金継ぎ、金繕い? いえ、陶磁器の繕いを楽しむ会「器再楽(きさら)」です!

「陶工房たつみ」が主催する「器再楽(きさら)」のブログ。金繕い、金継ぎと呼ばれる手法もオープン。繕いの依頼にも応じます。

川西での金繕い教室「器再楽」

2019-07-29 12:44:34 | 多種類の繕い例
7月25日は、7月2回目の川西での金繕い教室の「器再楽」の会でした。
 
参加者は今回も9名と盛況でしたね。

 

この方の繕い、粉固めのために私が持ち帰って、この日は鯛の牙(鯛牙・たいき)で磨く最終工程でした。

銀粉を蒔いたところがピカッと輝き出す体験をしていただきました。

 

この方は今回初参加の方。

陶芸をされている方で、底に亀裂が入っている作品です。

底の締めが甘いと、よく起こる現象ですね。

アラルダイトに地の粉を混ぜたもので、簡単にベースの修復ができて。

 

もう一点は、2種類の粘土を接着させる時に段差ができてしまったものです。

これも段差が無いように充填して。

 

この方、今回は大変な状態のものを持参して。

 

でも、一気にここまで。

さすがベテランですね。

 

もうお一人のベテランの方、竹製のお皿の傷んだ部分を前回までに修復して。

漆での仕上げですね。

赤ロイロ漆を使って、さて、どんな仕上がりになるのでしょうかね。

 

今回は2時間という短い貸館ですので、大急ぎでそれぞれの品物に取り組んでいただきました。

最後の残り時間は、これまでベースができているものに黒艶漆と金属粉を蒔く作業です。

私が次々と黒艶漆を塗って、今回は時間が無いので錫粉を蒔きました。

銀の丸粉だと、漆の中に銀粉が沈んで何度も蒔かないといけないので時間がかかってしまいますので。

今回も大忙しの教室でしたが、最後の作業の様子を記念に写真に撮っていただきました。

 

金繕いの依頼が2件

2019-07-21 15:59:50 | 多種類の繕い例
金繕いの依頼が2件続けてあって。
磁器が4点、陶器が1点です。
それに私の猪の箸置きもついでに。

 

私の猪の箸置きは、割れた耳の部分を接着するだけですね。

 

そして、余分な接着剤をきれいに剥がして完了です。

ちょっとずれてしまっていますが。

下側の牙も一度接着しています。

 

さて、依頼品です。

皿は亀裂が。

この亀裂の部分にも金で処理してほしいと。

四角の小さな器は、角が欠けて。

 

アラルダイトで処理して、

この2点はひびが入っているので温めてアラルダイトを浸みこませます。

 

次に他の繕い品3点もアラルダイトに小麦粉の強力粉を混ぜたものでベース作りです。

 

数時間たつと、剃刀で余分なアラルダイトをはがし取ることができます。

 

この器もベース完了です。

 

お茶碗の欠けた部分も。

陶器は地の粉を使いますが、今回は強力粉でいいやと。

 

こちらのサイドには2か所のほつ(欠けた部分)が。

カッターナイフや水ペーパーで形を整えます。

 

この皿にはほんの少し欠けた部分もあって。

 

もう1枚の皿は裏側にほつ(欠け)が。

 

ポットの口の部分が欠けていて。

仕上げです。

 

形が戻りましたね。

このポットも金を蒔いてほしいと。

高級なフランス製の磁器なんですね。

 

作業は大変ですが、まとめて作業が進められれば効率がいいですね。

その2に続く。

 

川西での金繕い教室「器再楽」

2019-07-13 18:18:18 | 多種類の繕い例

今月の一回目の川西での金繕い教室の「器再楽」の会の様子です。

一昨日です。
 
新しい方が1名加わり、今回も雨の中9名の方が参加してくれました。
皆さん楽しげで嬉しいですね。

 

今回も繕い物がいっぱいで。

 

この大きな鉢、変な壊れ方ですね。

周りのひび割れのありそうなところには、トーチで温めてそのあとアラルダイトを浸みこませて。

そして、欠けた部分には砥の粉を混ぜたものを補てんして。

 

そして、プラスチック板を貼って。

この手法には、皆さん感心してくれます。

持って帰るのも容易ですしね。

 

今回はベースが出来たものの繕いの品物も多くて。

大忙しです。

錫粉を蒔きます。

先ずは黒艶漆を面相筆で。

 

錫粉を蒔いているところです。

自分では写真を撮っている暇がないので、参加者のメンバーに撮ってもらって。

でも、ほんの一部ですね。

今回はほぼ3時間のコース、あっという間に終わってしまいました。

 

次回は、7月の25日(木)午後1時からです。2時間コースです。

 


千代木園陶芸教室の作品 その2

2019-07-02 11:02:53 | 陶器の繕い例

千代木園陶芸教室の作品の繕いの続きです。

 
一つ目の作品。
こんな風にベースができて。

 

この後艶黒漆を塗って。

 

完成です。

今の梅雨の時期、漆の乾燥には温度も湿度も最適で、室内で放置しておけます。

 

次の作品。

ベースの修繕箇所を削って。

 

そして、もう一つの作品も。

これは底が安定して立つようになればOKですね。

 

これらの2点は、「新うるし」を使って色合わせをして。

右側の高台の色、少し赤みが強すぎたですね。

完了ですね。

 

それから、私の家の台所の胡麻入れのガラスの容器を壊してしまいましたので。ついでに。

 

これはアラルダイトだけで接着OKでした。


千代木園陶芸教室の作品 その1

2019-07-02 10:56:24 | 陶器の繕い例

次の繕いは千代木園陶芸教室の作品です。

 
本焼きの後、作品の手入れをして、3点を繕うことに。
私は繕いの手法をすべてオープンにしていますので、少し詳しくなりますが。
 
この方、タタラ作りが上手で、今回3点の作品を作られて。
タタラ作りとは、板状にした粘土を貼り合わせて制作する手法です。
私は丹波立杭焼の清水圭一先生からしっかりとタタラ作りを教えていただきましたが、この方はどなたに習われたのでしょうかね。
 
素焼の後、トラブルがあったので、どうしたらいいかと聞かれましたが、「本焼でさらにトラブルが広がるから、その後に繕ってあげますよ」と。

 

右上が大きく開いてしまって、左側にも亀裂が続いています。

 

アラルダイトに地の粉を混ぜたものを充填しますが、こんな場合、湿布の貼り薬のプラスチック板がとても有効なんです。

 

左側に続く亀裂にも充填して、この後立てかけた姿勢で乾燥させました。

接着剤は固まるまで約半日、それまでの姿勢がとても大切です。

 

次の作品です。

流れやすい淡水乳濁釉が棚板にくっついて。

ルーターなどで手入れをしましたが、欠けた部分の修復です。

 

ここでも、プラスチック板が有効でしたね。

この後、ひっくり返して接着剤の乾燥です。

底がきれいに平らになってくれますね。

 

そして、もう一点。

これも淡水乳濁釉が流れて棚板にくっついてしまって、底が大変なことに。

 

こんな風に修復して。

 

もう一点、底がとんでもない状態になってしまった小物があったのですが、それは修復困難でそのままで。

 

その2に続く。