金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

可愛い小物の繕い

2014-05-27 11:53:42 | 陶器の繕い例
日曜日の立杭での会議の時に、ボランティア仲間から依頼があった可愛い小物の繕い。

飾ってあったのをお孫さんが壊してしまったらしい。
お孫さんが、とても気にしているとのこと。

右側の2本の脚が割れていました。
「簡単ですので、ご自分でなおしたら」といいましたが、「細かい作業なんで」と預かりました。
この段階は、アラルダイトで接着を終えて半日経って、すでにくっついた状態のものです。
一番端の脚がやはりズレています。
なかなかビッタリとは合わさらず、これでもかと何枚ものセロテープで固定したのですが。


裏側です。


このあと、はみ出たアラルダイトを除いて、隙間を更に充填します。
今度は速乾性のアラルダイトにアクリル絵の具で色合わせをして。


すぐに完成です。
可愛い作品ですね。


裏側も充填して。
今度の会議でお渡ししましょう。
いつも私のブログを見てくれているらしいので、まずは安心してください。
お孫さんにもよろしく。

依頼された作品を楽しんで確認

2014-05-22 17:38:30 | 陶器の繕い例
繕いを依頼された花器2点、たくさんの箇所から水が染み出していたが、完璧だ。
その確認を兼ねて、飾って楽しませていただいている。

25日の日曜日にお渡しする予定で、すでに電話で様子を知らせて喜んでもらっている。

こんな感じです。
この形は使いやすい。


もう一つも。


いつも仕上がった繕いのものを手に取って、喜んで貰える時が、私にとっても最高にうれしい時です。

次の繕い依頼 その2

2014-05-22 17:32:47 | 陶器の繕い例
その1の続き。

ぐい吞みの方は完成ですが、こちらの花器二つ。
水を入れてみると、大きな亀裂の部分は大丈夫ですが、他の箇所多数から水が染み出してきます。
それらの箇所に赤いシールを貼って、その場所をメモしました。
こりゃ大変だ。余りに多い。
タタラの貼付け部分はもちろん、土自体もしまりが悪かったのかな。
こりゃダメですと、依頼者に電話を入れようかなとも思いましたが、何でもトライです。


その手法がこれ。
花器を電子レンジで温めて、アラルダイトを浸みこませていきます。


十分に染み込むように、ドライヤーでさらに温めながらの作業です。
こんな手法は、どんな繕いの本でも載っていません。
高槻の漆研究家の先生に教わった手法です。
でも、先生もこんなにたくさん漏れる部分がある品物の繕いはご存じなかったのでは。
亡くなられた先生の教えをどんどん広めて欲しいと仰る奥さんの意向に沿って、私は手法については、全てオープンです。


そして、最後は「新うるし」による色合わせです。
金粉や銀粉で蒔いて装飾する方がいいか、迷うところですね。


完成です。
亀裂の部分は、少し目立ちますが。
他の染み出した多数の箇所は、全く分かりませんね。


反対側。


こちらの花器、この亀裂の部分の繕いは、よく目立っていますね。
もう一度、手を加えましようか。
その場合、次はこの部分の艶を消す方法の出番ですね。

この二つの花器、実際に花を活けて様子を見ていますが、水漏れ等一切大丈夫です。
今度お会いして手渡すまで、私もこれらの花器を楽しませてもらっています。
手渡す時には、こんな状態でしたよと、水が染み出た多数の箇所のメモも渡しましょう。

次の繕い依頼 その1

2014-05-22 17:20:22 | 陶器の繕い例
丹波立杭の「春まつり」の時に依頼された次の繕い品です。

陶芸美術館の女性職員からの依頼は、備前焼のぐい吞みです。
口辺に1か所欠けた部分(ほつ)があります。


そして、陶芸のボランティア仲間からの依頼品。
タタラ作りの花器2点。
「かねと窯」の清水圭一先生のタタラ講座を受講する前に自分で制作したもので、貼り合わせがうまくいっていないと。
なるほど貼り合わせたところに、亀裂がいくつか入っている。



では、繕い開始です。
いつものようにアラルダイトに地の粉を混ぜたものを用意します。


ぐい吞みは、欠けた部分を盛り上げて。
半日ほどかけて固まるまでに、時々形を整えます。


こちらの花器は充填して、そのまま放置です。
でも亀裂の深い部分は、再度盛り上げたりします。


ぐい吞みの方は、ベースが乾燥した後、ヤスリや水ペーパーを使って、最後のベース調整です。


このままでもほとんど繕いの部分が判りませんね。


このあと、いつものように黒艶漆を塗って、丸粉の金粉を蒔きます。


そして、粉固めの工程を経て、木綿磨きと鯛の牙で磨いて完成です。


完成です。


丸粉がたっぷりと蒔かれた表面は、凹凸があります。
消粉と違って、耐久性が全く違うのです。
いいものは、丸粉での繕いです。

その2に続く

依頼のあった本格的な繕い その4

2014-05-17 18:33:50 | 陶器の繕い例
大きな花器以外の繕いは終了です。
大きな花器で紹介したのと同じ、その途中からの様子です。

呂色漆を施して乾燥させた後、結構漆が垂れてしまっています。
多すぎたようですね。
透明感のあった茶色っぽい漆が、こんなに黒く変色しています。


カッターや水ペーパーできれいにします。


こんな風にベースが出来ています。


このあと、艶黒漆を丁寧に置いていき。


金粉や銀粉の丸粉で蒔いていきます。


途中省略ですが、再度ムロ入れて、粉固めの工程も経ての数日後の様子です。
軽く水ペーパーを使い、木綿布でしっかり磨いた後、鯛の牙で仕上げの磨きです。
このカップは銀粉を使いました。


にゅう(ひび)の入った内側も完成です。


この皿も、金粉で仕上げて終了です。


こちらの湯のみは、大きな花器を依頼された姫路の方のものです。
口辺のホツ(欠け)のほかに、ニュウ(ひび)も1箇所。


高台部分も完了です。
やはり本格的な繕いは、手間がとてもかかりますが、しっかりとしたいい仕上がりですね。