東京の入谷にある小野照﨑神社を参拝する。地下鉄日比谷線・入谷駅の4番出口を出ると、目の前が日光街道である。4番出口から右側へ2分ほど歩くと、小野照﨑神社に着く。
小野照﨑神社の祭神は、小野篁(おのたかむら)である。平安初期の屈指の詩人だった。相殿に菅原道真が祀れている。ということで、学問・芸能の神社で、芸術家の参拝が多い。
「照﨑」というのは、当初は上野照﨑の地に祀られていたからである。寛永寺の建立に従い現在地に移された、ということから、現在の上野公園にあったのだろう。創建は852年という。
小野篁は不思議な人で、毎夜、閻魔大王のもとに通って、補佐役を務めたという伝説がある。
天才肌で性格は狷介なところがあり、嵯峨天皇の怒りに触れ、隠岐の島に流罪となったことがある。その時に歌った和歌が百人一首に選ばれている。第11番の歌である。「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り船」
小野照﨑神社は、樋口一葉の「たけくらべ」に出てくる。当時の土地の人は「小野照さま」(おのてるさま)と呼んだ。