明日に向けて

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明日に向けて(2457)電力各社は規制委員会をなめきり安全性をないがしろにしている こんな会社に原発の稼働を続けさせてはダメ

2024年09月04日 16時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20240904 16:00)

敦賀原発再稼働不合格決定はかなり不十分、安全性がないがしろにされていることに着目を

敦賀原発再稼働不合格について、背景を掘り下げる記事の続きです。

前回は日本原電が規制委をなめきっていて、あまりに酷い対応を繰り返す中で、規制委が原発再稼働不合格を出さざるを得なかった点について書きました。
しかしもともとあの敷地の下には浦底断層という活断層が走っているのに、それを見逃して稼働させ続けてきたことは捉え返されていません。
むしろ「原子炉の真下に活断層があったら止める」ことを明確化することで、実は阪神大震災の時に政府が指針とした内容よりも切り縮められた規制内容を肯定したものでもあるのです。

このように規制委は今でも原発再稼働に対して大甘。このため日本原電だけではなく、電力各社も規制委を非常に軽んじ、なめています。
大事な点は、規制当局のこの余りの軽視が意味しているのは、電力会社があまりに安全性をないがしろにしていることだということです。
今回、さらにこの点を深掘りしていきます。


不合格判断について報じるNHK 「活断層の真上だからダメ」というけれど・・・


免震重要棟建設をほごしたまま稼働を継続している

電力会社に規制委のあまりの軽視は、電力会社各社も繰り返していますが、地震との関係で重要なのは、九州電力や関西電力が「免震重要棟」建設を約束したのちに反故にしたことです。
先にこれを行ったのは九州電力。2015年8月に川内原発1号機を再稼働させましたが、申請の際に2015年度に免震重要棟を設置すると明記していました。ところが再稼働許可後に撤回。この余りに酷いことに規制委は「不快感」の表明しかしていません。


免震重要との反故について報じる東京新聞 20160127

約束ほご 九電に不信 規制委「免震棟撤回、根拠を」 川内原発・玄海原発
https://www.tokyo-np.co.jp/article/236564

免震重要棟とは何か。地震への対応には「耐震」と「免震」があります。(正確にはさらに制震が)。耐震とは揺れを耐えることですが、建物が壊れなくても内部は揺れていてとても仕事などできない。これに対し、免震とは揺れを吸収し、内部での仕事を可能にすることです
福島原発事故の時、この免震棟の中で事故対応する故吉田所長らの姿がテレビに映りましたが、あの免震棟は半年前に完成したものでした。2007年中越沖地震で柏崎刈羽原発が激しく被災したことに対し、当時の泉田新潟県知事が設置を強く求めて建てられたのです。


免震・制震・耐震とはこんなこと 安全・安心の免震技術 | スターツCAM株式会社 (starts-cam.co.jp)

この経験から規制委は免震重要棟建設を電力各社に求めたものの、巨額のコストがかかるので、九電は「騙し打ち」で設置の約束を反故にしてしまいました。にもかかわらず規制委は再稼働許可を取り消しませんでした。
実はコスト面での配慮から、免震重要棟の設置を「中期目標」にし、すぐに建設しなくてもいいようにしてもいたのです。九電はこれをみて建設を撤回し、これに関西電力が追従。両電力会社はいざという時の備えを著しく欠きながら稼働を強行しています。


柏崎刈羽原発で不祥事連発で発した運転禁止命令を2023年末に解除

一方、東電が「不祥事」を連発させました。2020年9月に柏崎刈羽原発で、中央制御室に社員が他人のIDで不正入室したことが発覚。その後、調査してみたら、複数の侵入検知器が長期間故障しており、社員がそれを放置していたことなどが明らかになりました。
テロ対策なんてまともになされてなかったのです。このとき更田規制委員長 (当時)は「(東電には)知識がないのか、なめているのか」と述べました。この記事で「なめられている」ことを繰り返し強調するのも、このことによっています。


柏崎刈羽原発での「不備」はこんなに連続して発覚した 東京新聞20230316

「知識がないのか、なめているのか」と規制委員長 東電柏崎刈羽原発でずさんテロ対策次々と発覚 早期再稼働は不可能に
https://www.tokyo-np.co.jp/article/91898


規制委更田委員長(当時)が思わず「なめていたのか」と発言 ANN NEWS 20210316

この時、規制委はさすがに東電柏崎刈羽原発の運転を禁止する命令を下さざるをえませんでした。2021年4月のことです。ところが東電はさらに唖然とするようなトラブルを重ねました。
一つは7号機で安全対策のために行ったとされた「火災防護工事」76カ所が未了だったこと。さらに6,7号機の溶接の多くの部分で手抜きが行われていることが匿名告発されました。なんと7号機で1600カ所のやり直しが必要でした。

これらは2021年6月、7月に相次いで明らかになりましたが、これほど酷い事態が続発したにも関わらず、規制委は2023年12月27日に、東電の「自律的な改善が見込める」として運転禁止命令を解除してしまいました。
要するにどんなに失態を重ねても、ほとぼりが冷めれば再稼働を認めてしまうのが規制委なのです。だからなめられ続けるのですが、結局それで安全性がないがしろにされています。こんな規制委と電力会社のもと、原発の稼働を続けさせていいわけがありません。


規制は設置許可を取り消すべき しかし運転禁止命令を解除してしまった NHKの記事より 20231227

続く

#敦賀原発 #再稼働不合格 #日本原電 #免震重要棟 #九州電力 #活断層 #中央制御室に他人のIDで不正入室 #原子力規制委員会 #原発再稼働反対 #溶接手抜きで1600カ所やり直し

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