイリ原発事故でも病のピークは何年も経ってから出てきているのですから、今こそ、病に備えていく必要があります。そうした覚悟を抜きに東京に住み続けることは極めて危険です。愛する東京のために、東京の危険性をともに把握し、訴えていきましょう。

スポーツを愛するすべての方にも訴えます。スポーツを愛することは人間の命や体そのものを愛することに直結するものであると僕は確信しています。僕自身もスポーツを愛し、人間の命、身体の可能性の素晴らしさに何度も感動させてもらってきました。
そのスポーツの祭典が、放射能によって汚染された地域、しかも収束など程遠い、傷だらけの、アンコントロールな原発の近くで行われることなど許されることでしょうか。スポーツを愛するならば、なおさらこの暴挙に立ち向かわなければならないのではないでしょうか。
世界のアスリートたちは世界の宝です。その彼ら彼女らは、誰よりも自分の肉体の管理を重視している人々です。当然のこととして、多くのアスリートが東京オリンピックへの参加に躊躇し、悩みはじめているでしょう。汚染水問題は世界に報道されているのですから。こうした世界のアスリートたちのためにも、開催地の再考を主張していく必要があります。

幸いにも、この問題では私たちにはまだ時間があります。東京に注目が集まる中で、福島原発の今、東京の今、日本の今を、世界に発信していきましょう。そしてスポーツを愛し、だからこそ命を貴ぶ世界の人々と一緒に、放射能の問題を考え、ともに核の時代を終わらせていく可能性を切り拓いていきましょう。

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明日に向けて(735)福島原発汚染水大量漏れの考察(1) 問題は東電が重大犯罪を起こしているということ!

2013年09月06日 23時00分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130906 23:00)

福島原発から大量の放射能汚染水漏れが続いています。しかもとんでもない数字が連日出てきています。実は海に毎日400トンもの汚染水が流れ込んでいたとか、原発の近くのトレンチと呼ばれる溝に膨大な量の放射能がたまっていて、それも海に漏れ続けているとかです。
最近はこれにタンクから汚染水が漏れ出して、周辺でものすごい高線量の放射線が計測されているという事態が重なっています。その上、発表された数字がたびたび訂正される。あるいは新たな事実が小出しで繰り返し出てきて、話に修正に次ぐ修正が繰り返される。
これだけ次から次へと汚染水漏れが重なり、数字の書き換えなどが繰り返されると、よほど細かくこの事態を追いかけていないと何が何だか分からなくなってしまいます。そうするとにわかには問題を論じることもできなくなる。事態の全体像をつかむことがますますできなくなってきます。
僕はこうした構造自身が、東電によって仕組まれているように思えてなりません。おそらくは事前に把握していた内容を、続々と発表しているにすぎないのではないか。そのことで一つ一つの重大さが吟味される前に、次へ次へと話しを移してしまっているのではないでしょうか。

そのため、この間起こってきたことをあらためて時系列的にまとめ、事態を見えやすくする作業が必要だと思うのですが、それに先立って今回は、あらかじめ最も重要だと思われる点をピックアップしておきたいと思います。
まず何よりも問題なのは、実は汚染水漏れは、この夏、ないし本年になってあらたまって起こったことではなく、おそらくは2011年3月11日の事故直後に、核燃料がメルトダウンを起こして原子炉圧力容器を溶かしてしまい、格納容器の下部におちておそらくはそこにも穴をあけてしまって以来、一貫して起こっているのだということです。
この点でこの間の東電発表の中でも極めて重要なものは、8月2日に東電が原子力規制委員会に対して行った「護岸から一日当たり約400トンの地下水が海に流出し続けていた可能性がある」という報告です。
東電はこれを2011年5月からとしていますが、5月である根拠は、このころに高濃度汚染水漏れが発見され、ひとたび食い止めたとされてきたからです。つまりそれ以降、汚染水漏れはない建前になってきた。しかしそれが崩れたので、何のことはない、当初から一貫して汚染された地下水が海に入り続けてきたことを認めたということです。

この時の発表の仕方にも非常に重要なポイントがあります。東電は2011年5月以降に流出が続いていると仮定しつつ、漏れだした放射能の量を、放射性トリチウムを使って、20兆から40兆ベクレルと試算したのでした。
トリチウムはベータ線を出す放射能ですが、そのエネルギーが低いことを根拠に、ものすごく緩い基準値が設けられている物質です。1リットルあたり6万ベクレルもの排出が許容されてしまっている。このため福島第一原発の許容値は年間22兆ベクレルとされてきていて、それの2倍ぐらいだから大した問題がないような発表をしたのです。
僕はトリチウムの危険性がこのように非常に小さく見積もられていることは大きな問題だと思っています。トリチウムは水素の仲間で大変扱いにくい。そのため扱えるぎりぎりのラインが「許容値」にされているのではないか。実はここに原発の抜本的な問題の一つがあるのではないかと思ってもいます。
したがってこれはこれで大問題なのですが、しかし他方で、こうした発表の仕方に露骨な具合に見え隠れしているのが、東電がストロンチウムをはじめとする放射性核種の海洋汚染の実態から目をそらそうとしていることです。この点について僕は4月の時点から問題にしてきました。

明日に向けて(654)福島原発汚染水漏れを考察する・・・露顕したのは杜撰さとストロンチウム隠し?
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/c18da52e4f5ddcfccf7c6cade582d565

この記事でも明らかにしたように、これまでもどう考えても膨大なストロンチウム(おそらくはセシウムの10分の1ぐらい)が海に流出しているのに、それを示す海産物のデータなどがあがってこない。それで東電などによる海産物の調査を見るとストロンチウムの検体がものすごく少量で、しかも汚染の少ないものしか取り上げられていないことに気が付きます
今回も原発の周辺のトレンチと呼ばれる溝(原子炉に冷却水を取り入れるパイプは配線などが走っている溝。地下30メートルぐらいにあるものもある)から、ものすごい高い値のストロンチウムが繰り返し見つかっており、当然いも海への影響が必至なのですが、そのことがそれほどクローズアップされていない。ちゃんとした調査がされていないことこそが浮かびあがっているのですが、それを焦点化させないようにしているのです。
そのために膨大な汚染水が海に入ってしまったことを、2011年5月にまでさかのぼって認めつつ、どちらかと言えば、原発の周りの側溝や、タンクの中に高濃度の汚染物があるように世論誘導し、現に行ってしまった汚染の実態を巧妙に隠している。
これがこの間の一連の事態の露見、というよりは、多くはすでに分かっていたことを矢継ぎ早に明らかにしている中での狙いではないかと思えます。

さらに言えば、濃厚に疑われるのは、東電と自民党のあらかじめの取引です。すべての政党の中で唯一、原発推進を掲げている自民党にとって、参院選挙前にこれらの事態が露見すればあまりに不利であることは目に見えていました。
それだけに東電は、これらの事態を明らかにすることを選挙後にすると自民党にもちかけたのではないか。事実、5月ぐらいから原発の周りの井戸での高濃度汚染水の発見が指摘されながら、東電は海には影響がないと言いはり続けました。そして選挙が過ぎた翌日の7月22日に、やっと海洋汚染を認めたのです。
では東電が自民党に持ち掛けた交換条件は何でしょうか。一つに完全に破たんしている汚染水対策に政府の公金・・・ようするに私たちのお金ですが・・・を投入することを約束させることだったと思います。
さらにもう一つ、極めて重要な点があります。海洋汚染の追及をしないこと、とくに法的な訴追をしないこと、あるいはそれを免れさせることです。どちらも裏付ける証言などはなく、推論の域を出ないのですが、しかし濃厚な可能性と言ってよいのではないか。

僕はこのうち、法的な訴追を免れることを東電はかなり重要視しているように思えます。なぜか。当然にも法的に罰せられることを東電がこれまで繰り返してきたからです。しかしここまで東電は巧妙にそれを逃れてきました。東電を訴追すると自らも都合が悪いので、政府も東電をかばい続けてきた。
事故の当初を見てもこうしたことが見て取れることがたくさんありました。典型的には、高濃度の放射能を格納容器から噴出させたベントの実行です。このとき東電はベント実行をしぶり続けた。なぜでしょうか。危機の回避だとはいえ、毒物を大気中にまき散らすベントをすれば、傷害罪にあたり、訴追は免れないと思ったからでしょう。
これに対して政府の側が執拗にベント実行を迫りました。その結果、一部はベントが行われ、一部ではバルブの固着などでベントが間に合わずに爆発が起こったのですが、このとき、東電は訴追をこそ恐れて行動していたことは明らかです。(注記 その後の吉田所長からの聴取禄の開示により、この時、東電はベントをしぶっていたわけではないこと、とくに現場ではさまざまな機器が壊れる中で技術的になかなかうまくいかなかったこと、それをしぶっていると誤解されたことが明らかにされています。この点を付記しておきます。2014年9月25日)
自民党はおそらくはこうした東電の意をくみつつ、国が対策に全面的に乗り出すことを表明したのだと思いますが、ここにもまた東電の刑事責任をあいまいにしつつ、今なお地上にある汚染物質の方に目を向けさせようとの意図が明白に見えます。そうではない。国は東電を罰し、世界への信義にかけて徹底した海洋の汚染調査をすべきなのです。

こうした事態を前に、では私たちはどうしたら良いのでしょうか。またどうすることが私たちを今、目の前にある危機から少しでも遠ざけることができるのでしょうか。
それは徹底して東電幹部の犯罪を追求することで、現場への本当の責任を東電から国に完全に移していくことです。技術的に完全に息づまるとともに、モラルも完全に喪失している東電にこれ以上、現場をゆだねていること事態が危機だからです。
同時に東電に現場をゆだねることで、真の責任を取ることを回避してきた政府に、国を挙げての対応を迫る必要があります。責任を強制するのです。それを確実なものにするためにも東電を訴追し、犯罪行為は必ず追及されるのだという戒めを作ることが重要です。
これらを通じつつ、現場が事故収束などとは程遠く、今なお巨大な危機が目の前にあることを、全国民・住民に周知していくこと、そのことをもってこそ、現場で働いてくださっている人々への手厚い支援を強化すること、そこにこそ危機を少しでも遠ざける道があるのです。

戒めるべきことは、「また東電がやらかしたか」という具合に、東電をなじって終わってしまうことです。ある意味でそのような世論操作がされています。
しかし東電がいかにダメな会社であるのかを論じているだけでは、何ら問題への正しい対処の道は生まれてきません。何よりもこの事態に対して私たちが主体的になすべきことがそこからは見えてきません。なすべきことは私たちが正義を実現することです。
その点で、市民側の動きとして大ヒットだと僕が思うのは、9月3日に福島原発告訴団のみなさんが、汚染水問題で東電を刑事告発したことです。タイムリーで素晴らしい動きだと思います。
すべての国民・住民の命を守る行動で大感謝です。ぜひこの動きにご注目ください。そして今からでも告訴団に加わってください。以下、告発プレスリリースより、この告発のポイントを抜粋します。

***

福島第一原発事故の収束もないまま、福島原発告訴団の告訴・告発は不起訴にするとの報道がまことしやかに流れている。
本件東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件が発生したのは、まさに地検が上記告訴・告発について、真摯に捜査、検討せず、東京電力に何をやっても許されるという慢心を与えたためである。
本件告発では、本件の捜査を福島県民に寄り添い、その痛みを最も近くで理解している福島県警の手に委ねることにした。

https://docs.google.com/file/d/0BzG0nuqlnIlJaHE0X3NCYlluUXc/edit?pli=1

***

格調高い文章だと思います。まさにその通りです。
告訴文全文や詳しい報告をぜひ以下からお読みください。

福島原発告訴団
http://dainiji-fukusimagenpatsu-kokusodan.blogspot.jp/2013/09/blog-post.html
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2013/09/blog-post_3.html

むろん、抜本的には東電の訴追だけでも、今ある事態への鮮明化だけでも、それで危機のすべてが去るわけではありません。収束に程遠い現場を地震が襲ったら、いや竜巻が襲ったら、それどころかまたネズミに大事な配線をかじられたら、いつまた極端な危機に陥るかわかりません。
だからこそ繰り返し述べ続けているように、東北・関東を中心に、各級べレルでの原子力災害対策・避難訓練を行っていく必要があります。災害対策は行政が動かなくても市民レベルでも始められます。そのノウハウを講演で伝授できますので、ぜひどこへでも僕を呼んでいただきたいです。災害対策を重ねることこそが、安全性を少しでも拡大することにつながるからです。

以上、汚染水問題を見るときに、一番大事なのは、これは東電が起こした重大犯罪なのだということです。そもそも福島原発事故の総体がそうです。
この大犯罪がきちんと裁かれずして、私たちの前にある危機が去るわけがない。また私たちの人権や安全、幸せが打ち立てられるわけがありません。このことを一番の基礎に据えて、汚染水問題の主体的な把握を進めましょう!

 


 

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明日に向けて(734)特別警報が出たら「ただちに命を守る行動」を!

2013年08月31日 22時30分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130831 22:30)

各地で大雨が降っています。前線を伴った低気圧が、日本列島を通過中です。本日16時31分に配信された気象に関する記事では以下のように報じられています。

***

前線を伴った低気圧は、9月1日にかけ北日本を通過し、前線が東日本から西日本に停滞する見込みだ。福井県坂井市付近では、31日午後5時30分までの1時間に約80ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁は記録的短時間大雨情報を発表した。
低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、北日本から西日本にかけ、広い範囲で大気の非常に不安定な状態が続く。

***

これからまだまだ各地で大雨が降ると思われます。ぜひ警戒を強めてください。僕もこの雨の中、明日(1日)5時起きで、長野県の千代田湖キャンプ場に車で向かいます。十分に気を付けて、安全を確保しながら行動するつもりです。

今回の記事に「特別警報が出たら、ただちに命を守る行動を」と書きました。この「特別警報」とは、本年8月30日午前0時より、気象庁によって運用が開始されたものです。
これまでは「注意報―災害が起こる恐れ」「警報―重大な災害が起こる恐れ」という二つの気象状況における警戒の呼びかけがあったのですが、新たに加わった「特別警報」は「これまでにない災害が起こる恐れ」への対処を呼び掛けるものです。
「これまでにない災害」とは「数十年に一度のレベルの大雨、暴風、高潮などが予想される場合」であるとされており、「ただちに命を守る行動」を呼びかけるとされています。詳しく知りたい方は以下の気象庁のHPをご覧ください。

特別警報について 気象庁
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/

なぜ「特別警報」が新たに設けられたのか。ここ数年、気候変動などの影響により、「ゲリラ豪雨」など、明らかにこれまでなかったような集中豪雨が頻発しており、大規模水害が多発しているからです。
その多くが「観測史上最大の降雨」などを記録しており、これまでの防災の「想定」を超えています。そのため予想を超えた洪水、土砂災害が頻発しており、いっぺんにたくさんの方が命を失う悲劇も生まれています。そのために「ただちに命を守る行動を」が必要になっているのです。

僕はこれまで繰り返し、原子力災害への備えを固めることを訴えてきました。その際、一番重要なこととして強調してているのは、防災心理学に言う「正常性バイアス」のわなにはまらないことです。
「高度な文明」の中にいる私たちは、日ごろ、命の危機に直面することがきわめて少ない。それは大変良いことですが、そのため命の危機が迫ってきた時に、それを察知し、対処していく能力も低下しています。
このため非常にかかりやすいのが、危機に直面しても、危機を認識できなかったり、認識しようとしなかったりしてしまう心理状態です。事態は「異常」ではなく「正常」なのだというバイアス=偏見を現実にかけてしまうのです。
「異常」を感知したらそれと立ち向かわなくてはいけない。「正常」であれば何もしなくていい。心理的に楽です。そのため心が「異常」の感知を拒否し、「正常」だと思い込もうとしてしまう。これが正常性バイアスです。

現在の水害に対しても、こうした心理的システムが働きやすい。そしてこれまでの「安全経験」に依拠してしまう心理がたびたび頭をもたげます。しかし「ゲリラ豪雨」の多くは「想定外」の被害をもたらしています。
端的に言えば、これまで川の流れを「完璧」に止めてきた堤防が、越流され、あるいは決壊する事態などが起きているのです。だから私たちはこの新たな命の危機に対して、心をリセットし、正常性バイアスにかからず、的確な対処がとれるようにする必要があります。
そのためには「特別警報」が出てからすべてを始めるのではまったく遅い。大事なのは日常から、身の回りにある危険性を把握しておき、特別警報が出たときには「ただちに命を守る行動」に即座に移ることができるようにしておくこと。そのための準備を進めることです。
もちろん「特別警報」の前のものとされている「注意報」「警報」の段階から、命の危機を十分に感じて、対処を始める必要があります。

それでは備えとしては何が必要でしょうか。まずは起こるべき災害の前兆を知っておくこと、災害が起こったらどうなるのかのシミュレーションをしておくことです。
なかでも豪雨によって起こりやすい被害は川の氾濫と「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」の発生です。それぞれに違った危険があるので、まず自分の住んでいる地域で被害が起こるとしたらどれなのかの把握を進めてください。
大事な点は、この作業は、晴れた日、ないしは気象条件の悪くないときにやっておくことであるということです!ぜひ地域を災害対策の視点から歩き回ってみてください。みなさんの家の川からの距離はどれぐらいでしょうか。また近くに農業用水などはないでしょうか。
川が堤防を越流し、道路が冠水してしまった場合、恐ろしいほどに今まで見えていたものが見えなくなります。もっとも危険なのは道路と側溝や農業用水などの境界が分からなくなることです。実際に2009年の兵庫県佐用町水害では、自宅から避難所に向かった人々が、避難所の手前で、側溝に落ちて流され6名が命を落としています。

それでは雨が強くなり始めたときにはどのような点に注意すべきでしょうか。「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」にはそれぞれに前兆があるので、それを目安に危機をつかむことです。以下、前兆を列挙します。
「土石流」の場合  〇山鳴りがする。〇急に川の流れがにごり流木が混じっている。〇雨が降り続いてるのに川の水位が下がる。〇腐った土のにおいがする。
「地すべり」の場合 〇沢や井戸の水がにごる。〇地面にひび割れができる。〇斜面から水がふき出す。○家や擁壁に亀裂が入る。〇家や擁壁、樹木や電柱が傾く。
「がけ崩れ」の場合 〇がけに割れ目が見える。〇がけから水がふき出ている。〇がけから小石がパラパラと落ちてくる。〇がけから木の根等の切れる音がする。

ゲリラ豪雨についても、目安が語られるようになってきましたので、それを列挙します。
〇天気予報に「所によりにわか雨」「大気の状態が不安定」「大雨、落雷、突風、竜巻、雹(ひょう)」のキーワード。〇防災気象情報で「大雨・洪水警報」「大雨・洪水特別警報」「周辺や川の上流で大雨」が語られる。
〇川の水かさが急に増えてきたり、濁ったり、木の葉や枝、ごみなどが大量に流れてくる。〇雷鳴が聞こえたり雷光が見えたりする。〇ヒヤッとした冷たい風が急に吹き出す。〇大粒の雨や雹(ひょう)が降り出す。〇黒い雲が広がり急に暗くなる。

では「特別警報」が出たり、そうではなくてもこれら危機の兆候が見られたらどうすれば良いのでしょうか。
大事なのは自分たちで自分たちの地域の危険度を気象情報などから察知すること。そのうえでできれば念のために明るいうちに早期自主避難をすることです。
とくに土砂崩れ・河川氾濫の恐れがある地域は、夜になる前・大雨になる前の早めの行動が必要です。そのためにも日ごろから避難所・ハザードマップを確認することが重要です。
ただし道路が冠水している場合は、避難行動の方が危険な場合もあります。佐用町災害がその典型ですが、そのため家が濁流で流される危険性のない場合は「遠くの避難所よりも近くの2階」がより安全だということを知ってください。

続いて避難行動に移る際の目安についても書いておきます。前提的に危機の察知においては自分の五感を大事にし、以下に書いたことに当てはまらなくても「避難したほうがいい」と感じたら行動した方がいいです。その上で目安を書きます。
○市町が自主避難を呼びかけたら。○前触れと思われる現象(前兆現象)を発見したら。○近く(同じ市町内や隣接する市町)で土砂災害が発生したら。○これまでに経験したことのない雨を感じたら。

避難行動に移るにあたっての心得も書いておきます。
〇防災気象情報、防災避難情報に注意。〇車で避難しない⇒ワイパーやブレーキが効かなくなる。アンダーパスに突っ込むと立ち往生。〇浸水が40~50㎝になると外開きドアは開かない。歩行も困難。⇒早期自主避難が大切。
〇「遠くの避難所より、近くの2階」。(ただし家屋の流失の危険性が少ない場合)〇避難するときは隣近所に声を掛け合う。〇避難者同士それぞれロープをつかんで避難。〇荷物は最小限にしできるだけ両手を開けて避難。
〇マンホールや側溝のフタが外れているとすごく危険。傘や棒などで前を探りながら進む。〇避難時はヘルメット、手袋、雨具、長ズボン、長袖シャツで。懐中電灯も。〇長靴は水が入ると動けなくなる。脱げにくい紐スニーカーなどで避難。
〇火の元、ガスの元栓、電気のブレーカーを閉じ、戸締まりして避難。〇半地下・地下室には近寄らない。〇川、側溝、橋、マンホールに近づかない(絶対に様子を見に行かない)

なおより詳しいことを知りたい方は、防災心理学の知見から優れた啓発を繰り返している「防災システム研究所」のホームページをご覧ください。僕もここから「正常性バイアス」のことなど、重要な点を学びました。

防災システム研究所
http://www.bo-sai.co.jp/index.html

以上、それぞれで防災体制を高め、ぜひともあらゆる災害への対処能力を高めてください。
なお「ただちに命を守る行動を」という気象庁の呼びかけに対し、なぜあの福島原発事故のときに、政府がこのような呼びかけをしなかったのか、悔しさや無念さが去来します。
同時に今もなお、放射線から「ただちに命を守る行動」が繰り返し必要になっていることを、あらためてみなさんに問いかけたいです。

防災体制を高めることは、危機感知能力を高めることであり、正常性バイアスのわなにかかりにくい心の強さを作るものです。そのため僕は水害への対処能力を高めることは、原発災害への対処能力を高めることにもつながると確信しています。
もちろん原発災害には固有の特徴があり、それをつかむことが大事です。しかしベースになるのは、危機管理を誰かに、とくに政府や「専門家」に任せるのではなく、自ら担おうとする観点、そのために日ごろから災害の可能性をシミュレーションする感覚を養うことです。
その意味で、原発災害への備えを進めるためにも、目の前にある他の災害の可能性への対処能力も高めていくことが大切です。
またそれぞれの地域でこうした災害対策を進めることは、必然的に地域のコミュニティを強化していくことにもつながります。大きな災害には、地域力があってこそ有効に対応しうるからです。

これらの可能性をもみすえつつ、ぜひ、それぞれであらゆる災害への防災・減災体制を作り出すことに尽力しましょう。平和を守るための大事な行動としてとりみましょう!

 

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明日に向けて(733)2つの祭りでお話します!再度の全原発停止をみすえ脱原発集会にも参加します!

2013年08月29日 22時00分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130829 22:00)

講演の予定です。
9月1日に長野県伊那市高遠の千代田湖キャンプ場で行われる「ちいさないのちの祭り」に参加してお話しします。
「ちいさないのちのお話」というタイトルで、福島原発事故のことを中心に話します。

なおこのお祭りは、8月30日から9月1日まで行われます。台風の影響が心配ですが・・・。
さまざまなミュージックライブなどもありますが、一つの特徴として、ネットで宣伝をせずに、手作りのチラシと口コミだけで宣伝しています。
それでも昨年、たくさんの人が集まりました。

主催者の一人、大鹿村の田村寿満子さんが、素敵な顛末記を書いています。祭の様子が分かるのでお読みください!
 
ちいさないのちの祭り顛末記
大鹿村 田村寿満子 
「なまえのない新聞No.176 2013年1・2月号
http://amanakuni.net/GraphicData/176chiisana.pdf

また今回のチラシの裏面が以下から読めます。
http://www.geocities.jp/starchild910/_gl_images_/chisanainochinomaturi.jpg

僕は昨年の呼んでいただいたのですが、このときは田村さんに依頼されて、原発事故のことと、旧日本軍性奴隷問題(軍隊「慰安婦」問題)とのつながりを話しました。
今回も、このテーマをより掘り下げてお話ししようと思っています。お近くの方、ぜひお越しください。

9月1日
第2回ちいさないのちの祭り
13:00~14:30「ちいさないのちのお話」守田敏也
場所 長野県伊那市高遠千代田湖キャンプ場
参加費 1日500円(20歳以上)

***

続いて9月6日から17日まで、滋賀県朽木村で行われる山水人(やまうと)2013での座談会に参加します。僕がコーディネーターをやると思います・・・。
参加者はほかに中嶌哲演さん〔小浜・明通寺住職〕鎌仲ひとみさん〔映画監督〕廣海緑朗さん〔Nonベクレル食堂〕西野ひかるさん〔夢のちからプロジェクト・若狭〕です。
山水人では一昨年に鎌仲さんと一緒にお話ししました。昨年は中嶌さんとでした。お二人ともみなさんよくご存知のようにずいぶん深い活動をされてきた方で、とても楽しくお話しながらたくさんのことを学ばせていただきました。
廣海緑朗さんともこれまで2度ほど企画で対談させていただいています。西野ひかるさんとは初対面になりますが、ともあれずいぶん豪華なメンバーと一緒の座談会になります。楽しいひと時をみなさんにお届けしたいです。
テーマはやはり原発問題になりますが、どの切り口から入るのか。これから中身を練り上げていきます。いずれにせよ、それぞれの方の豊富な経験が引き立つ会にしますので、どうかご参加ください。

9月7日
山水人2013
http://yamauto.jp/

座談会 13:00開始

中嶌哲演〔小浜・明通寺住職〕
守田敏也〔フリージャーナリスト〕
鎌仲ひとみ〔映画監督〕
廣海緑朗〔Nonベクレル食堂〕
西野ひかる〔夢のちからプロジェクト・若狭〕

***

この他、15日、全原発の再度の停止の日に京都で行われる脱原発集会をご紹介しておきます。もちろん僕も参加します!

9月15日“原発とまった!これから廃炉”京都デモをします。 ぜひ、ご参加ください!

全国の全原発が再び止まる9月15日、「全原発停止」を知らせ、「次は廃炉」へ進もうと呼びかけるデモをします。
政府は、“次々再稼働”を狙っていますが、福島第一原発事故の現実とその後の運動・世論は、この9月に、再び「原発の動いていない日本」を作り出します。
デモは、そのことを知らせ、危険な原発はもう二度と動かさないで! 政府の意志で「原発ゼロ」を決め、このまま廃炉にむかへ、と求めるものです。
当日は、出発前集会などは行わず、午後2時半から集合を始めて、午後3時デモ出発の予定です。上記の主旨に賛同いただける皆さん、ぜひデモにご参加ください。
周りの皆さんにも、デモへの参加を呼びかけて下さい。よろしくお願いします。
楽器大歓迎、横断幕・メッセージボード、市民の皆さんの共感を広げるフレンドリーな表現をお待ちしています。
   
日時:9月15日(日) 午後2時半集合、3時出発

集合:円山公園しだれ桜西側-ラジオ塔前
*デモコースは、円山公園から四条通、河原町通を通って、京都市役所前までのコースです。

呼びかけ人:アイリーン・美緒子・スミス、池田文穂、井坂洋子、石田紀郎、伊塚浩平、内富一、川越義夫、清本ゆきえ、小坂勝弥、榊原義道、
坂本真有美、佐々木佳継、白塚悦子、宗川吉汪、槌田劭、寺野哲也、中本式子、西本仁美、藤井悦子、松本修、村上敏明、森野修一、 山田吉則、吉永剛志

主催:“原発とまった!このまま廃炉”京都デモ・実行委員会(上記のメンバーが、このデモのために作ったものです)

 


 

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明日に向けて(732)福島の甲状腺がん確定数は半分の検査結果の数でしかない!実際には倍以上か?

2013年08月28日 23時30分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130828 23:30)

明日に向けて(729)で、福島のこどもたちからすごい勢いで甲状腺がんが見つかっていることを論じましたが、記事の中で、国際水準との比較数値を間違えてしまいました。
現在の発症は19万3千人中約40人ほど。国際水準は100万人に1人とされているので約210倍、100万人に2人として約105倍になるのですが、僕の記事では誤って2100倍から1050倍と書いてしまいました。読んでくださったからの指摘で気が付きました。
センシティブな内容での数値を10倍も間違えてしまい、申し訳ありませんでした。慎んでお詫び申し上げます。なお当該の記事には訂正日時を明記したうえで、すでに修正を施してあります。

さてこれを機会に再度、福島県の発表の際に提出された資料をじっくりと読み込んでみました。8月20日に出されたものです。

県民健康管理調査「甲状腺検査」の実施状況について
https://selectra.jp/sites/selectra.jp/files/pdf/250820siryou2.pdf

これをよく読み込んでみると、実は19万3千人中の約40人という発表の仕方にも大きな問題があることが見えてきました。
なお実際の発表は確定18人、疑い25人、疑われたけど良性だったのが1人というものです。疑いは医学的に90%の確率と言われているので、もともと疑われていた26人に0.9をかけると23.4という数字が出てきます。これと18を足すと41.4人になります。話を見えやすくするためここでは約40人としてあります。

さて何が問題なのかを明らかにするために、まず甲状腺検査の進め方の概略を見ていきます。初めに行われるのはエコー診断で一次検査と呼ばれます。
この結果が4つに分類されます。
A判定 A1 結節やのう胞を認めなかったもの 
A判定 A2 5.0ミリ以下の結節や20.0ミリ以下ののう胞を認めたもの。
B判定 5.1ミリ以上の結節や20.1ミリ以上ののう胞を認めたもの。
C判定 甲状腺の状態等から判断して、直ちに二次検査を要するもの。

判定への対処が以下のように説明されています。

***

A判定は次回(平成26年度以降)の検査まで経過観察。
B、C判定は二次検査を実施
A2の判定内容であっても、甲状腺の状態等から二次検査を要すると判断した場合、B判定としている。

***

ここから非常に重要なポイントが浮かび上がります。何かと言えば、A判定といえども現時点では甲状腺がん発症の可能性を否定できたわけではないということです。
実際、チェルノブイリでも4、5年目から発症数が急上昇しました。そのことでもって政府は、今、見つかっている甲状腺がんは福島由来のものとは言えないと主張しています。僕はそうではなく、現時点でも原発事故の影響が出ていると考えますが、しかし今後、発症が本格化しうる可能性は確かに高いと思います。
そうであるがゆえに、つまり福島原発の被曝では、まだがんが形成されておらず、この先、発症する例も十分にあることになります。その点で、A判定の子どもたちを経過観察をすることは正しい。しかも、がんはできるだけ小さいうちに発見することが望ましいのですから、可能な限りの頻度で行うことが求められます。
ともあれ、この点が19万3千人中約40人とは言えないことの一つ目の根拠です。少なくとも、「現在約40人が見つかっている」と言うべきで、今、見つかっていない子どもたちからも、残念ながら、将来、がんが発症する可能性を否定できないのです。

次に二次検査とは何かを見ていきます。これは次のように説明されています。

***

一次検査により、結節等が認められた場合は、福島県立医科大学において二次検査(詳細な超音波検査、採血、採尿、必要に応じて細胞検診)を実施している。

***

資料の4ページ目にこの二次検査の実施状況の一覧表が掲載されているのですが、そこを見ると平成23年度から25年度の調査で二次検査対象者となったのは1280人であるのに、二次検査終了者は625人にしかなっていないもとが分かります。残り655人がまだ検査が終了していないのです。
ということは現在の約40人が確定という検査結果も、この625人の受診結果に過ぎないことが分かります。すでに検査が終わった625人とまだ終了していない655人は住んでいる地域が違うので単純比較はしにくいのですが、それでも仮に同じ比率であると考えた場合、約42人がさらに確定になる可能性があります。
そうするとここでの確定数は約82人になることになります。19万3千人中約82人が確定の可能性ありということです。福島の子どもの総数は約37万人ですから、同じ比率で確定者が出てくるとなんと約157人にもなることになります。もちろんその場合も、がんと診断されなかった子どもたちにも発病の可能性が残り続けます。
しかも憂慮されるのは、ヨウ素が相当量流れたと思われる、いわき市の子どもたちが今回の調査にはほとんど入ってないことです。(実際には一地区の341人のみが検査対象になり、3人が二次検査対象に。二次検査は未終了)。このため同じ比率が適用できるとは限りません。

さてここでまた国際水準との比較を論じたいと思います。国際水準は100万人に1人ですから、19万3千人中約82人という数はその424倍にもなります。
しかもこれは現時点での確定数であり、繰り返し述べてきたように、現在、がんが発見されていない子どもからも見つかる可能性があるので、424倍以上という必要があるでしょう。ちなみに100万人に2人とした場合は、半分ですから212倍以上です。
ともあれここでは、19万3千に中、確定18人、疑い25人、良性1人という発表の仕方が、誠実なものとは言えないという点を指摘しておきたいと思います。まだ二次検査が半分しかすんでいないことを明示すべきなのです。
資料にはこのことが並べられているので、ウソの発表とは言えないわけですが、これでは意図的にミスリーディングを誘うようなものです。

こうした現実に対してどうするか。すでに(730)で述べたように、僕は免疫力を上げて、がんを抑え込んでいくべく、みんなで努力することが大切だと思います。
もちろん食事療法は当事者や近親者が担うものですが、けして個人任せにせずに社会的ムーブメントを作る必要があります。
同時に、これまでも各地で行っている保養キャンプの実施、あるいは可能な限りの避難の促進も重要です。
放射性ヨウ素の半減期は短いですからすでに被曝は終わってしまっています。だとするならば、被曝した体に可能な限り、ストレスの追加を防ぎ、免疫力を上げることで、がんを抑え込んでいくことが大事なのです。

そのために良いものを食べる必要がある。いいところにいって、いい空気を吸う必要がある。そして何よりもいい人たちに囲まれて、自分は大切な存在なんだ、大切にされているんだという思いで胸を膨らませてあげる必要がある。
現時点ではA判定であろうと今後、がんが発症する可能性を否定しきれないのであれば、発症数を可能な限り抑え込む努力を私たちの手で積み上げようではありませんか。
そのために決意を作るために、腹を決めるために、現時点で国際水準の200倍から400倍とも推定しうる発症数を、ありのままに見据えることが必要だと思います。

この点を踏まえて、甲状腺問題のウオッチを継続します。

 

 


 

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明日に向けて(731)小水力発電の可能性・・・水を使った地域の再生 その1

2013年08月25日 07時30分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130825 07:30)

昨日より岐阜県郡上市の最奥の集落、石徹白(いとしろ)に来ています。小水力発電の視察の旅です。実に面白く充実した旅です。
みなさんは小水力発電と聞いて、何を想像されるでしょうか。まず浮かんでくるのは水車ではないでしょうか。
確かに典型的な水車タイプのものもたくさんありますが、他方で新しいタイプのものもいろいろと開発されてきています。要するに水の流れで、モーターを回して発電できればいいわけです。
このため、設置場所の条件に応じて、いろいろなタイプのものを使うことができます。反対に言えば、何をどう使うかの幅が大きい。創造性の発揮の余地がたくさんあるのです。

しかし小水力の魅力はもっと大きなところにあります。何よりも大事なのはそれが地域の再生につながっていくこと。地域の新たな拠り所になることです。
日本は世界の中でも稀有の降雨地帯です。石徹白などは雨だけでなく冬には豪雪が降ります。雪渓ができてそこからも水が供給され続けます。雪渓は天然のダムです。
しかも日本は国土の大半が急峻な山岳地帯です。石徹白も標高が700メートルもある地点にありますが、水は高いところからたくさんの滝を作りつつ、海まで流れてくる。
この高低差の生む位置エネルギーが「水力」になるわけですが、それを一番仕掛けやすいのは、山から水が里に降りてきたところ、つまり山里なのです。

ご存知のように、私たちの国の高度経済成長では、この山里が見捨てられ続けました。伝統産業である林業が、エネルギー革命や海外からの安い木材の輸入の中で見捨てられてきました。
加えて、日本に合わない大規模耕作を目指した農業政策の誤りが、農村でもある山里をさらに疲弊させてきました。また工業重視の政策により、山里から都会への人口の大移動が続きました。
しかし山里の存在は、高度経済成長にとって足手まといだったのでしょうか。断じて否!それどころか日本の高度経済成長もまた、山里から流れてくる豊富な水があってこそ実現されたものでした。
その際、重要なのは、戦後、山里の人々が、営々と植林を行ってくれたことです。そのおかげで高い保水力が維持されてきた。それでこそ都市部への安定的な水の供給ができてきたのです。

日本は世界の中でダントツに森林面積の高い国です。現在の森林率は約67%。太平洋戦争中はどうだったのかというと、戦争のために乱伐が行われて45%まで落ちていました。
日本中にはげ山が現出していた。そうなるとどうなるか。各地に降る豪雨が、そのまま山肌を駆け下りていって、恐ろしい勢いで都市部を襲うのです。洪水の発生です。
戦後史を振り返ると、空襲の荒廃から立ち上がろうとした都市が、伊勢湾台風での災害など、繰り返し大規模水害に襲われていることが分かります。
このとき山里の人々は営々と植林を始めました。自分たちの裏山の荒廃を止めるため、主に杉などの針葉樹林を植えました。5年、10年と経つうちに次第に山がにぎわいを取り戻し、洪水が減っていったのです。

洪水が減るということは、水の供給が安定化するということです。ぜひ晴れた日に川のほとりにたって流れを見てほしいのですが、雨も降ってないのに豊かな水が流れるのは山が保水をしてくれているからです。
保水の源は樹木です。その樹木を植えた人々がいたから、水がひとたび山に保たれ、急峻な山肌を流れずに、伏流水となって都市のもとにうるおいの水となって届くようになったのです。
その意味で山里の人々こそが、私たちの国の高度経済成長の下地を作ってくれたのでした。戦後の植林があったからこそ、私たちはその後の工業的発展を享受できた。
しかしその恩が山里に返されたのかというとまったくそんなことはありません。成果は大半が都市部の企業のものに、あるいは都市部の生活者のものになってしまいました。かくして日本の山村は過疎化していったのです。

僕が小水力発電の試みに深く共感するのは、この試みの一番の適地が山里であることです。豊かな水が里に流れ落ちてきたところ、里の中にも高低差がたくさんある地域にこそ、さまざまな水車をしかける余地にあふれている。
しかし日本の河川には複雑な水利権などがあり、何をするにも当事者が集まっての協議が必要になります。一見、大きな障害なのですが、実はここにも面白さがある。
というのは水力を使おうとすると、さまざまな人々の利害調整が必要になるため、人々が集って話し合いをする必要が生じるのです。そしてそれがまた地域の再生の可能性を大きく広げることになりうる。
水力をめぐって、だんだんに失われてきた地域の中の話し合いや、地域そのものの見直しの機運が生まれてくるからです。ここに大きな魅力があるのです。

実際、山奥にある豪雪地帯のここ石徹白の方たちが、小水力発電にかける思い、合言葉は「将来にわたっても石徹白小学校を残す」だそうです。
小学校が残るとは子育て世代がいつも居続けることと同義です。それでこそ地域は存続できる。そして地域が存続してこそ、山里が守られ、山が守られ、木々が守られていく。そして木々が守られてこそ、都会が守られ、工業も商業も守られていくのです。
小水力発電には、この国が戦後の「猛成長」の中で捨ててきてしまった大事なものを取り戻していくものがあるように僕には思えます。
それは「競争と成長」というキーワードの中で、私たちが見失ってきてしまった何かなのではないか。水資源にとどまらぬ、心の栄養の何かなのではないかと僕には思えるのです。

そんな観点から、この二日間の小旅行でみたものを、レポートしていこうと思います。

つづく

・・・しかしこうして取材をして連載をするたびに、次の取材や課題が出てきてしまい、(あるいは僕の問題意識が拡散してしまい)連載途中で止まってしまうことを繰り返してしまっています。
大変、申し訳ないです。なんとかしないといけないと思っています。その点でこのレポートは、石徹白編と、今日、これから向かう白川郷編のあと2回で終えようと思います。ともあれごめんなさいです・・・。

 

 

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明日に向けて(730)被ばくしてもやれることはある!・・・被爆者を守った食生活の知恵に学ぼう!

2013年08月24日 22時00分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130824 22:00)

岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)という集落に来ています。小水力発電の視察旅行です。たくさんのことを見学させていただきました。
すでに現場から僕のFacebookのページに次々と記事をあげましたので、可能な方はご覧ください。
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

ここにも記事を書きたいところですが、今宵は昨夜、発信した子どもの甲状腺がんについての記事に次ぐものを優先したいと思います。被曝して、それでどうするかです。
タイトルに書いたように、被ばくしてもやれることはたくさんあります。さまざまな角度から命を守る闘いを作り出せるということです。中でも大事なのは、病にならない食事のすすめです。
この点でみなさんにぜひご紹介したいと思う文章に出会いました。8月2日に参加した京都被爆2世・3世の会の集会ののちに、会員の方から教わったものです。

この方は被爆者の夫を、主に食事の改善によって守り抜き、被爆後67年間の生きることを可能にされました。そのエッセンスを書いて下さっているのですが、何が大事なのかがコンパクトに書かれています。
読んでいてとても感動しました。こうした実践がすでに積み上げられてきているのです。あらためて、「こうすれば被ばくに対抗できる」との思いを強くしました。もっと被爆者の方たちの知恵に学びたいとも。
今宵はこの素晴らしい体験談をぜひみなさんとシェアしたいと思い、記事をしたためました。どうかできるだけ多くの方にお伝えください。とくに被ばくの影響に心身ともに苦しんでいる方に読んでいただきたいです。

被爆者を守った食生活の知恵に学びましょう!

*****

原爆被爆者の夫を67年間白血病にさせなかった食生活
雨宮正子

ヒロシマで原爆被害を受けた夫

1950年に結婚したころ毎朝髪の毛の抜けている夫に疑問を感じていました。
その後、高熱をよく出してどういしていいのかわからない毎日でした。
今のように民医連もなく開業医を訪ねても理由はわかりませんでした。
いただいた解熱剤でもショックし救急車で3度も運ばれました。
不安の続く中にあって3年後、ラジオで「佐倉連隊の宮崎隊長が白血病で死亡した」との放送がありました。このとき夫が
「俺の部隊の隊長だ」
といいました。この時初めて夫が広島で被爆したことを知らされたのです。
夫は広島で原爆投下を目前にした。
夫の話によると1945年6月19歳で招集され千葉県の佐倉連隊に入り1か月後、広島に派遣された。
佐倉連隊3300人は本土決戦に備え米子と広島に派遣され夫は広島にむかった。
広島の奥で本土決戦に備え穴を掘り火炎瓶と爆雷をかかえての訓練をした。
8月6日の朝、空襲警報の中、佐倉東部64連隊は貨物に便乗し広島市に向かった。
その目前で原爆投下を目の当たりにした。
青い黄色い煙、生暖かい光線、きのこ雲
隊長の説明で「広島市に新型爆弾が投下され市民13万人が死亡している。この遺体収容をするように」とのことだった。
夫は8月6日より10日間遺体収容をした。
焦土の上では履いていた靴もボロボロになり裸足で遺体収容をした。
と聞かされ、体内被曝も重傷だったのだと知らされました。
夫の被爆体験を聞かされたときは、子どもは3歳と1歳でした。私は夫が白血病になったらどおしようと不安でした。
理由のわからない高熱に夫は扁桃腺が腫れているからだといい、手術をしましたが治りませんでした。

体質改善の食生活を

医学書をみても原爆による治療のことはわからない、でも人間の細胞は60兆個もある、傷ついた細胞の修復には食生活で改善できることを見つけ出しました。
「傷んだ細胞も修復できる、10年はかかるけれども全部修復できる」の記述に食生活で夫の体を治していこうよ、と思い立ち調理の勉強を始めました。
東京の女学院の調理師科に入学し3年間、日本料理、西洋料理、中国料理の勉強をしました。
また栄養大学も聴講し食の科学も学習しました。ここで分かったことは食べ物にある体への影響、特に優れた唾液は発がん物質も死滅させるということです。
優れた唾液を作るには食の科学を正しくつかみ調理し食事を提供するということでした。

白血病にさせない食事作りを

1960年代のことを振り返ると、それは手探りのようでした。日本の高度成長期なのでラーメンが大量に出回り、加工食品が続々と生産され日本の食生活が大きく変貌する時でした。こうした中で外食がどんどん広がっていた時です。
免疫力をあげ細胞を回復させるにはまず酵素が求められるのです。
夫の好物は唐揚げなど揚げ物や加工品が何よりでした。
これらを消化させるためには大量の酵素が必要です。また酵素は過熱に弱いため免疫力を高める酵素はこわれてしまいます。毒素を排出し免疫力を高める食のために私は素材からの手作りに徹したのです。
農薬はいけない、食品添加物もいけない、加工食品もいけない、これらはすべて免疫力を壊すのです。ですからお味噌も自分で作りました。
いまは冷凍加工食品が大量に出回っていて簡単料理が山と出回っていますが40年もまえの時代に大豆をゆで、すり鉢でつぶし麹と塩を混ぜて寝かして作りました。
梅干しも糠みそも全部手作りです。こんな話をするとびっくりされるかもしれませんが私の糠みそは50年もかき回しています。
味噌や糠漬けは微生物により酵素が多く含まれていて夫の体に入り込んだ放射性物質の解毒になるのです。
糠みそは酵素が働きビタミンもつけた野菜についているので漬物としては最高です。
これらの材料を使って夫の食事やお弁当を40年間、作りました。
体内被曝で体内に残る放射性物質をとりのぞかないでいると活性酸素が生じこれが癌化していくと聞きましたので、白血病も血液の癌じゃないか、それなら血液をきれいにする食事を作ることが何より大切だと思いました。
ですから白血病にさせない食事は癌にかからない食事と同じと考えて食事作りをしました。

具体的には

米も野菜も卵もその他の食材も無農薬を進めているところから入れました。
素材からの手作りなので時には午前3時から煮込んだ日もありました。
だしからこだわって作るので夫はいつも「お母さんの作るものはおいしい」と言ってくれました。
季節の野菜、季節の果物、そして手作り、
「まごはやさしいこ」の食事です。この「まごはやさしいこ」の言葉を非行が問題になっている子どもの食事の講演を聞いとき、非行に走る子も脳の病気なんだ、だから「まごはやさしいこ」という食事をすることで脳の健康を守ることができるのだと思いました。

ま=豆 ご=ごま わ=わかめ・海草 や=野菜 さ=魚 し=しいたけ、きのこ い=芋 こ=米

これは日本の伝統的な食事です。これらの材料で日本の食文化を提供することで夫は被爆後67年、元気で生きてくれました。
今年の5月に87歳で亡くなりました。肺炎でした。救急車で運ばれて以来、私の調理した食事ができなくなり弱っていきました。
毎日、髪をとかす度にたくさん髪が抜けました。医者に「被爆者です」といっても「ああそうですか」という返事のみでした。
食こそいのちというけれど、全くその通りだと思いました。いま福島原発の影響でセシューム牛肉が学校給食に出されこれを抗議に行ったとき何の反応もない自治体の長の態度に激しい怒りを覚えました。
食べてしまったからしょうがないではなくデトックスをして下さいと心からいってきましたが、どうなったかまだ分かりません。食べてしまったからおしまいではなく私が夫にしたように、食生活改善で体の中に取り込んだ汚染をなくす食を進めさせたいと思います。

「学校給食通信 No.73 2012年12月30日発行より

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明日に向けて(729)子どもの甲状腺がんが40人以上に・・・大変なことが起こっている!

2013年08月23日 23時00分00秒 | 明日に向けて(701)~(800)

守田です。(20130823 23:00) 20130828 22:30 数値を訂正

福島の子どもの甲状腺がんが相次いで見つかっています。20日に行われた福島県からの発表によると、これまで結果が判明した19万3千人のうち18人が甲状腺がんが確定、25人が疑いありと診断され、1人は疑いがあったものの陽性とされたそうです。
2013年2月の発表では38114人中確定3人、疑い7人でしたが、6月の発表では17万5千人中、確定が12人、疑いが17人となり、今回で19万3千人中、確定が18人、疑いが25人となりました。
この悪性の「疑い」は医学的に90%の可能性とされています。となると現在の数は19万3千人中、18+25×0.9=40.5人、切り上げで約41人であると言えます。(記事の表題には40人以上としました)
子どもの甲状腺がんの発症数は、世界的に100万人に1人から2人と言われています。それがすでに福島県でわずか19万3千人の検診で41人も出てきてしまっている。発症率を100万人1人だとするとなんと約2100210倍、2人としてもその半分の1050105倍もの割合です。ものすごく大変です!

この次々と見つかってきた子どもの甲状腺がんを、政府は「時期が早いので福島原発事故由来のものではない」と断定しています。僕はそんなことはない、福島原発事故が大きく関与していると思っています。
しかしここで指摘しておきたいのは、もし本当に原因が原発でないのだとしても、それはそれで問題だということです。なぜって、通説の1000100倍から2000200倍の割合で、甲状腺がんにかかった子どもたちが現にいるのだからです。
当然それには原因がある。原発以外の何らかの恐ろしいことがあることになるのです。しかし政府の発表も、政府に批判的な精神を貫けないマスコミも、この重大な点を見過ごしています。
この現実から直ちに考えなければならないことは、福島の子どもだけでなく、もっと広域の子どもの調査をしなければならないということです。原発事故のせいではないとするなら他県の子どもたちにも甲状腺がんが広がっている可能性が高いからです。

またやはり原発事故のせいだとした場合も、汚染は東北・関東の広い地域にまたがっているのですから、早急にその地域の子どもたちの検診を進めなくてはいけません。どちらの場合でも福島だけに調査を絞っていてはいけない。
最低でも東北と関東の全域の子どもたちを見る必要があります。いや、福島原発事故が原因でないというのであれば、全国の子どもたちの検診を進めるべきなです。にもかかわらず、なぜ政府の中からこうした発想が出てこず、マスコミもこの点を追及しないのでしょうか。
がんだけが心配なのではありません。甲状腺の悪化は、甲状腺の本来の機能である成長に必要なホルモンの合成機能の低下をもたらします。このためがんにならずとも、成長期の子どもたちには大きな支障がもたらされます。甲状腺がんが1000100倍から2000200倍も起こってきているのですからこうした支障も拡大しているはずです。
この場合、甲状腺の機能低下を調べるためにホルモン関連の血液検査をすればよいのですが、なぜか政府はそれを拒んでいます。また避難区域の住民を対象に行った血液検査の結果も、公表していません。なぜでしょうか。血液検査を行い、公表することに不都合を感じているからではないでしょうか。

これらも含めて考えられるのは、やはりこの甲状腺がんの拡大には被曝が大きく影響しているということです。そもそも政府は、チェルノブイリで事故後4、5年してから甲状腺がんが現れたかのような言い方をしています。だから今の甲状腺がんは原発由来ではないと述べていますが、それは間違いです。
自ら現地で医療行為にあたった菅谷昭現松本市長は、著書『原発事故と甲状腺がん』の中で、ベラルーシ全体で1986年は2例しかなく、100万人に1人か2人という国際的な発症水準が維持されていたのに、1987年には4例、1988年には5例、1989年に7例と徐々に増えていき、1990年に29例、ピークの1995年に91例となったことを明らかにしています。
事故前の11年間(1975~1985年)と、事故後の11年間(1986~1996年)を比較してみると、7人対508人にもなります。事故後の11年間で発症数が70倍以上になったのです。
これらから、チェルノブイリ事故でも、翌年から子どもの甲状腺がんは増え始めていたことがわかります。しかも当時は秘密主義の旧ソ連がまだ維持されているときでしたから、これ以外の事例が隠されたり、見つかっていなかったことも推察されます。

ただこの数字を見ると気になるのは、すでに日本では福島の子どもの一部をみただけで、国際的な発症水準の1000100倍から2000200倍というとんでもない発症率になっていることです。これはどういうことなのでしょうか。
しかもチェルノブイリの子どもたちと比較した場合、ヨウ素被曝に対して大きな違いがあります。日本に住む人々は天然のヨウ素を含んだ海産物をよく食べているため、ユーラシア大陸の内陸の人々よりも、もともと甲状腺が摂取している天然のヨウ素の度合いが高いということです。その点はある意味で有利な点なのです。
ところがものすごい勢いで発症率が上がりだしている。なぜでしょうか。二つの理由が考えられます。一つにそれだけヨウ素被曝が激烈だったということです。しかしもう一つ、実は政府が言うように、確かに以前からのがんもあるのではないか。というより放射性ヨウ素以外の発がん物質もあるのではないかということです。
具体的には特定できませんが、1986年のチェルノブイリの子どもたちと比較してすぐに分かることは、現代の日本に住む子どもたちの方が、圧倒的な量の化学物質に暴露されていることです。アトピーを抑えるための薬剤なども多様されている。これもまたがんの原因物質なのではないでしょうか。つまり複合汚染が襲ってきているのではないか。

同時に注意を促したいことは、こうした症状は、検査対象になっていない大人たち、19歳以上のすべての年齢層で起こっている可能性が大きくあるということです。とくに19歳から20代前半の調査対象となった子どもたちのすぐ上の年齢層の若者たちのことが気になります。
再び菅谷さんの書物からベラルーシ―の成人の例を見ていくと、事故前の11年間が1347人に対して、事故後の11年間4006人、3倍になっていることがわかります。エコー検査による掘り起こしで増えた可能性もあるそうですが、子どもほどの発症率ではないにしろ、大人の甲状腺がんも確実に増えているのです。
子どもと大人の発症率の増え方を比較すると、70倍と3倍ですから、子どもの方が約23倍増えたことになります。これを日本で起こっていることに単純に当てはめてみると(日本での事故前の発症率が100万人に1人だったとして)大人は子どもの23分の1増えるわけですから、2100210÷23=919.1で約909倍にもなることになってしまう。
もともと大人の発症率の方が高いですし、大人の方が人数もずっと多いわけですから、大人も実数ではかなりの方が発症されている可能性があります。大人の事故前の発症実数を調べればもう少し確からしい数字がでてくるでしょうが、ともあれここでは大人の発症のことも十分警戒しなければならないことがわかります。

私たちはこの大変な現実の前に立たされていることをはっきりと自覚する必要があります。かりに今、発症している甲状腺がんがすべて原発のものでないのだとしたら、それだけの大変な人体汚染が2011年3月11日以前に起こっていたことになります。そしてその痛んだ私たちの体の上に膨大な放射能が降ったのです。
いやより正確には確かに甚大な汚染が起こっていて、その上に大量の放射能による被曝があったために、今、大変な勢いで健康被害が顕在化しているという事実が私たちの前にあるのだというべきでしょう。私たちが向かい合うべきなのはこの現実です。
では私たちは何をすべきなのか。一つにあらゆる手段を尽くして、多くの子どもたち、いや大人も含めた大規模な甲状腺検診を実現し、できるだけ早期にがんを発見して退治していくことです。がんは早期に発見されるほど治療が有利です。だからこそ検診の拡大・徹底化が必要です。
同時に、私たちの体を信じて、ただひたすら免疫力を上げることに尽力することです。そのためにさらなる被曝を避け、化学物質を避けていくこと。生活のリズムを整え、身体を、命を大事にしていくことが問われます。

そのうえでぜひ目を向けて欲しいのは、甲状腺がんに限ってみていても、これだけ激烈な発症率の上昇が起こっているのですから、今後、あらゆる疾病が拡大する可能性があるということ、そのために医療が大変なことになる可能性があるということです。
医療界が崩壊しかねないほどの甚大な健康被害が拡大しつつある可能性があります。このことを見据えて、医療と福祉を支える市民的ムーブメントを作り出さなければなりません。一人一人が、自らの体を医療まかせ、医師まかせにすることを戒め、食の問題などにも精通していく必要があります。
そのためには食べ物の流通のあり方、作られ方などにも目を向けていかなければなりません。総じて命の問題、身体の問題、食べ物の問題にもっと大きな光を当て、それをこそ軸に社会を再編成していく必要があると思います。
その意味で私たちは今、根本的な改革=革命を志向すべきときに来たと言ってもよいのだと思います。

子どもの甲状腺がんの拡大・・・本当に大変なことです。だからこそ私たちは、この大変な事態を超える大きな決意を作り出しましょう。知恵を集めましょう。
被害の拡大を座して待っていてはいけません。身体を守るためにできることが無数にあります。だからそれを行いましょう。次々とやっていきましょう。
子どもたちとともに、未来を切り開くために力の限りを尽くしましょう。

*****

福島の子どもの甲状腺がん、疑い含め44人に 16人増
朝日新聞 2013年8月20日
http://apital.asahi.com/article/news/2013082000017.html

【大岩ゆり、野瀬輝彦】福島県は20日、東京電力福島第一原発事故の発生当時18歳以下だった子どものうち、44人が甲状腺がんやその疑いがあると診断されたと発表した。
6月から16人増えた。県は「被曝(ひばく)の影響は考えられない」とした。ただし、県の検査や説明に対して県民の間に疑問や不安の声もあるため、県は、専門家による新たな部会を作り、検査に問題がないか検証することになった。
6月以降に新たに診断された16人のうち、がんは6人、疑い例は10人だった。累計ではこれまでに結果が判明した約19万3千人のうち18人が甲状腺がん、25人が疑いありと診断された。1人は疑いがあったが良性だった。
この44人は原発事故時に6~18歳。がんの直径は5・2~34・1ミリ。がんは進行のゆっくりしたタイプだった。
事故後4カ月間の外部の全身被曝線量の推計調査を受けた人は44人のうち4割だけだが、全員2ミリシーベルト未満だった。
チェルノブイリでは4~5年後から甲状腺がんが増えたほか、今回の44人は複数回の検査でがんやしこりの大きさがほとんど変わっていないため、県は「事故以前からできていたと考えられる」と分析した。

しかし、県民の間には被曝影響に関する解釈や、検査の精度、情報公開のあり方などに批判がある。
このため県は、検査に関与していない専門医らによる専門部会を新設して、これまでの検査結果の判定や、がんと診断された人の治療、事故による被曝の影響などを改めて検証する。
事故当時18歳以下だった約36万人に対し生涯にわたり継続する甲状腺検査のあり方も改めて議論する。

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