金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

丹波焼のコップの繕い その2

2019-04-24 12:10:02 | 陶器の繕い例

川西の「器再楽」の教室にわざわざ持ってきていただいた丹波焼のコップの繕いの続きです。

 
今回はロイロ漆を使って、それが翌日には黒くなっていたので、いつもの艶黒漆では塗り残しとかが予想されますので、赤い弁柄漆を塗って。
内側から。

 
続いて外側です。

 

この後、銀の丸粉(3号)をたっぷりと蒔いて。

 

さあ、蒔き終えました。

この後、簡易ムロに入れて3、4日の間漆の乾燥を待ちます。

 

次の工程は粉固めです。

生漆をテレピンで薄めたものを塗って、銀粉を蒔いた表面を固めるのですが、簡単な作業なので、今回は筆は使わず、綿棒で塗って。

このあと化学実験でおなじみのキムワイプという紙でしっかりと拭いて。

新しいやり方、筆も使わないので洗ったりする手入れが不要です。

容器もキムワイプでふくだけで。

とても便利なやり方、教室でもお勧めしましょう。

1、2日の乾燥で、これを3回ほど繰り返して。

 

いよいよ最後の工程です。

 

漆を蒔いた部分のラインをカッターナイフで整えた後、木綿でしっかりと磨いて。

 

今回は、超ミクロな水ペーパーも使って。

これは6000番ですね。

 

そして、鯛の牙(鯛牙・たいき)で磨きます。

銀粉が光り出します。

 

完了です。

銀粉は消粉ではなく丸粉をしっかりと漆の中に閉じ込めていますので、とても丈夫で、消粉のように銀粉が使っているうちに消えてしまうようなことはありません。

お待たせしましたね。

期待してくれているご主人のために、詳しい説明付きで、うんといい仕上がりになるように努めましたよ。


丹波立杭焼のコップの繕い その1

2019-04-16 09:35:37 | 陶器の繕い例
川西の「器再楽」の教室で、依頼があって持ち帰った丹波立杭焼のコップの繕いスタートです。
 
こんな風に壊れていて、赤ん坊が落としてしまったそうです。

 

いつものようにアラルダイトと地の粉を混ぜたもので。

 

テープで固定して。

 

 

これで1日置いて。

 

そしてテープをはがして、次は欠けた部分などの補正作業です。

ほぼ固まった状態で、剃刀の刃で余分な箇所の手入れをしてベースが完了です。

 

つづいて、いつもであれば黒艶漆を塗って、銀粉などを蒔く作業ですが、今回は亀裂部分をきれいに仕上げたいため、その前にロイロ漆を塗ってみました。

 

少し盛り上がった感じになりますかね。

このあと、簡易ムロに入れて。

 

1日たって、ロイロ漆はこんなに黒く変わっていましたね。

もう少しムロに入れてから、次のステップに進みましよう。

その2に続く。

 

昨日の川西での「器再楽」の会

2019-04-12 18:19:05 | 繕いの会の様子

昨日は月1回の川西「パレット」での金繕い教室「器再楽の会」でした。

 
参加者はちょっと少なくて、5名でした。
テーブルの上は、繕い品をはじめ必要な道具類でいっぱいです。
今回は熱心な方に、いろんな必要なものを用意してあげたので、更にです。

 

皆さんの繕い品の様子です。

 

隣接するギャラリー「シャノワール」のオーナーが一番多いですね。

 

世話人のお一人のこの方、大きなワイングラスを二つ持ってこられて。

とても小さな欠けがあります。

とても高価なモノらしいです。

 

陶芸をされている男性、陶芸仲間から修理を依頼されて。

 

この方も陶芸をされていて、金繕いへの想い本気ですね。

いろいろと必要なものを欲しいと。

 

この方、最後の鯛牙(たいき)での磨きに取り組んで。

抹茶茶碗も漆と銀蒔きの段階ですね。

 

黒艶漆を丁寧に塗っている私を、皆さん席を立って注目して下さって。

持ち主のご本人にもチャレンジしてもらったのですが、いまいちでしたので、「こんな風に輪郭をきれいに整えて」とか、「どんな形に塗るかも大事です」と。

 

この日は3点に銀粉(丸粉3号)をたっぷりと蒔きました。

 

それから、ご主人が大切に使っていた湯呑みが割れてしまって、何とか修理してほしいと、その湯呑みを壊した10カ月の赤ん坊を抱いて若い奥さんが、事前に連絡を下さって見学に来られて。

ひび(にゅう)の入った部分の接着剤を浸みこませるところだけは見ていただいて、幾つもの工程がありますので、その後は私が預かって繕うことにしました。

その方には、この日の皆さんのいろんな工程を見学してもらいました。

ご主人がどこかで直してほしいといろいろと調べて、私のこのブログにたどり着いたそうです。

熱心な方が来てくれてうれしい限りです。

 

その方の持参された器がこれです。

兵庫陶芸美術館の何かのイベントの記念品として頂いた丹波立杭焼です。

立杭焼なら、私の力もうんと入りますよって。

さあ、次回は1か月後ですが、早めに取り掛かりますね。