行き過ぎた‘スモールベースボール’は日本野球のレベルを下げる

 最近のプロ野球を見ているとスモールベースボールという発想が
進み過ぎてスケールの大きさが感じられず、ひいては日本人野手の
メジャーリーガーが枯渇する原因になっているのではないかと思う。

 日本の野球はアメリカやカリブ地域に比べてリーグ戦という発想
よりも夏の甲子園に代表されるトーナメント戦で盛り上がる事が多
いので、投手を中心にして守り勝つというトーナメント仕様のチー
ム作りが伝統的に主流になっていた。

 だからこそWBCのような一発勝負の大会では連覇にベスト4と
いう一定の結果を残してきたのだが、スモールベースボールに突き
進み過ぎている感が拭えず小粒なチーム作りが主流になっている。

 面白いのは金属バットを使用しているとはいえ負けたら終わりの
トーナメントがメインの高校野球で、大阪桐蔭のようなスケールの
大きなチームが活躍している事である。

 11年夏に優勝した日大三は10-0で勝つスタイルで戦っていたの
だが、これなど一発勝負のトーナメントでは最も不向きなスタイル
ではないだろうかと思う。

 その一方で落合博満監督時代のドラゴンズが‘10-0で勝つのも1-0で
勝つのも勝ちは勝ち'という思想で戦っていたのだが、やはり球場や
TVで見ているファンの心を掴むのは10-0で勝つスタイルはないか
と思うし それが新たなファンの開拓に繋がるのではないか。

 そもそも負けたら終わりのトーナメント中心で戦う高校野球がス
ケールの大きなスタイルで戦うチームが主流になっているのに、年間
50敗はできるプロ野球の方が目先の1勝に拘るというのも本末転倒
だろう。

 考えてみれば昔は高校時代に今ひとつでもプロに入ってスケールの
大きな選手になるケースが多かったのだが、最近は高校時代に騒がれ
ながらプロ入りすると小さくまとまってしまう選手が目立つのだ。

 せっかく高校野球がスケールの大きな選手を育成しているのに肝心
のプロが目先の1勝に拘るあまりスモールベースボールの旗印の下に
選手達を矮小化するのは愚かな事だし、そのためにはホークスが‘HR
以外は全て三振でもいい’という思想で柳田悠岐を育成したような心構
えを持つべきではないだろうか。

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