金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

次回の「繕いの会」の下準備

2014-06-23 10:48:48 | 多種類の繕い例
時間があるので、前回の繕いの会・器再楽(きさら)で、修理品を置いてあるものの下準備です。

左側の鉢は、繕いの箇所が大きすぎて、ベース作りが1回でできなかったもの。
結構ベースが出来上がりましたが、糊のように最初につけた接着剤が多すぎてはみ出していました。透明な部分が結構あります。
先ずは、それをナイフで剥がして。
ご本人に注意しておかないといけないな。
この後、アラルダイトと地の粉を混ぜたもので、ベースをもう少し盛り上げておきます。

右側のレンゲは、接着断面がずれやすい形だったので、持ち帰らず預かったもの、モモケルさんのものです。


こんな風に彫刻刀などで余分な接着剤を削り落としていきます。


特に気を付けたものの、それでもほんの少しずれができています。難しいものです。
そして、まだ足りない部分も。
これもベースを補強しておきましょう。


それと、猫田猫美さんが持ち込んでいる招き猫の置物。
手の部分も付けて、接着を終えていますが、前回の繕いの会の時に、猫田さんがヤスリ掛けの音がダメだということで、繕いはそのままになっていました。
誰がヤスリ掛けして整えるのですか。
仕方がない、猫(猫田さんではありません)が可愛そう、ベースを整えてあげようと持ち帰ってきました。


欠けて亡くなっていて、苦労してベースを復元している脇の部分です。
大きなヤスリで遠慮なく、ゴシゴシとヤスリ掛けです。
これも、「金繕い」の一環なんでしょうかねと思いますが、何でも繕うというのが私の姿勢です。
この後、大きなヤスリでは難しい個所をどうしようかな。
いい大きさのヤスリを買いに行こうかなと思いましたが、ふと気が付きました。
チェーンソーのチェーンの目立てをする丸いヤスリがありました。
バッチリでしたね。
我が家の工房、なんでもありますね。


ベース作りがきれいに出来上がりました。
この後、全体を綺麗に洗ってあげて。
可愛くなったでしょう。


一番問題のわきの部分もきれいな形になっています。
このあと、傷んでいるひげも取り除いて。
新しいひげを付けてあげて、アクリル絵の具を使って全て仕上げたくなってきます。
ああ、ダメダメ。
ひげはモモケルさんがつけてあげると言っておりました。
それから、アクリル絵の具を使っての仕上げぐらいは、猫田さんご本人にやってもらわないとね。

昨日の繕いの会・器再楽にはお二人の新しい方が

2014-06-13 10:47:51 | 繕いの会の様子
昨日の繕いの会、私のブログを見てという方が初めて参加されたのと、西宮流ブロガーでは、2回目の参加の猫田猫美さんとモモケルさんが初参加でした。

初めて参加された方は、口辺が欠けたものを3点持参されました。
これらは、容易です。
(写真を撮れていません。)

でも、続けて繕いを勉強したいという方なので、本格的な繕いもこれからお教えします。

さて、今回もモモケルさんと一緒に遅れてきた猫田さん、また道に迷ったと。
でも、今回はパトカーの先導はありませんでした。

さて、常連さんの畑谷さんは、今回は有馬温泉の知り合いの方からの依頼品を持ち込まれました。
もう要領は分かっているので、時々見てあげるだけで。
大きな欠けのある粋な鉢については、ベース作りは一度では無理ですよと助言。
一応ベースづくりをしてもらって預かりました。
他のものは、持ち帰り、寝る前まで形を見守ってあげてもらいます。 


モモケルさんの繕い。
沢山持参された作品は、モモケルさんのブログにアップされていますが、ほんとその多さには驚きましたね。
震災で壊れた時のもののようです。

先ずは、1回目でできるものに限定して取り掛かってもらいました。
今回は欠けた部分(ほつ)の繕いと、ひび(にゅう)の入ったものの繕いです。

割れたもののその部品がない大変難しいものもたくさんありそうです。
当分通ってもらわないといけませんが、それらが完了した暁には、凄腕に変身していることでしょう。


さて、猫田さんの2つ目の猫の置物です。
腕をめくらないで作業すると、アラルダイトが大切な服について、とんでもないことになります。
他のメンバーの助言で、このあと少しは腕まくりして。


一人では、とても難しいので、他のメンバーが自分の繕いをせずに応援です。
猫田節の楽しい会話を交えて、えらく賑わっていますね。
前回の白い猫の置物の方は、新しく来られた方に繕い部分を少しヤスリ掛けをして整形してもらったものの、そのあと放ったらかしです。
可愛そうに。
私は、前回のあと、だいぶ手を入れてほぼベースが出来た状態までしているのに。
色を塗るため、この日は絵の具まで用意してきたのにね。
ヤスリ掛けの音が苦手という猫田さん、ドナイするねん!

そうそう、近所のブロガーの「さとっさん」が見に来てくれていました。

何でも繕うという姿勢 その3

2014-06-11 16:57:41 | その他の繕い例
今度は三味線のバチの修理です。

三味線の会で、妻の母が三味線をしまう時にバチを落として壊してしまいました。

以前に三味線の棹を直してあげたことがあったので、早速私のところに持ってこられました。
8万円もしたという鼈甲のバチです。

そして、義母がいる目の前で繕い開始です。

いつものように2液混合のハルツマン社製のアラルダイトです。

アラルダイトを塗って貼り合わせた状態。
壊れ方が、断面が引っかかるようないい形、これならいい仕上がりになる。
このあと、セロテープや布テープでしっかり固定します。


そして、半日経った夕方、まだ接着剤が完全に固まる前に、手入れをして余分な接着剤を取り除きます。


剃刀の刃を使うので、こんな風に傷がついてしまいます。


そして、今朝方、完全に乾燥したアラルダイト。
水ペーパーで仕上げます。
目の細かな1000番と2000番を使って、刃物のキズも修復です。


この後、「石粉」を使って磨き、さらに木綿で艶を出して仕上がりです。
元の艶は少し無くなっていますが、比べないと分からない程度です。


壊れた個所はアップしないと分かりませんね。
上出来ですね。
2日後に早速使いたいということですので、妻がすぐに届けてきました。
「なんと仰っていましたか」と尋ねると、「あれー」と言ったまま声が出なかったらしいです。
修復した反対側で使ってもらうと大丈夫です。
すぐれもののアラルダイト、そのうち、修復した方を使っても大丈夫になると私は判断していますが。


大きな花器の繕いが不十分

2014-06-11 16:39:47 | 陶器の繕い例
繕いが終わって、すでに届けていた大きな花器。

使ってみると水が染み出るとの連絡が入って、早速生け花の先生の教室に。

どんな様子か尋ねても、よく分からない。

繕いがいい状態に仕上がったので、当初の予定通り、お弟子さんに預けて、ある寺院にプレゼントの予定で、そのお弟子さんが使ってみて気付いたとのことで先生はよく分からないそうだ。
そして、連絡を下さっている方がまた別のお弟子さんで、ややこしい。

でも、この先生、「中に何かを入れて活ければ、問題ないのに」とおおらか。
配達された時に割れていたことについても、相手方に連絡せずに「安かったので」と気にしない方なのだ。

でも、私はそれでは納得できません。

早速、自分で確認しました。

すると、1箇所から水滴がじわっとたまってきます。
これは反省だな。

もう大丈夫と簡単な確認で終えてしまっていたのだ。

早速追加の繕いに取り組みました。
この段階ですので、花器の問題の箇所をドライヤーでできるだけ温めて、アラルダイトを浸みこませるとい手法です。


底も温めると、うっすらとヒビのラインが見えてきます。


内側も同様に処理して。
そして、この段階で、すぐに余分のアラルダイトは拭い去って表面をきれいにします。
この方法はマル秘のテクニック。
でも、私はオープンにしています。
教えて頂いた先生の奥さんからの、「亡くなった夫から教えていただいたことは、どんどん広めて下さい」との言伝てですので。


このあと、乾燥後に再度確認して、まだうんとゆっくりと水滴が形作られるので、その箇所を狙い撃ちで処理。

ようやく問題が解消しました。
念のため、たっぷりと水を張った状態で何日か置いて確認します。


問題があったのは、この正面下の部分。
まだ、目に見えない亀裂が入っていたのを見逃していましたね。


これが依頼された時の状態でした。
我ながら、ようやるねと思いますね。
塚口駅近くで教室をしているこの生け花の先生とも、さらに親しくなりそうです。
私の花器も使ってもらおうかな。

何でも繕うという姿勢 その2

2014-06-05 12:07:08 | 多種類の繕い例
兜の入れ物の修理のあとの「何でも繕う」Part2です。
これまで、三味線の棹の破損の修理なんかもしています。

今回は、屋根裏に置きっぱなしになっていたギターです。

取り出してみるととんでもない破損部分が。
なんでも息子が、車とぶつかってこうなっていたらしいです。
聞いていませんでしたね。
持ち帰ろうとする息子に「修理するよ」と私。
それから1か月近く、長い悪戦苦闘の日々が続きましたね。


いつものようにアラルダイトと地の粉です。
先ずは、傷みのひどい個所から。


それが乾いてから。
へこんでいる部分全体もそのままではまずいので、全体を復元することにしました。
湿布薬ロキソニンの透明板がとても有効です。


この作業を何度か繰り返して、形を整えていきます。



丁度肩を痛めて、湿布薬ロキソニンの透明板がたくさんあって助かります。



そしていよいよ仕上げです。
ヤスリなどいろんな道具を使って、形をきれいに削り出して。
大変な作業です。


最後に水ペーパーで仕上げて。こんな状態まで。


そして、いよいよ「新うるし」を使っての色合わせによる復元の段階です。
表側もだいぶ傷みましたので。


そして、サイドのメインの箇所も。


完成です。


アップして。
色合わせのあと、「新うるし」の本透明漆も塗っています。



今回も新しい体験でした。
息子に取りに来るよう連絡を入れましょう。
どんな感想が聞けるでしょうか。

それから、そろそろ「何でも繕いましょう」という本でも出そうかな。