明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

【拡散希望】明日に向けて(2069)黒い雨訴訟、政府が上告を要請しました!県・市は断念求めています! 国に抗議を集中し、広島県と市に激励を!上告断念署名を広げよう

2021年07月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210723 23:30)

国が上告を県と市に要請 許しがたい!

オリンピック開会式のかたわらで重大なことが報じられました。
黒い雨訴訟に関して、国が広島県と広島市に上告を要請したというのです。まったくもって許しがたい!本当に腹が立ちます。
これに対し、県と市は断念を求めています。ぜひ国に抗議を集中しましょう!上告断念署名を広げましょう。広島県と市に激励を送りましょう。

記事を二つご紹介しておきます。

「黒い雨」訴訟 国が上告する意向を伝える
日テレ 2021年7月23日 21:03
https://www.news24.jp/articles/2021/07/23/07911064.html

「黒い雨」訴訟、政府が上告を要請 県・市は断念求める
朝日新聞 2021年7月23日 19時42分
https://digital.asahi.com/articles/ASP7R6G4JP7RPITB00H.html


国に抗議を!広島県と市に激励を!上告断念署名の拡大を!

あまりにひどい。上告の意向を伝えた国に抗議を集中し、上告断念を迫りましょう。

首相官邸への意見はこちらから
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

厚労省への意見はこちらから
https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail

国の意向に抗い、上告断念を求めている広島県と広島市を激励しましょう。

広島県への意見はこちらから
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/ques/questionnaire.php?openid=2&check

広島市の意見はこちらから
https://www.city.hiroshima.lg.jp/ques/questionnaire.php?openid=4&check


裁判の構造を把握し、的確な抗議と応援を

なお国と広島県、広島市がどのような関係にあるのか再度整理しておきましょう。
県と市は、被爆者健康手帳の交付事務を国から任されている立場にあります。それでもともとこの裁判では、被告として原告の黒い雨被爆者たちに訴えられてきたのです。
しかしもともとは、被爆した自治体として国に援護対象区域の拡大を求めてきた経緯があり、一審、二審の判決は県や市が主張してきたことに沿うものなのです。

ところが一審後、国に迫られた県と市は、控訴をしてしまったのでした。この時、「国に従うしかない」などの言葉が漏れましたが、これは大きな間違い。地方自治の精神に則って国の意向に沿わない決定をしてまったく良いのです。
ましてや今回は、県も市も求めてきた判決が、一審に続いて、二審でより鮮明に出たのです。今回こそ、県と市に、一審後のようなあやまちを犯さず、しっかりと上告断念を貫き通すことを求めましょう。
朝日新聞によれば、「湯崎英彦知事と松井一実市長は26日にも上京し、政府に「直談判」することも検討している」そうです。県と市に激励を込めて頑張り抜くことを訴えましょう。


原告たちの必死の訴えをきっと実らせよう! (入廷前の原告団 7月14日 守田撮影)


今こそ署名を拡大しよう!

さらにいまこそ、広島市、広島県、厚労大臣に、上告しないことを求めるオンライン署名を拡大されることが問われています。
ぜひあらゆる手段を通じて、署名を広げて下さい。

広島市長・広島県知事及び厚生労働大臣は、 広島高裁の「黒い雨」判決を受け入れ、上告しないでください
http://chng.it/fPyYRCQr

訴えを広げるために、ぜひ原告の方々を写した以下の動画を使ってください。

黒い雨訴訟原告団の熱いアピールを聴いてください。 黒い雨訴訟報告集会のエンディングにて 2021年7月14日 広島弁護士会館

#黒い雨訴訟 #国は上告の断念を #広島県は頑張れ #広島市は頑張れ #被爆者健康手帳の交付を #これ以上原告を待たせるな #被爆を認めよ

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明日に向けて(2068)黒い雨訴訟、国の上告をとめるためにオンライン署名へのご協力を!拡散を!

2021年07月21日 00時05分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210721 00:05)

ぜひ署名の拡散を!

すでにご紹介してきたように、黒い雨訴訟における国の上告断念を求めるオンライン署名が始まっています。ぜひご協力ください。拡散もお願いします。

広島市長・広島県知事及び厚生労働大臣は、 広島高裁の「黒い雨」判決を受け入れ、上告しないでください
http://chng.it/fPyYRCQr

20日に署名に関する原告団、弁護団による記者会見が行われました。
毎日新聞小山美砂記者の記事をぜひご覧下さい。

黒い雨訴訟 国の上告断念求めオンライン署名始まる 25日まで
毎日新聞 2021/07/20 18:50
https://mainichi.jp/articles/20210720/k00/00m/040/252000c



原告の1人が17日に亡くなられました。もう1日も待てない

この記事を読んで知ったのは、14日の高裁判決の後の17日に、原告の一人がお亡くなりになったこと。
これで裁判の決定を見ず、被爆者健康手帳を受け取れないままに、19人もの原告だった方が亡くなられました。悲しい。

小山記者はこのことに踏まえ、記事をこう続けています。
「原告の高東征二さん(80)は『もう1日も待てない。決着をつけたい』と訴えた」と。
そうです。もう1日も待てません。ぜひたくさん署名を集めて、上告断念を実現しましょう。署名の期限は25日。ぜひご協力を。

高東さんは、14日の原告団の入廷後に裁判所前に残されて、こんなアピールも発せられました。45秒です。ぜひお聴きください。文字起こしも加えておきます。(守田撮影)


ほんと、ギリギリのところの人たちがいっぱいおるんですが、原告だけじゃなくて、原告の外に、もう病気だらけの人生を送って、この裁判をずっと見守っている人がたくさんいます。
そういう人たちも早く助けてあげてほしい。道をあけてほしい。わたくしも力いっぱい頑張ります。長生きすることが、国の内部被曝を隠蔽するような政策に立ち向かうことができるんじゃないかなって。頑張ります。


「黒い雨訴訟、容認しづらい」と厚労相

一方で政府-厚労大臣の側から20日に問題発言が飛び出しました。
田村大臣が閣議後の記者会見で「(放射線に関する)他のいろいろな事象に影響する内容とすれば、われわれとしては容認しづらい面がある」と述べたのです。
それこそ「容認」できない発言です。これだけ何度も司法の場で、黒い雨被爆者の被害が明らかになっているのに、いやそもそも76年も国が被害者を放置してきたのに、「容認しづらい」とは何事でしょうか。


厚労相のコメントを報じる東京新聞 20210720

同時に私たちはここに、国の本音が露骨に表れていることも見ておく必要があります。
今回の高裁判決は、まさに放射線に関する他のいろいろな事象に影響する内容なのです。被爆二世三世や、福島原発事故の新ヒバクシャ、あるいは核実験や原発労働での被ばくなど、あらゆる核被害者の問題に通じるのです。
だからこれはあなたの問題であり、私の問題なのです。なぜなら私たち全体が多かれ少なかれ、核実験や原発事故、核汚染物によるヒバクシャだからです。

だから、自分たち自身のこととしてこの問題を捉え、私たち全体の力で、上告を断念させましょう。
それが私たちの心身を守ることにつながります。未来の命を守ることにつながります。ぜひともその先頭に原告のみなさんが立たれていることをご理解ください。
その原告の方たちをもう1日も待たせてはいけません。ぜひ思いつく限りの手段で署名を拡散してください。

#黒い雨訴訟 #上告断念を求める署名 #小山美砂 #高東征二 #被爆者健康手帳 #田村厚労相 #容認しづらい

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明日に向けて(2067)半減期詐欺(山下俊一氏など)に騙されてはいけない!放射線量だけでなく被曝実態の調査を進めよう!(『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読むへのお誘い)

2021年07月20日 09時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210720 09:30 20220101 14:00改訂)

「半減期詐欺」とは何か?

昨年、にょきにょきプロジェクトで作成し、各地で行われている『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』の中で「半減期」のことを大きく取り上げてきました。
半減期はある放射線物質が自然に半分になるまでの時間のことを言います。ヨウ素131なら8日、セシウム137なら30年です。
BOOKで問題にしたのは、この「半減期」の性質が、しばしば被曝の危険性を隠す安全論に使われていること。この点を僕は「半減期詐欺」と呼んできました。

どういうことでしょうか。放射性物質は放射線を出して違う物質に変わっていきます。このことを壊変といいます。放射性物質はエネルギー的に不安定な状態にあるので、放射線を出して安定化しようとするのです。
「半減期詐欺」と僕が名付けているのは、「放射性物質はどんどん半減して危険性が減っていくので心配いらない」と主張すること。時間と共に放射性物質が「半減」していくことの意味を意図的にわい曲しています。
なぜなら「どんどん半減する」のは「どんどん放射線を出す」からで、もちろん近くにいればどんどん被曝するのです。半減期の短いものほど単位時間あたりにはよりたくさん被曝する。にも関わらずこの点がまったく説明されてないから「詐欺」なのです。


「半減期詐欺」のバリエーションとしての「ホールボディカウンター詐欺」

「半減期詐欺」のバリエーションとして「ホールボディカウンター詐欺」があります。実際に福島県の中で行われたのですが、例えば事故後1年経ったときにホールボディカウンターで計測しても、その時、体内にある放射性物質の量しか計測できない。
事故直後にたくさん放出されたヨウ素131は半減期が8日ですから、その量は80日目には約1000分の1になっているし、160日目には約100万分の1になっています。一年経ったらほとんど計測されません。
160日目には約100万分の1になるといいことは、100万分の99万9999まではそれまでに被曝を終えているのです。すでにものすごい量の放射線を浴びてしまっているのです。

しかしホールボディカウンターは、それまでの被曝量を測る機械ではありません。というよりすでに終わってしまった被曝量を計測できる機械などありません。だからこの時期にホールボディカウンターで計測しても、内部被曝の実態は分からないのです。
にも関わらず、その時点での放射性物質からの被曝量だけを提示して「ほら、被曝量はこんなに少ないですよ」と語るのが「ホールボディカウンター詐欺」です。
『放射線副読本』でも、この半減期を利用した「安全論」、被曝影響をきわめて過小に見積もるテクニックがふんだんに使われています。これを「すっきり読み解く」ことが、放射線防護を進める上で極めて大切なのです。


相馬市で行われたホールボディカウンターによる測定。この時期だと半減期の短いものはもう被曝を終えてしまっている。この結果がそれまでの被曝影響の測定結果でないことを明示しないと誤解が生じるのにそれがされていない。なおこれらを進めたのは早野龍五氏、上昌広氏、渋谷健司氏、坪倉正治氏


山下俊一氏が「半減期詐欺」を行っていた!

さて、今回取り上げたいのは、福島県の健康アドバイザーとなり、安全論を繰り返すことで人々をひどく被曝させてきた山下俊一氏が、この「半減期詐欺」を繰り返していたことです。
具体的には、山下俊一氏が2011年3月21日「福島テルサ」で行った講演が顕著なので、そのアドレスを記しておきます。
https://youtu.be/YkCpdkEDIS0

この中で山下氏は犯罪ともいえる大うそもついています。「1ミリシーベルトの放射線を浴びたときに人体への影響は細胞の遺伝子が一個傷つけられるだけ」だと。実際には約37兆ある細胞の全てが傷つくので危険性が37兆分の1にされている。
この点は山下氏は、2020年3月4日の「子ども脱被ばく裁判」において「ウソだった」と認めています。しかし事故直後の山下氏のこの話で「被曝は心配しなくていい」と思った人がたくさんいたでしょうから本当に罪深い。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
https://ameblo.jp/gunjyo01/entry-12584498197.html

同時にこれとともに大事なポイントとしてあるのが、山下氏が半減期を使った安全論を強調したことです。前述の「子ども脱被ばく裁判」で、弁護団が数々のウソを山下氏に認めさせていますが、実は「半減期詐欺」には触れられていない。
実際には山下氏は「放射性物質はどんどん減っていくから大丈夫」だと繰り返したのです。一度もその本当の中身を言わずに。繰り返しますが、どんどん減るのはどんどん放射線を出すため。どんどん被曝させるからで、ものすごく危ないのです。
録画の中では21分30秒からこのことが強調されていますので、確かめてみたい方はご覧下さい。ただし気分が悪くなるかもしれないので、けして無理はされませんように・・・。

なお「半減期詐欺」については解説動画も作っています。以下の案内をご覧下さい。



「放射線副読本すっきり読み解きBOOK」で騙しのテクニックをしっかり学ぼう

にょきにょきプロジェクトの作ったBOOKでは、こうした「騙し」のテクニック、被曝影響を小さくみせるさまざまな手練手管を一つ一つ説き明かしています。この読み解きこそが、被曝から命と身体を守る知恵の提供だと思っています。
そもそも『放射線副読本』を執筆したのは、山下俊一氏の右腕とも言われてきた高村昇氏ら。高村氏はこの「福島テルサ」でも山下氏の講演の前座を務めています。
山下-高村と継承されている騙しのテクニック、いやそれはもともと原子力マフィアが使ってきたものですが、これを見破る確かなスキルが、あなたやあなたを愛する人を守ります!ぜひゲットしてください。

以上の観点から各地でBOOKの読み会を続けています。
みなさまのお住まいの地域で一緒に学びの場を持てることを願っています。
いつでもお声がけを

次回は2022年1月15日から三回お話します。

大津市にて。zoomも併設です。ぜひご参加ください。

#放射線副読本 #放射線副読本すっきり読み解きBOOK #にょきにょきプロジェクト #半減期詐欺 #ホールボディカウンター詐欺 #山下俊一 #高村昇 #放射線防護

*****

原発や放射線被曝の危険性の暴露など、取材・執筆活動のためのカンパを訴えます。以下からお願いします。
振込の場合: ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
Paypalの場合:https://www.paypal.me/toshikyoto/500(金額は自由に設定できます)

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明日に向けて(2066)福島の今、復興の今、放射線防護の今(22日、京都市で福島訪問報告を行います。黒い雨訴訟高裁判決に関する特別報告も加えます!)

2021年07月19日 14時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210719 14:30)

【署名協力のお願い】
黒い雨訴訟控訴審勝利を受けて、広島市、広島県、国に上告断念を求める署名が立ちあがっています。ぜひご協力ください。
http://chng.it/fPyYRCQr


福島イノベーションコースト構想にご注目を

福島の今、復興の今、放射線防護の今、誰もが気になるところをがっつりお話しします。黒い雨訴訟に関する特別報告も加えます。
7月22日午前10時から、京都市のひとまち交流館第4会議室にて。主催は「ウチら困ってんねん@京都」です。
zoomも併設します。会場カンパは資料代500円。zoomはあらかじめアドレスを公開するので投げ銭をお願いします。

zoomアドレス https://us02web.zoom.us/j/82898339621 パスコード 772394
投げ銭先 ゆうちょ銀行 なまえ ウチラコマッテンネンアットマークキョウト 記号14440 番号14440-50025191

Facebookイベントページもご紹介します。
https://fb.me/e/1z5FIjj3E

お話したいのは、守田が5月10日から13日まで福島県を訪れて得てきたこと。被爆二世の森川聖詩さんと一緒の旅でした。
とくに伝えたいのは「福島イノベーションコースト構想」について。福島浜通りを「核との共存の町」にしていく動きです。中心にあるのは、福島原発の「廃炉作業」を軸にさまざまな核関連産業を誘致し「育成」することです。

驚いたことに、アメリカのハンフォードとの連携が進められつつあります。ワシントン州にある「核の町」で、長崎を壊滅させた原爆のプルトニウムが作られたところ。全米にある核弾頭のプルトニウムの3分の2も作らました。
そのハンフォードは核物質ですごく汚染されている。しかし中心都市のリッチランドなどで放射線防護ではなく福利厚生にお金がつぎ込まれ、核産業を誇りとする町となっている。そんな「核の町」に福島浜通りを変貌させようというのです。


実は『放射線副読本』とがっつりつながっている

この動きの一つとして、双葉町に「東日本大震災・原子力災害伝承館」が建てられ、高村昇氏が館長に就任しています。文科省発行の『放射線副読本』の執筆の中心を担い、復興庁から出された『放射線のホント』の作成にも関わっている。
高村氏はあの山下俊一氏の右腕とも言われる人物です。原発事故後に福島に入り込み、安全論を振りまき、「放射能を怖がると子どもに悪い影響を与える」などと、福島の人々を騙し、脅したあの山下俊一氏です。(裁判で認めています)

この点で『放射線副読本』『放射線のホント』にちりばめられた被曝の危険性を無視するあり方が、福島イノベーションコースト構想と一体化していることが分かりますが、高村昇氏はさらに「放射線災害復興学」を立ち上げています。
次の核災害時に、放射能の中で「前向きに」生きていく道を探るというのです。実はこうした「核との共存」を最初に言い出したのは、長崎原爆を「神が落としたもの」と語った永井隆博士でした。山下俊一氏はその永井博士の信奉者です。

さらにです。その高村昇氏とともに『放射線のホント』の構成に関わったのが、東大名誉教授の早野龍五氏。福島医大の宮崎真氏と福島県伊達市の被曝線量を過小評価した論文を作成して英学術誌に投稿し、大問題を引き起こしました。
伊達市が住民に配ったガラスバッジデータを市民に合意を得ずに使ったり、虚偽データを掲載したり、被曝線量を大幅に過小評価するなど、ひどすぎて論文撤回に追い込まれました。不正を暴いたのは伊達市のみなさんでした。


被曝影響の過小評価がものすごい勢いで強調されだしているわけ

これらを通じ、「福島の今」を形作りつつあるものが、国際的な原子力推進派の動きであることが見えてきました。被曝を限りなく過小評価し、核との「共存」を人々に強いるのです。
早野龍五氏は、放射線影響研究所の評議員も兼ねています。アメリカが原爆で広島・長崎を壊滅させたあとに作ったABCC(原爆傷害調査委員会)の後継組織です。

そこが最近「被曝二世のゲノム調査」をしたいと言い出しました。「ゲノムまで見たけれど被曝影響などなかった」と言いたいのでは?と考えていたらその通りの回答がチェルノブイリ周辺で出されました。
実は放射線被曝の遺伝的影響は、アメリカが原爆による大量虐殺を行った直後から、最も注視してきたことがらです。一番初めに原爆使用を批判したのが遺伝学者たちであり、遺伝的影響への不安が大きく広がったからです。

そしていま、この遺伝的影響の否定の動きがにわかに強まりだしています。なぜか?推進派が激しく何かを否定するときはその事実が強まっているとき。つまり被曝影響、遺伝的影響が顕在化しているからに違いありません。
実際には遺伝的影響は確かにあります。森川聖詩さんが著書『核なき未来へ~被爆二世からのメッセージ』で、自らの体験を赤裸々に書いてくださり、これを受けた京都「被爆二世三世の会」のアンケートでも同様の答えが多数集まっています。
これらをもっと明確につかむことが、核被害者を救済し、新たな被曝を避ける大きな力になる。だからこそ原子力推進派は、被曝影響隠しを強化し、これと一体のものとしてイノベーションコースト構想を進めているのです。


黒い雨訴訟控訴審での画期的勝利の意味

さて今回の報告会では、特別報告として、7月14日に勝ち取られた黒い雨訴訟控訴審の画期的勝利の意義についての特別報告も行います。
黒い雨裁判は原爆被害の中で、とくに内部被曝被害が争点となって闘われてきたもの。原告の頑張りによって、一審で黒い雨の降った地域が政府が認めてきたそれよりもずっと大きいことが認められ、原告たちの被爆被害が認められました。

その際、被爆者に対する「被爆者援護法」のもとでの「健康管理手当」で決められた11の障害を伴う疾病のどれかに罹っていることが、被爆者健康手帳交付の要件とされました。
これに対し、広島市、広島県、国が控訴し、原告の身体に起こっている11の障害を伴う疾病のいずれかと、放射線被曝の因果関係の科学的証明がなされていないから、一審を破棄せよと主張したのです。

広島高裁は国のこれを退けました。そもそも被爆者救済を目的にした「被爆者援護法」は、原爆による影響との因果関係など求めていないからです。被爆した事実だけで救済の対象としているのです。
さらに高裁はこの精神にのっとり、一審が「11の障害を伴う疾病」の発症という要件を求めることも「失当」であるとして退けました。病に罹っている、罹ってないに関わらず、被爆者健康手帳の交付を命じたのです。

これはあらゆる放射線被曝の被害者を救済する上で、大変大きな意味を持ちますし、まさに「福島イノベーションコースト構想」などと真逆の動きだと言えます。しかし細かい点を理解してないと分かりにくい面もあります。
それだけに22日は、この判決の意義をきちんとおさえるべく、できるだけ分かりやすくこの意義を解き明かす特別報告を加えます。

福島を「核との共存の町」にすることなど許さず、核被害者への医療・福祉などの「保障」、被害を与えたことへの「補償」、そしてもう二度と核被害を与えない「保証」の獲得を目指していきましょう。22日、ご参加下さい!

#福島の今 #復興の今 #放射線防護の今 #福島イノベーションコースト構想 #放射線副読本 #放射線のホント #山下俊一 #高村昇 #早野龍五 #黒い雨訴訟

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原発や放射線被曝の危険性の暴露など、取材・執筆活動のためのカンパを訴えます。以下からお願いします。
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明日に向けて(2065)国と広島県・広島市は上告せずにただちに被爆者健康手帳を交付せよ!動画ご覧になり署名にご協力を!(黒い雨訴訟高裁判決の意義ー3)

2021年07月18日 20時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210718 20:30)

原告団のこの声に耳を傾けてください!

7月14日に高裁で画期的な勝訴判決が出された黒い雨裁判、広島市と広島県、国が上告をするのかのかどうかが焦点になっています。
上告期限は7月28日。ただち上告断念を求める声を高める必要があります。すでに原告団が7月15日に広島市と広島県に要請行動を行い、16日に上京して国にも上告断念を求めています。

なんとしてもこの声に応えましょう。そのために14日の判決後の報告集会のエンディングの動画をご紹介します。
原告の方たちが会場の前に出て勢ぞろいし、原告団事務局次長の高東征二さん(80)の声明のあとにみんなで「がんばろう」をされました。弁護団や矢ヶ崎克馬さんも一緒です。ぜひご覧下さい。

原告団のアピールと”頑張ろう”



この一年はとても長かった(原告団アピール文字起こし)

この一年はとても長かった。
一審に続き、控訴審でも、黒い雨被爆者を被爆者援護法の「被爆者」と認める判決が出されました。
広島市、広島県はこの判決を受け入れ、上告せずに、私たち原告にただちに被爆者健康手帳を交付してください。
そして国も判決を受け入れて、これまでの被爆者行政のあり方を根本的に見直し、すべての黒い雨被爆者を「被爆者」として救済してください。
子どもや孫のために、どうしても生きて、生きて内部被曝を認めさせ、次の世代に命かけて闘ったと、胸を張って言おうではありませんか。

最後に「頑張ろう」をやりましょう。
長生きして黒い雨を見届けるぞ。
頑張ろう。
頑張ろう。
頑張ろう。


原告団が会場の前に出て弁護団と共に「頑張ろう」と声を上げた 守田撮影(2枚の写真を合成)


上告の期限は7月28日。原告団に応え「上告断念するな」の声の集中を。署名と拡散にご協力を!

原告の方たちは高齢です。もともとの原告88名のうちすでに18名が亡くなられています。
(死亡した4名が裁判を取り下げたため現在原告は84名でうち14名が亡くなられ、家族が裁判を継承している。一審判決から高裁判決の間にも2名が亡くなられたそうです。)

原告の平均年齢は84歳弱。もう一刻の猶予もありません。それに被爆から76年も待たせてきたのだから一刻の間もおくことなく被爆者健康手帳を交付すべきです。
このことを求める署名運動が起ちあがりました!ぜひご協力ください。

広島市長・広島県知事及び厚生労働大臣は、 広島高裁の「黒い雨」判決を受け入れ、上告しないでください
http://chng.it/fPyYRCQr

#黒い雨訴訟控訴審勝利 #黒い雨 #内部被曝 #被爆者健康手帳 #黒い雨訴訟原告団 #高東征二 #広島原爆 #矢ヶ崎克馬

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明日に向けて(2064)黒い雨訴訟控訴審判決は一審を越えた!ただ被爆の事実が確認されれば救済されるべきことを明記(黒い雨訴訟高裁判決の意義―2)

2021年07月18日 00時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210718 00:30)

今宵は黒い雨訴訟に関する連載記事をさらに投稿させていただきます!


黒い雨訴訟高裁判決公判に向けて更新する原告団 矢ヶ崎克馬さんの姿もあります。 守田撮影

広島高裁判決で進んだ点

黒い雨訴訟の高裁判決が画期的だったのは、判決内容が一審を超えたことです。というのは一審は、黒い雨が降った範囲を、従来の認定より大幅に広げた点でとても優れていましたが、しかし限界も残していたのでした。
というのは今回も原告に交付が命じられた被爆者健康手帳は、もともと被爆影響を受けたと考えられる人々であれば、病を発症していようとしてなかろうと交付されるものなのに、一審では病の発症が交付の要件とされたからです。
この点の理解を深めるためには、歴史的経緯への一定の理解が必要です。このためまずは国が、被爆者健康手帳の交付対象である「被爆者」をどう定義しているかから見ておきましょう。

被爆者とは(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/genbaku09/01.html

法律の条文も確認しましょう。(法令リード)
大事なのは「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(被爆者援護法)第1条です。
https://hourei.net/law/406AC0000000117

実際には、黒い雨にあたるなど、被曝影響を受けた人々はもっとたくさんいることが明白なので、この定義で「被爆者」全体がカバーされているとは言えません。その上で、厚労省のHPで次のように続けて論じられていることをおさえておきましょう。
「被爆者が病気やけがなどで医者にかかりたいとき、この手帳を健康保険の被保険者証とともに、都道府県知事が指定した医療機関等にもっていけば、無料で診察、治療、投薬、入院等がうけられます。」

つまり「被爆者」には無料で医療を受けられる権利があるわけですが、これに対し「健康管理手当」とは、被爆者健康手帳を持っている方が11疾病のどれかに罹っていたら月額33,670円(2011年4月現在)の手当てを受けられる制度です。
ところが1974年7月22日、「原爆医療法」などの改訂を示した「402号通達」が出される中で、国が黒い雨が降ったと認めていた地域などを「健康診断特例地域」と規定したのでした。
そしてこの地域の人々が、この健康診断で11種類の疾病の一つが見つかれば「被爆者健康手帳」を受け取れるとされたのですが、一審判決がこの「402号通達」を拠り所としたことを、高裁判決は「失当」と退けたのです。


病になる可能性があるからこそ救済が必要

つまり病の発症は被爆者健康手帳交付の要件ではないと指摘したのです。ここが極めて画期的ですが、本来、これでそ真っ当であることも強調したいです。
被爆し、黒い雨の影響を受けるなどすれば、何らかの病を発症する可能性があるのだから、健康維持のためにいつでも無料で診察、治療、投薬、入院等が受けられて当たり前なのです。

これは国が「発症した症状と被爆の因果関係を科学的に証明せよ」と主張したことを土台から覆すものでもあります。
現に発症した病との因果関係どころか、被爆をしたことが確認できれば、それでもう救済しなければならないのです。
そもそも疾病が確認されるまで保障されないなんておかしい。多くの被爆者がリスクがあるからこそ、健康を維持しようと努力しているのです。また被爆影響のあらわれは何も11種類の疾病に限らず、もっと多様にあります。

この点はすべての放射線被曝被害を訴える際の大きな灯ともなります。
被害が出ないと訴えられないなんておかしい。さらにそもそも被害の科学的証明など、政府はなかなか認めようとしません。だからそれが争点である限り、被曝被害者の救済はどんどん延ばされる。
そうではないのです。必要なのはただ被曝がありえた事実を示すことだけなのです。この被害者にとってとても大事な観点が高裁判決で強調されました。だからこそみんなで上告を断念させ、この判決を確定させる必要があります。


判決を受けて、国や広島県、市は上告を断念し、ただちに被爆者健康手帳を交付すべきだと訴える高野正明原告団長 守田撮影

続く

#黒い雨訴訟 #広島高裁判決 #控訴審勝利 #健康管理手当 #健康診断特別地域 #11種類の障害を伴う疾病 #被爆者 #広島原爆 #402号通達

*****

原発や放射線被曝の危険性の暴露など、取材・執筆活動のためのカンパを訴えます。
どうか支えてください。よろしくお願いします。

振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
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明日に向けて(2063)黒い雨訴訟控訴審でも勝利!「科学的証明」を求める国の見解が退けられた(連載 黒い雨訴訟高裁判決の意義―1)

2021年07月17日 21時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210717 21:00)

黒い雨訴訟高裁判決を取材するために広島市に行って、素晴らしい場を共有してきました。
お伝えしたいことがたくさんあります。記事を連投します!

黒い雨訴訟、控訴審も勝利!

7月14日、広島高裁において黒い雨訴訟控訴審判決が言い渡されました。
国および広島県、広島市による一審判決の取り消しを求める控訴を棄却。原告84人(うち14人はすでに死去、家族が訴訟を引き継いでいる)の被爆を再び認め、被爆者健康手帳の交付を命じるものでした。
再び黒い雨が降った地域が、従来の国の認識よりも大幅に広かったこと、そこにいた人々が内部被曝の被害を受けたことが認められました。


15時の判決言い渡しの直後に「全面勝訴」の旗が。真ん中は喜んで手を上げられた原告団事務局次長の高東征二さん。広島高裁前にて 守田撮影

しかも高裁判決は、一審より大きく前進したものでした。というのは一審で黒い雨降雨地域にいた人が、「健康管理手当」の支給対象となる「11種類の障害を伴う疾病に罹患したこと」を被爆者と認める要件としていた点を退けたのです。
黒い雨が降った地域にいた人々は、ただそれだけで原爆の放射能の影響を受ける事情の下にあったのだから、被爆者健康手帳が出されるべきだとしたのです。画期的です。

この勝利は原告の方たちの積年の頑張りを中心に、弁護団や支援者のみなさんの奮闘によって勝ち取られたものです。素晴らしい。心から拍手を送ります。
またこの勝利は、すべての放射線被曝被害者に灯をもたらすものでもあります。この点も素晴らしい。心からの感謝を届けたいです。




報告集会の場で「頑張って長生きして黒い雨を見届けるぞ」とこぶしをあげられた原告団・弁護団のみなさん。守田撮影

以下、少々、ややこしくもある高裁判決の画期的内容について、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。そのために幾つかの言葉の意味するものもご紹介します。


健康被害に対する「科学的証明の必要性」を主張してきた国の見解が退けられた

控訴審のポイントは、一審で「11種類の障害を伴う疾病に罹患したこと」を被爆者として認め、被爆者健康手帳を交付する要件とされたことに対し、国が「科学的根拠に欠けている」と主張した点にありました。
11種類の疾病とは「造血機能障害を伴う疾病」「肝臓機能障害を伴う疾病」などを指します。国はそれらに罹ったことと、放射線被曝の因果関係の科学的な証明が必要だと主張したのです。この11の疾病ついての国の説明を見ておきましょう。

健康管理手当 (厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/genbaku06/02.html


健康管理手当の支給対象となる11の「障害を伴う疾病」 厚労省HPより

このように、病との因果関係の「科学的証明」を求める国に対して、実は高裁は、裁判の過程で次のように国に迫っていたのでした。
「この裁判は原告たちが『原子爆弾が投下された歳又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者』に該当するかどうかが争点である」「このことが分かっているのか?」と。
つまり一つ一つの病の科学的証明など争点ではないと指摘していたのです。しかも「それを分かった上でなおこの主張を押し通すつもりなのか?」とも厳しく追究していたのですが、判決でもこの姿勢が貫かれました。

そもそも「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」をも、援護対象にせよと規定しているのが被爆者援護法1条3号であって、国の主張は、この点をもまったく理解しないものでした。
繰り返しますが「放射能の影響を受けるような事情の下にあった」ら、ただそれだけで援護されるべきで、一つひとつの疾病の、被爆との因果関係の「科学的証明」など必要ないのです。

続く

#黒い雨訴訟 #広島高裁判決 #控訴審勝利 #健康管理手当 #11種類の障害を伴う疾病 #被爆者 #広島原爆

*****

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明日に向けて(2063)黒い雨訴訟控訴審でも勝利!「科学的証明」を求める国の見解が退けられた(連載 黒い雨訴訟高裁判決の意義―1)

2021年07月17日 21時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210717 21:00)

黒い雨訴訟高裁判決を取材するために広島市に行って、素晴らしい場を共有してきました。
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黒い雨訴訟、控訴審も勝利!

7月14日、広島高裁において黒い雨訴訟控訴審判決が言い渡されました。
国および広島県、広島市による一審判決の取り消しを求める控訴を棄却。原告84人(うち14人はすでに死去、家族が訴訟を引き継いでいる)の被爆を再び認め、被爆者健康手帳の交付を命じるものでした。
再び黒い雨が降った地域が、従来の国の認識よりも大幅に広かったこと、そこにいた人々が内部被曝の被害を受けたことが認められました。


15時の判決言い渡しの直後に「全面勝訴」の旗が。真ん中は喜んで手を上げられた原告団事務局次長の高東征二さん。広島高裁前にて 守田撮影

しかも高裁判決は、一審より大きく前進したものでした。というのは一審で黒い雨降雨地域にいた人が、「健康管理手当」の支給対象となる「11種類の障害を伴う疾病に罹患したこと」を被爆者と認める要件としていた点を退けたのです。
黒い雨が降った地域にいた人々は、ただそれだけで原爆の放射能の影響を受ける事情の下にあったのだから、被爆者健康手帳が出されるべきだとしたのです。画期的です。

この勝利は原告の方たちの積年の頑張りを中心に、弁護団や支援者のみなさんの奮闘によって勝ち取られたものです。素晴らしい。心から拍手を送ります。
またこの勝利は、すべての放射線被曝被害者に灯をもたらすものでもあります。この点も素晴らしい。心からの感謝を届けたいです。




報告集会の場で「頑張って長生きして黒い雨を見届けるぞ」とこぶしをあげられた原告団・弁護団のみなさん。守田撮影

以下、少々、ややこしくもある高裁判決の画期的内容について、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。そのために幾つかの言葉の意味するものもご紹介します。


健康被害に対する「科学的証明の必要性」を主張してきた国の見解が退けられた

控訴審のポイントは、一審で「11種類の障害を伴う疾病に罹患したこと」を被爆者として認め、被爆者健康手帳を交付する要件とされたことに対し、国が「科学的根拠に欠けている」と主張した点にありました。
11種類の疾病とは「造血機能障害を伴う疾病」「肝臓機能障害を伴う疾病」などを指します。国はそれらに罹ったことと、放射線被曝の因果関係の科学的な証明が必要だと主張したのです。この11の疾病ついての国の説明を見ておきましょう。

健康管理手当 (厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/genbaku06/02.html


健康管理手当の支給対象となる11の「障害を伴う疾病」 厚労省HPより

このように、病との因果関係の「科学的証明」を求める国に対して、実は高裁は、裁判の過程で次のように国に迫っていたのでした。
「この裁判は原告たちが『原子爆弾が投下された歳又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者』に該当するかどうかが争点である」「このことが分かっているのか?」と。
つまり一つ一つの病の科学的証明など争点ではないと指摘していたのです。しかも「それを分かった上でなおこの主張を押し通すつもりなのか?」とも厳しく追究していたのですが、判決でもこの姿勢が貫かれました。

そもそも「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」をも、援護対象にせよと規定しているのが被爆者援護法1条3号であって、国の主張は、この点をもまったく理解しないものでした。
繰り返しますが「放射能の影響を受けるような事情の下にあった」ら、ただそれだけで援護されるべきで、一つひとつの疾病の、被爆との因果関係の「科学的証明」など必要ないのです。

続く

#黒い雨訴訟 #広島高裁判決 #控訴審勝利 #健康管理手帳 #11種類の障害を伴う疾病 #被爆者 #広島原爆

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明日に向けて(2062)にょきプロ新BOOK『命を守り育み伝えるために~AFTER TEN YEARS~』完成しました!

2021年07月12日 12時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210712 12:00)

蝦名宇摩さんの熱い思いから始まった

『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を作成した「にょきにょきプロジェクト」の新BOOK、『命を守り育み伝えるために~AFTER TEN YEARS~』が完成しました!
ネットでの公開を準備中。製本版の申し込みフォームも作成中です。

新BOOKは、岡山県瀬戸内市で保養キャンプを続けてきた「瀬戸内交流プロジェクト」の蝦名宇摩さんの依頼から始まったもの。
「瀬戸内交流プロジェクト」、毎年7月下旬にキャンプを行ってきたものの、昨年、今年はコロナ禍で断念。保養を楽しみにしてきた方たちにとっても、受け入れてきた方たちに残念な事態です。

これに代わる何かができないかと考えた蝦名さん、『すっきり読み解きBOOK』を大量注文して配って下さり、さらに何かをみんなで共にしようと考えて、新BOOKの作成を僕に依頼してくださいました。
それなら原発事故からの10年をしっかり振り返るものを作りたいと思い、「にょき」メンバーに相談。蝦名さんにも参加してもらって冊子作りを始めました。



無料ダウンロードは以下から
https://nyoki2pj.com/lp/after10/

冊子ご注文は以下から
https://forms.gle/TqJ6AnTGYTMfXZUr6


福島原発事故からの10年間で進んだもの

新BOOKは、「あのとき日本はー東日本壊滅になるかもしれなかった」ということから説き起こしています。
福島原発2号機格納容器爆発の危機、4号機燃料プールの干上がりの危機、どちらが現実化しても被害は壊滅的でした。

この時、一部の人々が懸命に逃げ出しましたが、社会全体には「正常性バイアス」がかかり、深刻な被曝に多くの人が襲われてしまいました。
しかしその後、人々の目覚めが始まり、原発はとても危ない!という感覚が急速に広がり、国会前行動など、各地で原発に反対する精力的な行動が取り組まれました。

そんな中で原発のレギュレーションが少し強められると、電力会社各社が採算がとれなくなり、多くの原発を廃炉に。「もんじゅ」も廃止になり核燃料サイクルの展望が閉ざされました。
この「苦境」をしのごうとした原発輸出も次々と破たんし、すべての計画が水に流れました。民衆の力が「原子力の未来」に大きくストップをかけてきたのです。


民衆の頑張りの肯定面を取り上げることの大事さ

新BOOKでは、このように、10年間で大きな成果が積み上げられたことを強調しています。
しかしもっと悲観的な見方も多い。民衆運動の限界を指摘する声もたくさんあります。確かにそう言える面もありますが、否定面ばかり見て、肯定面を見逃している場合が多いのでは?

この点も掘り下げました。多くの人のメンタリティとして、自分や他者に厳しすぎやしないか?もっと褒め合って成果を誇ってもいいのでは?という点です。
私たちは「減点法」教育を受けています。私たちの採点はいつも100点からどれだけ足りないかという評価。そのため「ダメな面」ばかりを探し過ぎる傾向があるのでは?

でもそれって実は支配層に都合の良いことです。「おまえたちは無能だ。おまえたちが抵抗しても無駄だ」と思わせることこそ支配の要だからです。
そんなことはない。民衆の力はすごいのです。そうは思いませんか?ぜひ私たちの新BOOKを手にとってこの点を一緒に考えて下さい。


被曝を受け止め心身を癒すことが大事

この10年間、まだ進んでないことも。とくに放射線被曝の影響に対し、十分な把握が進んでいません。
それで新BOOKでは、2016年3月にテレビで放映されたNNNドキュメントを取り上げました。
2011年3月15日に、東京の世田谷でも多くの放射性物質の飛来が計測されていたことが克明に描かれていたからです。

番組では福島と青森のサルが比較され、被曝したサルの白血球数が減っていることが示されましたが、これを受けて、瀬戸内交流キャンプでも講演してくれた岡山在住の三田茂医師の話を取り上げました。
三田医師は、東京の子どもたち、約4000人の血液検査を行い、白血球の中の好中球が如実に減っている事実を示しています。

三田さんはさらに、福島原発事故によって被曝した「新ヒバクシャ」に、「能力減退症」が起きていることを論文で発表されています。
これらの事実があるからこそ、被曝被害をそのままに受け止め、対応していく必要があります。保養キャンプも避難も大事なのです。

被曝被害はまだまだ隠されている

新BOOKでは被曝被害が隠されているのかも検討しています。
一つに原子力体系が原爆製造・投下による広島・長崎での大量虐殺から進められ、被曝被害が隠され続けてきた点が重要です。

しかも核開発は東西冷戦の中で行われました。社会主義陣営と資本主義陣営が核開発競争をし、人々を被曝させ続けたのです。
どちらの陣営も被曝被害を明らかにせず、被害隠しを続けたのでした。ごく少数の心ある科学者のみが、原爆と原発、被曝の危険性を訴え続けただけでした。

同時に被曝被害を受け止めることの辛さも、被害隠しに利用されてきました。被爆者差別の中で、被害者が被害を隠さざるをえなかったり、被害者が辛くて被害を認められないことも往々にして起こってきました。
原子力推進派は、この辛さに便乗し、「被曝しても大した影響はない」とうそぶいてきました。この点をきちんと知ることが大事です。



以上、新BOOKでは、こんな点繰り返し討論し、原稿を何度も練り上げて編み上げました。ぜひみなさんに読んでいただきたいです。まずは手に取ってください。

ネットからのダウンロードや製本版お申し込みができるようにしますが、それまでは僕に連絡をいただければお届けします。
(製本版は1冊500円のカンパでお分けします。送料は何冊でも200円です。morita_sccrc@yahoo.co.jpにご連絡を)

#命を守り育み伝えるために #AFTERTENYEARS #瀬戸内交流プロジェクト #にょきにょきプロジェクト #福島原発事故から10年 #新ヒバクシャ #能力減退症

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明日に向けて(2059)原発事故から10年、「命を守り伝える」をテーマに放射能について、福島の今について、とことんお話します(13日岡山県瀬戸内市)

2021年07月06日 17時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210706 17:00)

福島原発事故から10年を振り返って

7月13日(火)、午後5時30分から7時30分まで、岡山県瀬戸内市長船の「カフェひなたん」でお話します。
タイトルに示したように、福島原発事故の10年を振り返りながら、放射能について、被曝からの命の守り方について、そしてまた福島の今についてなど、とことんお話します。
主催は「瀬戸内交流プロジェクト」。連絡先は蝦名宇摩さん(090-4964-4147)です。

お話したいのは、この10年で何がとう変わったのかです。みなさんはどう思われますか?
僕は激変したと感じています。何より原発は激減したし、原発の危険性について、ものすごく多くの人々が知るにいたりました。
でも原発はまだ再稼働されている。また各地の選挙の投票率も高くないし、いまだに原発にしがみつく自公政権が続いてる。・・・どこが変わったの?と思われる方もいるかと思います。

この点をどう考えるのか。この10年で積み上げてきたものは何なのか。
同時に、いまもっと進めなければならないものは何なのか。何が足りてないのか。これらについて「とことん」お話します。

Facebookのイベントページをご紹介しておきます。
https://www.facebook.com/events/130578939148968


新BOOKのお披露目を兼ねます!

実は今回の会、「にょきにょきプロジェクト」で作成した新BOOKのお披露目も兼ねています。
新BOOKのタイトルは「命を守り、育み、伝えるために AFTER TEN YEARS」。なぜ瀬戸内市でお披露目会なのかというと、今回の冊子、瀬戸内交流プロジェクトを主宰してきた蝦名宇摩さんのお願いから生まれたものだからです。

お願いとは、このコロナ禍の中、昨年も今年も交流キャンプができない。全国の多くの保養団体もおなじ。
それならキャンプに向けて集まったカンパを使って、福島原発事故からの10年を振り返り、保養などで頑張ってきた成果を感じれる何かをしたい。そのために僕にBOOKを作成してくれないかというものでした。

それで僕が「にょきにょきプロジェクト」に、「それならにょきの新BOOKを作ろう。蝦名さんにも参加してもらおう」ということで、新BOOKプロジェクトが始動。
原発事故から10年、「命の守り伝える」をテーマに、10年間で積み上げられたもの、放射能のこと、保養を続ける意義(被曝の事実を受け入れる大切さ)など、討論を重ね、BOOKを編み上げました。いまプリントの仕上がりを待つばかり。

13日は新BOOKを使った初めてのイベントになります!その後、「瀬戸内交流プロジェクト」関係者、支援者にはすぐに発送されるとのこと! 期待してお待ちください。
「にょきにょきプロジェクト」からも公開します。プリント版はすぐにお渡しできますが、ネットでどう公開するか思案中。これもすぐに追ってお知らせします。


福島の今、そして広島の今についてもお話します

13日はこの新BOOKを中心にお話しますが、BOOKに盛り込まれてない話として、福島の今についても語ります。
実は今年の5月10日から13日から、福島県内各地を訪問させていただきました。被爆二世の森川聖詩さんと一緒の旅でした。
いろいろな方にお会いしてお話を聞きましたが、その中で「福島イノベーションコースト構想」なるものが進みつつあり、アメリカのハンフォードとの連携がされつつあることなど、しっかり取材してきました。

さらに実は翌日14日には広島市に行きます!なぜかというと「黒い雨裁判」の控訴審の判決公判が広島高裁で行われるからです。
いま得ている情報では、高裁でも黒い雨を浴びた方たちの訴えが認められ、画期的な一審勝利を受け継いだ判決が出る可能性が高い。
それでその前夜に、福島の今、広島の今についてお話します。

みなさま。ぜひ瀬戸内市長内、「カフェひなたん」にお越しください!

#福島原発事故から10年 #命を守り伝える #瀬戸内交流プロジェクト #蝦名宇摩 #放射線防護 #保養キャンプ #にょきにょきプロジェクト #福島イノベーションコースト構想 #黒い雨

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