金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

繕い品がいろいろと その3

2016-12-24 12:20:13 | 多種類の繕い例
次の繕いは私の愛用の酒器です。

立ち飲みに行くときの持参品ですので、何かの拍子に酔っ払って割ってしまっています。
今回も全く記憶がございません。

何カ所も繕った後があって、ひどい状態ですね。


他の繕い品と同時並行で。
先ずはアラルダイトで接着です。


黒艶漆を塗って。


内側も。


そして銀の丸粉(3号)を蒔いて。


湿気のあるケース内で漆の乾燥です。


その後の粉固めの処理。


仕上げは鯛の牙で磨いて。
完了です。
これだけ繕ってあると、かえって趣があるかな。
再び立ち飲みで愛用しています。
ちなみにこの酒器には、「東鄙霊雨」(東の鄙びた地方にも、穀物にいいすごくいい雨が降り出した)という文字を甲骨文字で彫り込んであります。

繕い品がいろいろと その2

2016-12-24 11:58:26 | 陶器の繕い例
以前に登り窯の取り組みの反省会の時に、立杭の陶芸仲間の女性から依頼された品物です。

口辺にほんの少し掛けた部分があるのが判りますかね(左側少し上)。


(右側少し下)



アラルダイトと地の粉で充填後ヤスリなどで仕上げて。


黒艶漆に銀の丸粉(3号)を蒔いて。


もう一つの繕い品と並行しての作業です。



乾燥後、生漆をテレピン油で薄めたもので粉固めの処理です。
今回は2回行いました。



そして、完了です。



反省会の飲み会の時に、依頼者が飲みすぎで忘れて帰られた器も預かっています。
よく見るととてもいい器ですので、電話で尋ねると俊彦窯の清水剛さんの作品だと分かりました。
さすがですね。
私もこれを手本に作ってみようかな。
この器、繕い品と一緒に今度の陶芸美術館での補修講座でお会いできるのでお渡しする予定です。


繕い品がいろいろと その1

2016-12-12 09:59:49 | 陶器の繕い例
繕い品がいろいろとありました。

最近依頼があった繕いから。

先ずは、私のブログを見ての西宮の方からの依頼品です。
コーヒーカップの取っ手がこんな風に。
部品が全部そろっているので容易でしょう。


アラルダイトのみで先ずは接着です。


しっかりと接着できましたが、こんな風にわずかに欠けた部分があります。


それで砥の粉を混ぜたアラルダイトで、ほんの少しですが、充填です。


このあと、依頼主と連絡を取って、銀粉を蒔いての銀繕いでやりましょうということになりましたが、このカップをよくよく見てみますと釉薬が黒く出ているところが裏側にあります。
それで先ずは、黒艶漆で処理してみて。


漆が乾燥するとこんな具合。
それで、再度依頼主と連絡を取って、銀粉を蒔かなくていいのではとお話しして、了解を頂きました。
強度も問題ありませんし、周りと不自然でもありません。
金や銀粉を蒔かなければ電子レンジでも使えますし。
それでこれで完了としました。
繕い料金はうんとお安く。
郵送料の方が気になりましたね。

繕いがまたたくさん その3

2016-12-12 09:49:50 | 陶器の繕い例
丹波立杭焼の最古の登り窯の作品の窯出しの時に手に入れたものです。

こんなものを二つ頂きました。
これは焼成の時に作品を置く台なんですが、亀裂が入ってしまってもう使えないと判断されたものです。

でも、とてもいい窯変が出ています。
処分されるときに鎮台窯の大上和則さんが、「もったいないね。この中に容器を入れたら花活けとして使えるのにね」とつぶやいておられたので、横にいた私、「それなら私が頂きます」と。


上からと下からの写真です。


元の状態の写真を撮り忘れていたのですが、もう少し状態のいい方を繕ってみました。
こんな風に。
いつものアラルダイトと地の粉を混ぜたもので充填して。


横の亀裂も、温めてアラルダイトだけ充填した後に、こんな風に亀裂を埋めて。


出来上がりです。
横側のいくつかの亀裂、綺麗に処理したでしょ。
この中にシクラメンの花を鉢ごと入れても見映えするでしょうね。


中側は見えないところなのでアバウトで。
大きく開けられた丸い穴の部分も充填して。


裏側からみた様子です。
これで直接水を入れて花を活けることもできます。
もう一つも余裕があるときに繕ってみましょう。


今度機会があれば、鎮台窯の大上和則さんに見てもらいましよう。
びっくりされるでしょうね。
大上さん、私が繕いをすることはまだご存じありませんので、いいPRですね。

繕いがまたたくさん その2

2016-12-12 09:42:37 | 陶器の繕い例
次の繕いの品物は、窯出しの時に依頼されたものです。

兵庫陶芸美術館で以前指導員をされていて、お世話になった炎丹久窯の清水豊和さんの大皿です。
記念品をお渡ししたい方はすでにお亡くなりになっていて、ご家族の方にプレゼントしたいとのこと。
篠山鳳鳴高校の関係ですね。


こんな小さな亀裂が入っています。


早速取り掛かりました。

アラルダイトと地の粉を混ぜたものを充填して。


乾燥後、黒艶漆で処理して。


すぐに金の丸粉(3号)で蒔いて。



このあと、湿気のあるところで漆を乾燥させますが、こんな手法で。
水を含ませたペーパーを処理した部分の横に置いてサランラップをかぶせて、ホットカーペットの上に置いて温めながら。


この後、生漆をテレピンで薄めたものを塗る粉固めの処理を2回行ってから。
最後の磨きの工程です。
木綿布でしっかり磨きをかけて、鯛の牙での仕上げです。


完了です。


こんな風に出来上がって。
立杭の陶芸美術館に行く用事があって、早速お届けしました。