金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

川西での「器再楽」の様子

2020-07-24 11:03:25 | 金繕い教室「器再楽」

昨日の川西パレットでの金繕い教室「器再楽」の様子です。

コロナの関係で、参加者を2つに分けて実施していますが、昨日の参加者はなぜか3名ととても少なかったですね。

 

「画廊シャノワール」のオーナーの佐野さん、今回もたくさん用意されて。

娘さんたちから預かるそうです。

 

一番若い女性、前回までのものと、新しくとてもいいものを持ってこられました。

練りこみの急須。

取っ手の部分、注ぎ口、それから蓋を受ける部分にも破損が。

 

この品物はアラルダイトのラピッドタイプで接着して。

次回に続きますね。

 

取っ手が壊れて、ご自分で接着まで終えたカップ。

佐野さん、だいぶ上手になってこられましたね。

漆を塗って、錫粉を蒔いているところです。

 

そして、この方もたくさんの白い器をご自分で欠けた部分を修復して。

私が黒艶漆を塗る作業を見てもらって、ご自分でもトライしていただいて。

そのあと、私が錫粉を蒔いているところです。

 

それから、佐野さんのお持ちになったこの皿、なかなかいいもののようですね。

それで、錫粉ではなく、銀の消し粉を蒔かせてもらいました。

この角の所が欠けていたものです。

 

それから、私が丹文窯の大西雅文さんからいただいたトラブル作品、大きな亀裂が入っていたものがいい具合に仕上がりましたね。

プラスチック板を使って、整形しています。

お若い方ですが、とても熱心に学んでおられます。

これは、錫粉を蒔いています。

 

次回は8月の20日ですね。


うれしい繕いの依頼 その2

2020-07-14 14:10:30 | 多種類の繕い例

大阪の方からの繕いの依頼の続きです。

 
まずは、砥部焼のマグカップ。
接着が終わって、黒艶漆を面相筆で。

 

そして、すぐに錫粉を蒔いて。

錫粉は丸粉のものと違って、粉固めや磨きの作業などの後の作業がほとんど要らないので、楽ですね。

 

内側も処理して。

内側の底近くまで細いラインを入れるのはなかなか難しかったですが。

 

真綿で軽く磨いて、仕上がりの状態を確認して、もう一度、若干の追加の手入れをして終了です。

最後は、カッターナイフでラインを整えて。

 

そして、赤めのうの指輪の繕いの続きです。

 

まずは、ルーターで整えて。

 

接着の仕上がりを確認して。

特に欠けていた部分の仕上がりを。

このあと、追加で接着剤をつけ足して。

 

そして、再度、ルーターでの処理の後、水ペーパーも使って、余分な接着剤をなくす処理をして。

 

最後は目の細かな水ペーパーで仕上げて、ベースの修復の完了です。

 

そして、仕上げですが、依頼者とは漆を塗った後、錫粉を蒔く処理をすることにしていましたが。
この赤めのうの指輪を触っているうち、赤呂色漆で仕上げることを思いつきました。
赤呂色漆は少し茶色っぽくなってしまいますが、透明感のある漆です。

 
漆を乾かして完成です。
指につけると繕った部分が内側になるので、よかったですね。
 
いろんなものの繕い、また新しい経験となりましたね。


うれしい繕いの依頼 その1

2020-07-13 17:06:40 | 多種類の繕い例
先週の10日(金)のことです。
電話で繕いの依頼がありましたが、大阪の大正区佃の方で。
てっきり、車で来られると思っていたのですが、雨の降らない時間帯に自転車ではるばると来られました。
 
いろいろとお話を伺うと、なんと2年前の尼信会館での私の陶芸の個展に来てくださった方でした。
とてもうれしい再会ですね。
 
帰られてから、芳名録を見てみると、「陶芸のことをいろいろとお話してあげました。とても感じのいい青年」と備考欄に書いています。
 
それで今回も繕いのことについていろいろとお話をして、どんな風に仕上げたいかを聞かせていただきました。
 
持ってこられたのは、この2点。
砥部焼のマグカップ。
亀裂が底のほうまで長く入っていますが、簡単な繕いになりますね。

 
もう一つは、割れてしまった指輪ですが、ご本人は赤めのうだと説明してくれました。
少し欠けている部分があります。
めのうの指輪なんて初めての体験です。
いろいろと相談させていただいて、どちらも仕上げは錫粉を蒔くということになりました。

 

そして、さっそく取り掛かって。

こちらはいつものように、器を電子レンジでうんと温めてアラルダイトの注入です。

 

そして、接着剤が固まるまでの間、こんな体制を保持して。

 

そして、難しそうな指輪のほうです。

陶芸の材料でいいサイズのものを選んで、紙を重ねてピッタリと収まる太さにして、それが容易に抜けるようにプラスチック板も巻いて。

 

そして、アラルダイトに強力粉を混ぜたもので接着です。

 

だいぶ固まってから、欠けている部分も補填して。

さあ、これで固まる翌日まで待ちました。

 
その2に続く。

川西での「器再楽」の様子

2020-07-10 12:07:10 | 金繕い教室「器再楽」

川西のパレットでの金繕い教室「器再楽」の再開後2回目の様子です。

すごい雨が各地を襲っていますが、昨日はバイクで行けるラッキーな天候でした。

参加者は2グループに分けていますので、今回は5名です。
皆さん素敵な女性たちですね。

 

マグカップのようなカップの取っ手が壊れたもの。

皆さん、持ち帰りがとても難しいので、今回はアラルダイトのラピッドタイプも使って。

はみ出した部分を早めにきれいにして。

 

このお茶碗も大破していますので、ラピットタイプで処理して、持ち帰りが容易になりました。

私が最初手本を示して、あとはご本人に仕上げていただきました。

 

この方は3点。

お雛様のお皿は前回処理したのですが、形がよくない状態で固まったので、ルーターで削って再処理です。

仕上げは次回ですね。

 

この方の持参した大皿は立杭焼のいい品物。

ご友人から依頼されたそうです。

このしのぎ技法の立杭焼、どこの窯元さんのものか気になって、裏の印を確認しましたが、小さくて不鮮明で読み取れませんでした。

この修復はスタンダードタイプで行いましたので、帰宅後の面倒見をダメ押しして。

 

この方のカップ2つ、前回に接着などを終えていて、黒艶漆を面相筆で細く線引きして。

 

そのあと、錫粉を蒔いて。

 

こんな風に完成です。

あとは漆がしっかりと乾いてから、真綿できれいに処理するだけですね。

錫粉の色合いがよく合いそうな器ですね。

どこを修復したかわかりますかね。

左側のものは、口辺に欠けもありました。

 

そして、このグループの世話人の方。

もう、かなりベテランになられています。

 

酒屋さんの奥さんで、息子さんが居酒屋を経営されているという方です。

前回までにベースを修復した酒器や小皿。

黒艶漆を塗った後、金の丸粉を蒔いて。

金粉はとても高価ですが、さすが、こだわりがありますね。

 

丸粉だと、漆が乾いた後、粉固めの処理を2,3回繰り返し、最後に磨きの工程がありますが、ご自宅でしないといけないので、いろいろとアドバイスをしてあげて。

 

丸粉は消し粉と違って、量がたくさん必要となります。

帰り際に、「金粉(丸粉) をお持ちでしょうか」と聞かれて、新しい一包み(1g) をお譲りしました。

帰宅後に、再度金粉を蒔き足したほうが確かにいいですから。 

 

この教室の参加費はなんとワンコイン。

金粉や銀粉以外の材料費は、錫紛や漆も含めていただきません。

貸館の費用を皆さんで分担していただくだけです。

繕いの技を広めたい趣旨の私のボランティア活動ですね。

 

高槻のご自宅で本漆を使った繕いの技をわざわざ教えてくださった豊島ご夫婦の最後の弟子ですから。

その亡くなられたご夫婦への感謝の恩返しです。