金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

再開なった川西での金繕い教室

2020-06-28 08:25:12 | 金繕い教室「器再楽」

6月25日(木)に、川西パレットでの金繕い教室「器再楽」がようやく再開できました。

コロナのため前回は2月に1回実施しただけです。

当分人数制限が続きますので、世話人の方が2つのグループに分けてくれて。

この日の参加者は6名でした。

 

久しぶりですので、いろいろと技術的なことをお話しして。

 

急いで処理したいものは、ラピッドのアラルダイトを使って。

 

前回の続きの品物いろいろと。

ガラス製のものは、なかなか難しいです。

あらかじめ割れたところを「新うるし」の本透明を使ってその上に錫粉を蒔いていきます。

その上からスタンダードタイプのアラルダイトに強力粉を混ぜたもので成形して。

あとは、固まるまで本人に手入れしてもらいます。

 

このお皿、教室の教材として丹文窯からいただいたものですが、大きな亀裂が入っていて。

プラスチック板を裏から貼り付けて、そこにスタンダードのアラルダイトに地の粉を混ぜたものを充填します。

プラスチック板はきれいに剥がせるので、とてもいい手法です。

その手法をしっかりと見てもらいました。

 

そして、後半は本漆の出番です。

弁柄漆、黒艶漆、赤呂色漆の3色を少しずつ出して。

 

前回までにベースを補修した上からラピッドタイプのアラルダイトでさらに手入れした後、これは赤呂色漆ですね。

 

前回までにベースの補修を終えた皿は、弁柄漆を塗って、錫粉を蒔いて。

 

パレットに隣接する「画廊シャノワール」のオーナーの佐野さん、いろいろとお持ちになって。

弁柄漆と黒艶漆を使っての補修です。

 

参加された皆さん、とても繕いの工程を楽しまれています。

講座の参加費はわずかワンコインというのも魅力的でしょうね。

私にとって、金繕い教室はボランティアで技を広める場ですね。

次回は7月(第2,4木午後1時から) に、2つのグループにグループ分かれて2回実施予定です。

 

帰り際に「画廊シャノワール」に立ち寄るのが恒例ですが、オーナーの佐野さん、この日仕上げた繕い品を入り口付近に展示して。

沢山仕上がりましたね。


千代木園陶芸教室の作品の繕い その2

2020-06-27 18:48:26 | 陶器の繕い例

高齢者施設千代木園での陶芸教室の作品の繕いの続きです。

 

大変なことになっている織部の花器。

4隅すべてに手入れが必要ですので大変です。

 

次のステップに行く前に他の作品の手入れです。

ルーターを使って整形です。

 

そして、アラルダイトラピッドを使って。

 

この二つも補強して。

 

いよいよ最後の箇所です。

スタンダードタイプですので時間がかかりますので、いい姿勢を保持して。

 

接着面がようやく固まりました。

あとは少し削りが必要ですね。

 

私の繕い品は、本漆を使って。

白漆はどんどん黄土色になっていきますね。

 

こちらは弁柄漆を混ぜて。

これももう少し焦げ茶色になりますね。

 

この作品、ルーターを使っての整形の仕上げです。

とんでもないことになっているので、うんと簡単に。

 

そして、仕上げは「新うるし」で。

3色ほど色を混ぜて。

 

さあ、完了ですね。

次は、他のたくさんの作品の底の手入れをしてあげないといけません。

ほとんどが簡単なやすり掛けををするだけです。

 

私の作品2点はこんな仕上がりです。

金属粉を蒔かなくてもいいかなと。

 

6月25日(木)から、川西パレットでの「器再楽」の金繕い起用室がようやく再開です。

もうそろそろ、コロナで時間を持て余していて、繕いのとんでもなく安く請け負うというキャンペーンは終了としましょうかね。


千代木園陶芸教室の作品の繕い その1

2020-06-27 17:43:59 | 陶器の繕い例

高齢者施設の千代木園の陶芸教室の作品が無事に焼成できました。

全く無駄のない詰め方でしたが、作品は大丈夫でした。

 

作品を取り出す前の写真です。

 

作品は7月3日にお渡しする予定です。

焼成時ではなく、作品本来のトラブルのあったものが3点ありましたので、作品の底などの手入れの前にさっそく繕いの開始です。

この3点です。

この織部の花器、貼り合わせた部分が4か所ともに大破です。

こんな状態で繕ってあげるとは。

 

この作業に合わせて、私の繕いたいものも同時に進めて。

書道の筆の先の部分が取れてしまって。

それと菌類模様の大切な酒器の上に他の作品を落としてしまって。

そして、トラブルを見過ごしていた以前の酒器です。

 

まずはラピッドタイプのアラルダイトを使って。

 

続いて厄介な花器の繕いは、プラスチック板をうまく使って。

ここからはスタンダードタイプのアラルダイトです。

 

まずは、こんな具合で。

 

それから、水漏れするので修理をお願いと受講生の方から依頼されて。

前回の焼成で出来上がった作品です。

ご本人は水漏れ防止剤でいいかなと思っていたのですが、よく見てみると底の貼り合わせの部分に不都合があって、水がしみだしてきていました。

持ち帰って、正解でしたね。

これも簡単に修理できました。

その2に続く。


西宮ブログの仲間からの依頼

2020-06-15 10:47:02 | 陶器の繕い例

西宮ブログ仲間のパナップさんから、繕ってほしいものがあるのですけどと伺っていたのですが、神戸にお住まいの方ですので、送料が高くついてしまうので、そのままになっていたのですが、うまい具合にお会いする機会ができて。

陶芸をされている友人からいただいた小鉢だそうです。
真っ二つに割れてしまって。
でも、かえって繕いはとても容易です。


ピタッと断面が合わさりますので、アラルダイトのみでの接着で。


そして、いいころ合いに余分な接着剤をそぎ落とします。


こんな風に。
剃刀の刃を使って。
余分なところがきれいに取り除けます。
タイミングがとても大事です。


割れていた部分がわからないぐらいですね。

 

食器ですので、接着部分を漆でコーティングしないといけません。
接着段階から漆を使うのが理想的ですが、とても時間がかかりますので。

弁柄漆を面相筆で細い線で塗って。
それが乾燥してから、少し色合わせをしたいので、黒艶漆を薄く塗り重ねて。


こんな仕上がりです。
金属粉(金、銀、錫)を蒔いて、金繕いしていますよと目立たせるほうがいいのか、こんな風に目立たないほうがいいのか、好みですが。
金属粉を使うと電子レンジが使えなくなるのが難点ですね。


裏側は弁柄漆のみで。


次にお会いする機会は難しいので、宅急便で早速お送りして。
こんな小さなものでも、送料が高くついてしまいますが、仕方ありませんね。

パナップさんとお会いした時に、何年も前に西宮ブログのメンバー何人かで西宮の青木町にある「アル酎」でご一緒したことがあると伺って、びっくりでしたね。
いろんなつながりがあることが驚きですが、嬉しいですね。
手土産もいただいて。

今月の後半から、月2回の川西での「器再楽」の金繕い教室が再開です。
家から出ない日々が続いていましたが、ようやくいろんな活動が少しずつ再開できそうですね。

 


次の繕いの依頼 その2

2020-06-15 10:32:32 | 多種類の繕い例

続きです。

ミニルーターを使って整形した様子です。

 

次は漆の出番ですね。
まずは弁柄漆を使って。


焼き締めの茶碗、ひびの入った部分から細い面相筆を使って。


備前焼のマグカップ、いい品物ですので、少し工夫して。
弁柄漆が乾いてから、黒艶漆を薄く塗って、色合わせです。


それから、艶も少し落としたいので、石粉を蒔く処理もして。


それから、もう一つの磁器のお皿は、錫粉で仕上げる話になっていましたが、こちらもちょっと工夫してみて。

修復箇所が先っちょのわずかですので、本漆ではなく「新うるし」を使って色合わせをして。
さらに、本漆でラインを引いて。


金彩を使っている周りに合わせるため、金の消し粉を蒔きました。


仕上がりはこんな具合です。

 

備前焼のマグカップはこんな出来上がりです。
いいマグカップですね。
金属粉を使っていないので、電子レンジも使えますね。


焼き締めの茶碗は簡単に。


妻から急遽依頼のあった妻が作った楕円皿はこんな風に(右下の部分です) 。


今回の友人からの依頼は2度目でしたが、品物を引き取りに来た時に、よく庄下川の上流部を散策されているお父さんが、私の繕いのポスターの掲示物を見て、「あなたの知り合いの人やろ。頼んでくれるか」と依頼されたそうです。

お父さんとは顔見知りではありませんが、私も庄下川の上流部をほぼ毎日のように散策しているので、お会いしているかもしれませんね。
人との出会いというのは、いろいろと面白いものですね。