金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

川西での「器再楽」の様子

2020-08-29 18:09:41 | 金繕い教室「器再楽」

一昨日の木曜日の川西パレットでの「器再楽」の金繕い教室の様子です。

この日の参加者は4名。
お一人、見学をさせてほしいと。
繕い品も1点お持ちでしたので、今日から参加してくださいと、5名に。
 
9月、10月(各2回)は大きな教室を手配してくれていますので、参加者は増えることになります。

 

練りこみの急須の繕いの続きです。

注ぎ口と持ち手の部分はあとの整形の仕上げだけですね。

蓋受けの部分、難しいなと思っていたのでしたが、何とか出来てきましたね。

次回は漆と金属粉を使っての仕上げですね。

 

この日は亀裂(にゅう)の入った繕いがほとんどでしたね。

亀裂の部分をトーチで熱くして、アラルダイトを注入します。

とても便利な手法。

繕っているのは体験で来られた方の磁器の器です。

 

これらのお皿も同じ処理ですね。

写真にはありませんが、画廊シャノワールのオーナーが持ってこられたのはいい感じの抹茶茶碗、底の高台部分の周りと口辺に縦の亀裂があったのですが、この処理をするとすぐに「音が違ってる」と喜んでくださって。

金繕い教室に参加していると聞いて、プレゼントしてくれた茶碗だと。

いい友人・知人がおられますね。

 

この日は、ベース作りも少ししただけで。

漆を使う処理はないままでしたね。


次の繕いの依頼 その2

2020-08-25 09:50:38 | 陶器の繕い例

依頼品の繕いの続きです。

 
ベースを整えた上に本漆の黒艶漆を塗って。

 

こちらの茶碗、黄色味を帯びた個所の下側部分に透明の釉薬がなくなっている部分に気が付いて、その部分にも波型に漆を塗って。

 

その次は、銀の丸粉を蒔いて(私が使っているのは少し粒子の大きな3号です)。

丸粉は消粉と違って、しっかりと漆の中に入り込んでいます。

 

こんな風に仕上がりました。

二日ほど置いて、十分に漆を乾かして。

 

丸粉の場合は消粉と違って、この後金属粉を固める「粉固め」という工程があります。

生漆をテレピンで薄めたものを塗ります。

筆では後の処理が面倒で、僅かな部分ですので棉棒で間に合います。

塗った後はさっそくキムワイプでふき取って。

この作業を漆を乾かしてから、1日1回あと2回実施して。

今の時期、気温も湿度も高くて、漆が早く乾いてくれて有難いですね。

 

さあ、最後の仕上げです。

まずは石粉で繕った個所を指でしっかりと磨いて。

 

そして、いよいよ鯛の牙(たいき)の出番です。

きれいな光沢が現れます。

 

仕上がりました。

丸粉は消粉と違って、強固な仕上がりとなります。

波型の部分も面白いですね。


次の繕いの依頼 その1

2020-08-24 16:09:11 | 磁器の繕い例

阪神御影駅の南で食堂を経営されている方からの二点の依頼品が届きました。

ブログをご覧になってと。
 
お店で使っている品物を大切にしたいというのは嬉しいことですね。
 
一つ目、小さな欠けがあります。

 

もう一点、使用していて欠けたりしたのではなく、制作時のトラブルのようですね。

印をつけてくれています。

少し欠けたような感じですが、その上から透明釉がかかっていて。

 

このままでは漆が簡単に剥がれてしまいそうで、やすり掛けして傷をつけて。

写真を撮っていて、気がついたのですが、その少し上側、少し黄色みがかかって。

汚れでもなくて、何があったのかよく判りませんね。

 

目がとても細かな水ペーパーで磨いてみたりして。

依頼された方に電話で問い合わせてみると、人から頂いたもので、ご本人はまだ使っていなくて判らないと。

ひょっとして、トラブルがあって接着剤を使ったのでしょうか。

 

そして、繕いのスタートです。

磁器なので強力粉をアラルダイトに混ぜて、ベース作りです。

 

接着剤が硬化してから、やすり掛けなどで成形です。

 

問題の茶碗のほうはこんな感じで。

2か所のベース作りをして。

 

その2に続く。


繕い品を使っているお店

2020-08-23 11:06:09 | 陶器の繕い例
一昨日の金曜日に東大阪市まで出かけました。
 
次女のお婿さんの実家があり、その近くに土地を購入して家を新築して住む予定なので、長女の車で四人みんなでその場所を見に出かけたのでした。
 
実家で、ご両親とも語らってから、出かけて、鴻池新田駅から近くのなかなかいい土地でした。

そのあと、七人という大人数で、昼食でした。

「コトリ」というとてもかわいい感じのお店。

 

2階での食事でしたが、店内も古民家カフェーのようなとてもしゃれたいい雰囲気。

用事があるときは、この太鼓を使うのでしょうかね。

 

料理もとても美味しかったですが、器も良くて、その器に金繕いされたものが混じっていて、私には驚きでしたね。

器をとても大切に使っておられるのですね。

 

窓からは、史跡となっている鴻池新田会所が見れました。

 

それから、食事の後にコーヒーをいただいたのですが、シュガーポットの蓋にも金繕いが。

お店で、金繕いをしている食器を見ることはほとんどありませんでしたので、片付けに来られたご主人に、話しかけてしまいました。

金繕い、しかも金粉を使っているので、「高くつくでしょ、どちらで直してもらっているのですか」と尋ねると、なんとご自分で金繕いをされているとのこと。

これは驚きです。

詳しくお話をしたかったのですが、1、2階のお店で、お忙しい方ですので、ほんの少しだけ会話を楽しませてもらいました。

これから機会はよくあると思いますので、楽しみにしておきましょう。

 

お店を出て、こんな石碑が。

鴻池新田というのはよく知りませんので、帰宅後にネットで調べてみて。

東大阪市というところ、尼崎とよく似た町工場の多い町ぐらいの認識でしたが、鴻池家というのは、もともと伊丹の清酒の醸造家で、鴻池善右衛門という方が、この地で二百町歩あまりの新田開発を行って、江戸時代最大の財閥になったとのことです。

新田開発された土地の維持管理をするいろんな建物があったところが現在重要文化財になっているこの会所とのことです。

 

これから、いろいろと機会がありますので、この場所も楽しみにしておきましょう。

 

次女の新しい家の場所、駅に近くて大きなショッピングセンターをはじめとして、いろんなお店があって、とても住みやすいところのようです。

この日は、大阪に住んでいる長女の車で、大阪の街中ど真ん中を通ってのドライブ、道をよく知っているのに感心しましたね。

私には無理です。

JRでも便利なところなので、私や妻は鉄道利用でしょうね。


川西での「器再楽」でした

2020-08-20 18:29:14 | 金繕い教室「器再楽」
今日の川西での金繕い教室「器再楽」の様子です。
今月初です。
 
コロナで2グループに分けての教室で、今日の参加者も4名だけです。

 

見学者がお一人おられて、こんな大皿を持参されて。

九谷焼のいい品物のようですが、大破です。

桐箱のサイズは、私のバイクの荷台に置いてみるとピッタリだったので、持ち帰って修理することに。

これはやりがいがありますね。

亡くなられた父親が、いろんな陶磁器を集めておられたと。

持参された方、次の機会から教室に参加したいと、それで最後までしっかりと見学してもらいました。

 

木っ端みじんになった豆鉢を持ってこられた方。

アラルダイトのラピッドタイプで接着してもらいました。

上手ですね。

 

それから、取っ手と注ぎ口の修復を終えていた方。

蓋受け部分がまだ完成していないので、私がプラスチック板を使っての修復です。

 

ちょっと難しい修復ですね。

持ち帰ってからの面倒見をよろしくとお願いして。

 

そして、この方がすでに修復を終えた皿を持参されていて。

立杭焼の丹文窯の大西雅文さんから繕い用にといただいたトラブル品です。

とても大きな亀裂の部分も錫粉を蒔いて、いい感じですね。

 

私は、この日同じものをもう一枚持って行っていたので、次の課題品としてプレゼントしてあげました。

修復後は、2枚を楽しめますね。

 

自宅で頑張ってチャレンジされているかなりベテランになっている方もおられます。

金の丸粉を使っての仕上げですが、まだまだですね。

漆の塗り方が均一でないので、折角の金粉を蒔いた表面がデコボコで。それに、黒艶漆が見えている部分もあって。

 

それで、金粉はまだお持ちでしたので、「新うるし」の本透明を不都合な部分に塗って、金粉で少し補修してあげて。

デコボコしているのも、また味わいとしましょうと。

 

別の方の作品。

前回までに、欠けた部分を修復してありますが、その部分をやすり掛けをして仕上げてあげて。

 

一点ずつ、黒艶漆を塗って。

 

この後、他の人の作品と一緒に錫粉を蒔いて。

 

それから、豆鉢を修理された方、立杭焼のしのぎの大皿のベースの繕いを終えられていたので、たまには銀の丸粉を使いましようと、銀粉を蒔いてたあげました。

そのあとも作業が続きますが、次回以降でと。

 

この日は、前日までに私の手づくりで準備していた鯛の牙(たいき) と削り道具刃をまだお持ちでない方にプレゼントしてあげて喜んでもらいました。