実戦は練習に勝る

 先週行われた柔道の世界選手権で男子柔道は惨敗した。
 これは鍛錬主義が、欧米の選手の実戦主義に敗れた形で
ある。
 欧米の選手達は、たくさんの試合をこなして実戦の中で
レベルアップを図る。
 一方で日本では何よりも大事なのは、日頃の鍛錬。
 そして日頃の鍛錬の発表の場が試合という感覚だ。
 つまり試合で勝つのは大事だが、それに向けていかに
鍛錬したかというのが最も大事だというもの。
 これはアマチュアでは尊い精神だが、プロとしては失格
である。
 プロは結果がすべて、勝たないと意味がない。
 どんなに一生懸命練習しても勝たなかったらダメなのだ。
 
 似たような話が宮本武蔵と吉岡一門の決闘を思い出す。
 吉岡一門としてみると、たった1人の武蔵など全員でかか
れば勝てると思っていたはず。
 ところが吉岡一門の門弟達は、道場で防具を着けて木刀
での稽古が中心。一方の武蔵は、真剣で命を賭けた決闘を
やり慣れている。
 吉岡一門の門弟は道場の中での稽古だけで、実戦を経験して
いないのが致命傷となって惨敗する。
 
 欧米の柔道家は練習もするが、試合数も半端じゃない数を
こなしている。
 試合で勝つためにどうするかでの練習と、練習の成果を試合
で発表するというスタイルでは、勝つための練習をやった者達
には勝てるわけがない。
 北京以降柔道がほぼプロ化するが、これは試合中心の流れで
必然なのだ。日本人選手は、この流れに乗り遅れている。
 
 MLBをはじめとしたプロは試合に勝ってナンボだから、試合に
影響する猛練習は御法度だ。’練習するエネルギーがあるなら
試合で使え’と感覚だ。
 だからメジャーに残れるかどうかは、紅白戦やエキジビション
ゲームの結果で決まる。寝る間を惜しんで練習しても試合で結果
を残せなければマイナー行きで、練習をしなくても試合で結果を
残せばメジャーに残れるのだ。
 こういう流れが、いよいよ柔道にも来たということ。
 日本の柔道界にも構造改革が迫られる事になってきたわけだ。
 保守的な柔道界が、どこまで変われるか?
 変われなければ国技ながらメダル0という屈辱が待っている
だけであるが。
 
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
勉強になりました (コー)
2007-09-22 17:00:53
宮本-吉岡の話は初耳ですね。たしかにプロは結果が全てですからね。

メジャーの選手が「日本人はよく練習する」といいますが、それが本当に分かります。
 
 
 
いえいえ (こーじ)
2007-09-22 23:39:31
>コー様
 武蔵対吉岡一門の決闘は、「まさか!」だったでしょうね。
 日本人は無駄な練習をやるたがるし、やらせたがるのがよく分かりますよ。
 
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