金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

三味線の繕い その2

2016-07-26 10:58:42 | その他の繕い例
三味線の繕いの2日目以降です。

翌日には接着剤が固まっているので、様子の確認です。

棹の部分、しっかりとくっついています。


ひびの入っていた部分も大丈夫ですね。


そして、欠けていた部分です。
整形しないといけません。


ところが裏側には十分接着剤が入っていませんでした。


それで追加の処理です。
この状態で、もう1日置いて。


固まった接着剤をカッターナイフで整形して、さらにヤスリがけ、水ペーパー掛けをして、こんな状態に。
ここまででしょうかね。


今回の仕上げの漆は、色の豊富な「新うるし」の濃茶で。


少し盛り上がっていますが、これ以上整えるのは難しいので、ここで終了ですね。


ところが棹の部分の接着、不覚にもズレが出来てしまっていて、たぶん太鼓の部分に入らないとのことでしたので、その部分をヤスリ掛けして仕上げています。
簡単な繕いだと思ったのですが、色々とありますね。



三味線の繕い その1

2016-07-26 10:53:48 | その他の繕い例
すでにさとっさんがブログでアップしていますが、ブログ仲間のさとっさんからの三味線の修理依頼です。
簡単な作業ですので、その様子を見てもらいました。

まず、接着剤が劣化して外れてしまった棹をアラルダイトで接着です。
テープで固く固定して終了。


そして、この部分にもひびが入っていて、力を加えるとひびが開きます。
それで、この部分をドライヤーで温めてアラルダイトを染み込ませました。
簡単なことですが、器のひび(にゅう)の部分に使っているとても有効なテクニックです。


はみ出した接着剤を綺麗にふき取ってスープで固定です。


そして、もう1箇所、欠けてしまっている一番上の部分も修理しておきましょうと、取り掛かりました。
これは少し手がかかります。
アラルダイトに「木の粉」を混ぜたもので。


綺麗に仕上がるように、湿布薬のプラスチック部分を使ってかたちを保持します。


この日はここまで。

その2に続きます。

次の繕いは妻が

2016-07-22 16:40:40 | 磁器の繕い例
妻が友人から依頼されたカップです。

なんて綺麗のでしょう。


2か所欠けています。
1箇所は欠片を大事に取っておいてくれています。
助かりますね。


ひびが入っていないかなど拡大鏡で確認して、大丈夫ですね。
これなら、あなたがしてみて下さいと。


妻もこれまでだいぶ繕いをして来ましたが、最近は久しぶりのことです。
欠片が残っている部分はアラルダイトで接着のみ。
もう1箇所はアラルダイトに強力粉を混ぜてベース作りです。


欠片の無かった部分です。
これでしばらく乾かして。


半日経った夕方です。
欠片がある部分はこんなに綺麗に。
ちょっとわかりませんよね。


そして、こちらの方の手入れを始めて。

ダイヤモンドヤスリでベースを整えます。
私も仕上げを手伝って。


こんな感じに。
この後「新うるし」の白を塗ったのですが、写真を撮っていませんでした。
この後は翌日の作業です。


朱漆を薄めたものを細い筆でライン引きです。
最後は私が手入れしてあげて。


そして、金の消し粉を蒔いて。
これは私がしています。


しばらく放置して、真綿で軽く磨いて、綺麗に水洗いして。
ラインをナイフで整えたりしますが、今回はその必要がありませんでしたね。


完了です。


妻も久しぶりに仕上げて、しかもうまくいったので大満足の様子でした。


次の繕い

2016-07-22 16:28:46 | 陶器の繕い例
次は次女がもってきた酒盃です。
魚の印は私のもので、私の釉薬を使っているので、娘の作品なのか私の作品なのか一見して分かりませんでしたが、裏を見ると娘の印が。


新しいテクニックも取り入れて。
使っているうちに漆が剥がれたりしないように着きを良くするために、最初にダイヤモンドヤスリで割れ目のラインを処理して。



それからアラルダイトで接着です。



少し欠けた部分も同時に地の粉を使ったもので埋めて。



半日から1日置いて、はみ出だした部分を剃刀の刃で落として。
漆の処理です。
弁柄漆でできるだけ細いラインで。



弁柄漆を乾燥させた後、黒艶漆で仕上げて、銀の丸粉(3号)を蒔いて。
漆を2種類以上使うのも初めてです。
もっと丁寧にするのなら、弁柄漆を水ペーパーで磨いてからにします。



蒔き終わりました。
この後、漆を乾燥させて、さらに粉固めの処理です。
生漆をテレピンで薄めて塗って、また乾燥させる作業です。
今回それを2回処理して。
3回施すのが理想的ですが。これまでは1回しかしていませんので、格段に手間を掛けています。



漆の乾燥を終えて、ラインの周りをアルコールで綺麗にしてから、木綿でしっかりと磨いて。



最後に鯛の牙の磨きです。



完了です。
これまで以上に手間をかけた繕いの工程でしたので、きっとうんと丈夫なことでしょうね。
日本酒を飲まない娘なので、小皿として使っているのでしょうね。



額の繕い

2016-07-21 12:46:37 | その他の繕い例
立花小学校の校長先生に買って頂いた菌類模様の陶板額、学校の建て替えがあった時に傷がついたようです。
この額は、お渡しする直前にあった宝塚市展で奨励賞を頂いたものです。

今年度からこの学校の評議委員となり、その会議の時にこの額を見せられて、少し繕いをしてあげることに。


3か所傷がついています。


傷の部分を盛り上げてもいいですが、傷が広がりそうで、そのまま朱漆を塗って、金の消し粉を蒔きました。


こんな感じに。
額の金の塗装部分とはものが違いますので、完全に目立たなくするのは難しいですね。


こういう仕上がりで、終了です。