私がダイビングを習った28年前でも、すでにレギュレーターはシングルホースが主流になっていました。
講習の際、「シングルホースタイプというのがあって・・・」「・・・レギュレータークリアというワザが必要で・・・」という話があった程度です。
そんなわけで私もダブルホースは使った事がありません。
この写真のレギュレーターは、社長が知人から譲り受けたものたそうですが、どうやらマウスピースが上下逆についているようです。ホースのゴムは比較的新しく、本体さえ整備すれば使えそうな感じがします。
タンク圧力が150気圧時代のものなので、ヨーク部分は今のレギュレーターの1stステージに比べなんとも華奢。肉厚は今の半分くらいしかありません。
アルミ製の本体にあいた穴が排気口。排気は背中側でブクブクと出ることになります。
シングルホースレギュレーターが普及した後も、プロを中心に「排気が邪魔にならないから」と使い続けた人もあったそうです。
本体に取り付けられたプレート。
ブランド名は今も同じ「Aqua-Lung」ですが、製造会社はなんと"KWASAKI AIRCRAFT"=川崎航空機工業となっています。
飛行機を製造する会社が何で??。
察するに、戦闘機には高高度を飛行する場合にパイロットへの酸素供給装置が必要なので、高圧の酸素タンクから減圧して酸素を供給する装置(つまりレギュレーター)を製造する技術を持っていたこの会社が製造を担当したのではないか、と。
ちなみにWikipediaによると、川崎航空機工業は昭和44年(1969年)に今の川崎重工業と合併した、となっていました。
ということは、このレギュレーター、少なくとも40年以上前の製品ということになります。
当時の雰囲気だけでも再現してみました。
ホースの中は空気・・・浮力は結構あったはずで、軽い150気圧のタンクとも合わせ、今のドライスーツ並みのウエイトが必要だったんじゃないでしょうか。
この機材には楕円マスクや、いかつい三面マスクが似合います。
それにしてもこの姿、アニメ「機動戦士ガンダム」第一作に登場する「ザク」は、これをモチーフにデザインされたと思うのは私だけではないはず。
ネット上の画像を改めて見てみると、ザクは一ツ目で三面マスクをしていました。
社長いわく「転売目的の人には絶対売らない」だそうです。
このレギュレーターは、博物館の収蔵品としての価値がありそうですね。