井上氏が新監督に=五輪惨敗重視、再建の切り札―柔道全日本男子(時事通信) - goo ニュース
ロンドン五輪で史上初の金メダル0に終わった男子柔道監督が篠原信一から
シドニー五輪100㌔級の金メダリストの井上康生に替わる事が決まったようだ。
全日本柔道連盟は当初 強化委員長だった吉村和郎強化委員長が責任を取っ
て辞任する代わりに篠原監督の続投を強く支持していたようだが、10月に入って
篠原監督が辞意を固めたため方針が変更されたというもの。
そもそも個人的に篠原体制になった時に氏の言動や解説などを聞いていて
下手したらロンドンは金メダル0もありえると危惧していたのだが、実際には
想像以上の酷さで指導力のなさを いかんなく発揮していたのに上層部はリオ
までの4年間を続投させる意向を示していたのを聞いて耳を疑っていたし、この
ままではリオでも同じ不祥事が繰り返されるのは確実だと思っていた。
それが急転直下の監督交代という事になったのは歴史的な惨敗にも拘らず
強化体制が維持される事に対する周囲の反発が予想以上に大きかったという
のを聞くと、やはり世論の声というのが いかに大事か分かる。
そもそも篠原体制最大の失敗は‘ビシビシ鍛え上げる’と就任時から言っていた
ように北京五輪後システムが劇的に変わり試合数が飛躍的に伸びたにも拘らず
以前よりも厳しい内容の強化合宿を増やすなど、コンディショニングを全く無視した
精神論のみの強化法を貫き通した事にだろう。
本当に実力が及ばずに勝てなかったのなら‘リオまでの宿題’で済むだろうが、
ケガなどを引きずった状態でベストコンディションを作れないというのが明白だった
にも拘らず負けた原因を‘勝利への執念が足りない’と総括するだけなど分析能力
にも欠けていたと思う。
‘柔道がJUDOになり日本の対応が遅れた’と言われているがアテネ五輪後プロ
化が急激に進んだ世界の柔道に日本が対処できなかったという事。
プロ化とは競技のレベルアップだけでなくコンディショニングも問われるわけだが
日本の場合は指導者の経験主義というのが主流のようで‘オレが現役の頃は
云々’という個人の成功体験を元にした指導法が幅を利かせていた。
体格や筋力に劣る日本人が勝とうとするならばケガをせずにベストコンディション
で臨むのは必要不可欠だったにも拘らず、オーバーワークとしか思えない猛練習
で疲弊させてケガを引きずった状態で試合に臨ませたのがロンドン五輪の男子
柔道ではないか。
つまりプロ化とは程遠いシステムだったわけで、言うなれば第2次大戦同様 重
機関銃で武装した敵に銃剣突撃していたようなもの。
それを全く反省する雰囲気もない者が続投しても世界との差は開くばかりと
思っていただけに今回の監督交代は柔道界も ようやくまともな感覚になってきた
という事だろうし、新監督の井上康生は指導者としては未知数ではあるが海外での
留学などを経験しているのだから少なくとも前任者よりはマシだろうと思うのだ。
とはいえ今回は監督交代となったものの世論の予想以上の反発がなければ篠原
体制は既成事実の如く堅持されていたわけで、それを考えると全柔連の体質は
簡単に変る事はないだけに常に彼らの動向をチェックしていかなければいけない
だろう。