金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

次の繕い

2019-08-19 12:38:24 | 多種類の繕い例

次の繕いは、高齢者施設千代木園の陶芸教室の作品と次女の持ち物です。


千代木園の陶芸教室は次の金曜日、皆さん出来上がりを期待しているでしょうね。
いろいろ手入れしたあと、繕いの必要な品物です。
他にもトルコブルー釉の皿が大変でしたね。

 

釉薬が垂れたところを処理して。

 

かわいい小鉢ですが、底の締めが甘かったところに亀裂が。

水がポタポタト落ちて。

埋め終わりました。

 

侍女が持ち帰ったものは、私の酒器と海外で買い求めたティポットです。

どちらも愛用品のようです。

 

ヤスリ掛けなどしてベースが完了です。

 

さあ、次の工程です。

これらは「新うるし」での色合わせで。

 

そして、これは白漆を面相筆で塗って。

 

娘のものは、黒漆が合うので楽ですね。

 

さて、ポットの注ぎ口の修復。

金彩の部分ですので、金粉が必要ですが、長い間家におれないので、金の消粉を蒔いて。

 

そのあと、真綿で磨いたのですが、ちょっと金粉が剥がれる部分があって。

消粉の処理は私も慣れていませんね。

 

それで、再度金の消粉を施した後、「新うるし」の本透明でコーティングしてあげました。

これで、十分使用に耐えるでしょうね。

本漆が少し濃かったようで、消し粉の艶がいまいちですが。

 

「あしや喜楽苑ギャラリー」内での繕い

2019-08-17 12:10:53 | 多種類の繕い例

「あしや喜楽苑ギャラリー」での妻との二人展の開催中、会場内で繕いもしますとチラシでPRしましたが、今回も繕い品の依頼は少なかったですね。

2年前と同じですね。
 
今回の依頼者を何となく覚えていました。
かなり高齢の女性ですが、とても賢そうで物知りの方です。
 
前回と同じく、3点を持ってこられて。
真っ二つに割れた蓋物と、欠けた部分がある茶碗です。
安く仕上げて欲しいので、銀粉などは使わずにと。
その依頼内容も前回と全く同じです。
 
この3点です。
すぐにアラルダイトでの接着やベース作りを始めて。

 

アラルダイトが固まるまでに姿勢を絶えず変えて。

 

ベースが出来上がりました。

蓋ものはアラルダイトのみで。

楽茶碗は地の粉を混ぜたもので。

磁器は小麦粉を混ぜたもので。

 

そして仕上げです。

この楽茶碗、箕面焼きです。

なかなか面白い品物ですね。

銀粉を漆の上から蒔きたいと伝えたのですが、要らないと。

それで、赤ロイロ漆を塗って。

丁度よく合う色に仕上がりますね。

 

そして後の2点は白漆で。

これも色が茶色っぽくなってくるので丁度いいでしょうかね。

 

作業途中で、新うるしの色がピンク色に変化し始めて。

 

 

漆はもう乾いているので、もし二人展の期間内に来られたらお渡しできますね。

とてもとても安い修理費で。

 

追記

こんな風に仕上がりました。

最終日に来れないとのことで、ギャラリーの担当者に預けました。

 

 

多忙な中での繕い

2019-08-13 07:06:35 | 陶器の繕い例
二人展の真っ最中で忙しい日々を送っていますが、そんな中での金繕いです。
 
高齢者施設の千代木園の陶芸教室の作品でのトラブル品。
幾つかトラブルがありましたが、大変なものが。
 
これです。
トルコブルー釉がたっぷり掛けられて、棚板にくっついてしまって、剥がしてこんな状態。

 

裏側です。

 

先ずはアラルダイトで接着して。

 

こんな感じ。

よく見ないと割れていたとは分かりません。

魚の箸置きも2点、繕いです。

 

接着が出来たところで、グラインダーでの処置。

 

他のトラブル品です。

ミニルーターも使って。

 

そして、仕上げは「新うるし」の本透明を使って、割れていたところを補修して完了です。

この最後の作業は「喜楽苑ギャラリー」内での作業でした。

そのまま、繕い品のサンプルとして展示しています。

 トルコブルー釉を使う時は、道具土など底に着けて使う配慮が要りますね。

 

川西での金繕い教室「器再楽」

2019-08-09 06:55:22 | 多種類の繕い例

8月は1回だけですが、昨日に川西での「器再楽」の金繕い教室がありました。

参加者は7名。
 
昨日は約3時間の教室ですが、あっという間に時間が過ぎてしまいますね。
この写真は終了前の片づけの段階です。

 

この会の世話役もして下さっている女性の繕いです。

赤ロイロ漆で仕上げたものですが、少し茶色が濃いですね。

こんな場合「新うるし」も色合わせが容易でいいと思いますが、やはり本漆で仕上げたいようで。

 

これは、前回穴が開いていた部分に湿布薬のプラスチック板を利用してベース作りをしたものです。

 

こんな風にカッターナイフで整形して。

 

その後、水ペーパーで。

 

黒艶漆を塗って錫粉を蒔いて。

漆が乾いたら真綿で磨くだけで終了ですね。

穴が開いていたこの器の表側も少し手入れをして、終了です。

 

この方は自作の大きな鉢ですが、底の部分に亀裂が入っていて、そのベースができて、この日は、黒漆を塗って。

 

小さな傷ですので、久しぶりに金の丸粉(3号)を使って。

 

裏側も金粉を蒔いて。

この後、漆が渇いた後は粉固めの処理がありますので、この品物は私が持ち帰りました。

次回は鯛の牙で磨いてもらいましょうか。

 

この品物、接着剤のアラルダイトがまだ残ったまま。

早めに処理をしておけば楽なんですがね。

この方、最初から世話役をして下さっている方ですが、直すものが無くて、

この日は、昔作った自分のお皿をわざわざ割ったものを持参されての参加です。

ご苦労様です。

 

皆さん、錫粉で蒔く処理を希望する方が多いですね。

錫粉の場合、費用も特別に貰っていませんので。

それと粉固めをしないので楽ですからね。

でも、錫粉が無くなりかけです。

今度京都の眼科に行く時に鹿田漆店に立ち寄って入手しましよう。

この日は、接着を終えた大きな取っ手付きのマグカップの仕上げに久しぶりに「新うるし」で色合わせしてもらいましたが、写真は撮れていません。

「新うるし」は優れものですから、もっと利用してもらいたいものですね。

この日も、とても楽しく有益な時間でしたね。