「陰謀が渦巻く中で」 ヨハネによる福音書 12章1~8節
過越祭の六日前に、イエスさんはベタニアで食事の席に着いていました。そこには、イエスさんによって蘇らされたラザロ、マルタとマリア、そして弟子たちを含む人々がいました。その時、マリアが純粋で高価なナルドの香油を持ってきて、イエスさんの足に塗り、自分の髪の毛でその足を拭いました。そのため、家は香油の香りで一杯になりました。
この物語は、イエスさんによって蘇らされたラザロが食事の席にいることから、ユダヤ教ではなくキリスト者として新しい命を得たことの喜びを表すものではないかと思います。マリアがイエスさんの足に香油を塗り、自分の髪の毛で拭う行為もまた、僕のようにイエスさんに仕える姿勢と、自らの頭から「キリストの香り」を人々に伝えることの決意を表しているように思います。
後にイエスさんを裏切るイスカリオテのユダは、ユダヤ教の教えに基づいて香油を貧しい人のために売って施すべきだと主張しました。しかし、お金をごまかすようなユダは、人を愛するのではなく、その施しは偽善のためであり、利権のためでもあったのではないでしょうか。そして、やがてはイエスさんを殺そうとする陰謀へと結びつく思考として伝えられているように思われます。