金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

川西での金繕い教室の三日目

2016-08-30 15:13:01 | 多種類の繕い例
川西での金繕い教室の三日目、昨日の29日(月)の最終日の様子です。
参加者は7名。


この方は家でベースの繕いを終えて、黒艶漆を塗っています。
とても細い面相筆を使ってひびの入った個所に。
この線引きは私がしないとと思ったのですが、この方イラストレーターの仕事もされているというので大丈夫でした。
とても綺麗な線を引かれています。


それにしてもたくさんの繕い品をお持ちになっておられます。
この後、銀と金の丸粉を蒔いて。
最後の磨きの工程は、3日以上のちに自宅でしてもらいます。
金粉でも、正味の材料費が安いと判って、赤いカップにくわえてラーメン鉢まで金を蒔かれました。


画廊シャノワールのオーナーの佐野さんの作品。
すでにマグカップの作品は磨き終えて終了。
個展で画廊を使われている川西の鍛冶ゆう子さんの作品がよみがえって大喜びです。
今回もあれこれ忙しすぎて、出来上がった作品をほとんど撮れていません。


今回気が付いたことは、人数と繕いの作品が多かったので、ベース作りの仕上がりの最終チェックがほとんどできていないので、繕い部分がかなりデコボコしていることです。
口頭では、「目で見てではなく触ってみて、周りと違和感がないようにまで」と注意したのですが。
それと、漆の塗り方も①濃淡の違いが無いようにフラットに、②塗り際を丁寧に仕上げるといったも注意しないときれいな仕上がりにならないことを強調すべきでしたね。
でも、初めての体験としては、とても良かったのではないでしょうか。
必要な方には手持ちのアラルダイト、銀粉、それに地の粉をわけてあげました。

佐野さんには、いろいろとお世話になり有難うございます。
1回につきワンコインで、金繕いの教室に参加ができるというのは他にはないでしょうね。
繕いの技を広めたいという私の趣旨も皆さんに理解してもらえて良かったです。

この後ですが、まだ具体的なことは決まっていませんが、9月から月1回程度で、川西で金繕い教室を継続していこうということになっています。

会議の前の繕い

2016-08-29 20:00:47 | 陶器の繕い例
昨日の8月28日の兵庫陶芸美術館での「陶芸文化プロデューサー」(立杭焼のボランティア団体)の会議の始まる前にメンバーのお一人から頼まれた繕いです。

昨年秋の最古の登り窯の初焼成での作品ですが、1箇所大きな亀裂が入って、その直後陶芸美術館の工房をお借りして、二日間にわたってボランティアメンバーのたくさんの作品の繕い作業をしたのですが、その時繕ったものですが、まだ不十分だったようで、使っているうちに水が漏れ始めたとのことです。
初焼成のトラブルは大変なものでしたね。

展示を終えた作品を保管してあるボランティアルームで。
ドライヤーでうんと温めてアラルダイトを割れ傷のところに注入して、綺麗にふき取って終了。
これでたぶん大丈夫でしょう。
まだ水漏れするようだと別の手立てを考えないといけませんね。


この作品でしょうね。
去年の秋の繕いの様子です。


それと会議終了後、メンバーの一人の若い女性が「遅くなりましたが、繕い作業の時のお礼です。最近金沢の方に旅行したので」と。
金沢の「福光屋」の純米吟醸の銘酒「福正宗」です。
去年の秋にも、それぞれの方からいろんなお酒を頂いたのですが、いまだに気を使って頂いて、有難いですね。


これがその時の彼女の繕いの様子です。
魚の形をした大きな傘立てでしたね。
この作品、傘立てですので水漏れまでは気にしなくていいですね。

今年の秋の焼成では2回目なので、登り窯も少しは安定してこんなトラブルはなくなってもらいたいものですね。


自宅での金繕いの作業

2016-08-28 18:35:21 | 多種類の繕い例
明日の川西での金繕い教室を前に、家での作業です。

仕上げの磨き作業に使ってもらう鯛の牙。
皆さんに一つずつプレゼントして使ってもらうので新しく制作です。
これもアラルダイトで接着していますが、牙によっては固定が難しいので、糸で補強しています。
1本足りないですが、これまでの作り置きもあります。


そして、持ち帰った高級な湯のみ3点。香蘭社のものです。


縁の金の部分が、使っているうちにこんな風に薄くなってきたもの。
私ならもう少し使い続けますが、気になるのでしょうね。
以前に武庫之荘のギャラリーRのオーナーに頼まれて取り組んだことがありますので、やってみましょう。


手回し轆轤の中心に置いて。
「新うるし」の本透明を使って。
綺麗なラインを入れるのは至難の業。
今後のために、何かいい手法を見出さないといけませんね。


そして金の消し粉を蒔いて。
このあと、真綿で綺麗にして。
更に、今回は金の消し粉の持ちがいいように上から本透明漆を塗ってです。


出来上がりました。


完璧な仕上げは無理ですが、だいぶ見栄えが良くなりましたね。
明日お渡ししましょう。
セレブなような女性、うんとたくさんの料金を頂きましようかね(笑)。

川西での金繕い教室の二日目

2016-08-28 18:27:22 | 多種類の繕い例
川西での金繕い教室の二日目・25日(木)の様子です。

二日目はこの後お一人が遅れて参加されて8名でした。
山仕事の仲間の男性に替わり奥さんが参加、奥さんも山仕事のメンバーですが、前から金繕いに関心を持たれていて、奥さんが本命のようですね。


この方の自作の花器。
水漏れがするというので前日確認。
底の部分の土の締めが足りなかったようですね。
さあ、これで水漏れが止まるかどうか。


新しく来られた方。
たくさんの繕い品です。
真っ二つに割れたお皿は、アラルダイトだけで接着してセロテープで締めています。


こちらの方のものは、いい品物ばかり。セレブなんでしょうかね。
この湯呑みと同じもので3点、縁の金色の部分が薄くなってきたので、直してほしいという注文も。
少し難しいですが持ち帰って取り組んでみましょう。


ギャラリーのオーナーの佐野さん、追加の品物をいろいろ持ってこられて。
在るものなんですね。


陶芸家の黒川さん、前日のもののベースの仕上げです。
一点、追加のものもありました。
黒川さん、これまではトラブルのあった作品は壊して廃棄したり、金繕いをするお知り合いにあげたりしていたらしいです。
これからはご自分で繕って、甦らせてもらいたいものです。


こちらの方のお線香立て、ベースがほぼ出来上がっていましたが、一箇所一度では難しい個所がありましたが、早く硬化するアラルダイトを使って修復を追加して、その後呂色漆を塗ったところです。
漆の自然な色が器と合うと思いますので、このまま漆を乾燥させて終了ですね。
長く使ってこられたものらしくて、とても喜んでもらえました。


繕うものがうんと多くて大変でした。
予定の時間をとっくに過ぎてから、黒艶漆を塗って銀の丸粉(3号)を蒔く作業です。
たくさんですね。でも、今回はここまで仕上げないとね。


この私の作業の様子は佐野さんに撮ってもらいました。


二人ほど先に帰られましたが、ついでに記念のスナップも。
この日は予定の3時が5時までかかって。
たくさんのことを学んでもらいました。
次は明日の29日の月曜日です。
仕上がらない作品も出てきますが、あとは、ご本人にお任せしないといけませんね。
とにかくやってみましょう。

川西での金繕い教室の一日目

2016-08-28 18:18:14 | 多種類の繕い例
8月24日(水)の川西での金繕い教室一日目の様子です。

6月の画廊シャノワールの個展時にオーナーの佐野さんに頼まれていたもので、佐野さんのお世話で24日、25日(木)、29日(月)の3回の予定を組んでもらい参加者を集めてもらいました。

この日の参加者は5名。
皆さんいろんな壊れた品物を持参されて。
このうち陶芸をされている方が2名おられます。
左端は、あまがさき山仕事体験隊でいつも一緒に里山整備をしているメンバーの金谷さん。


この日の繕いの品物を紹介します。
この花器、口の1箇所が掛けていましたが、その破片があったので、アラルダイトで接着するだけでOK。
どこにトラブルがあったか写真では全く判らない状態です。超簡単でした。


この方の自作作品。
上のコーヒーカップは真っ二つに割れていたもの、細かく割れた部分もありましたが、きちんと貼り付けました。
下の皿は、ひびが入っていたものをドライヤーで温めてアラルダイトを浸み込ませる手法を体験してもらいました。


この方は、毎年シャノワールで個展をされている篠山後川の陶芸家の黒川さん。
蕎麦打ちもされています。
ご自分の作品をお持ちになって。
是非繕いの手法をマスターしたいと、意欲満々ですね。
さすが、いい作品ですね。


これもひびの入ったものをアラルダイトを浸みこませて。
アラルダイトが半ば固まりかける夕方に、剃刀の刃を利用して余分なアラルダイトをそぎ落とします。
その手法もしっかり習得してもらって。


とても古い線香立てらしいです。
長くライン状に欠けていますね。
一番欠けの大きな部分には、薄いプラスチック板をあてがって修復します。
今回写真を撮る余裕がないので、そのような手法の写真は撮れていませんが、参加者の皆さんはその手法もしっかりと身につけたはずです。


そして、とても綺麗な佐野さんのガラスの花瓶、1か所欠けています。
さて、これは難しいよと。


このコップは川西の女流陶芸家の鍛冶さんの作品です。
私が以前に一度繕ってあげたものですが、今回はたくさん欠けていますね。


ほとんどの作品のひびの部分の修復、欠けた部分の修復を終えて、帰ってからもアラルダイトが固まるまでしっかりと付き添ってあげて下さいと念を押して。

最後に、ガラスの花瓶の処理に取り掛かりました。
欠けた部分に「新うるし」の本透明を薄く塗って、すぐに金の消し粉を蒔きました。
そうすることで、この後の欠けた部分を埋めて内側から修復箇所を見ても、金色で周りとの違和感がなくなります。
これも大切な手法です。
佐野さんには、今回の参加費500円/日とは別に、「金粉ですので高くつきますよ」と脅かして。
とてもいろんな手法を、予定の2時間を超えて3時間かけて体験してもらいました。
たくさん写真を撮らないといけないのに、その余裕がなくて残念でした。



2日目の記事に続く。