ウルトラマンの日に創立50周年を迎えた円谷再建を思う

 今日7月10日はウルトラマンの日。

 今から47年前の7月10日にOAされたウルトラマン前夜祭でウルトラマンが
初めてTVに登場したのを記念してウルトラマンの日となったらしく、それを記念
して毎週水曜日の17:30からOAされている新ウルトラマン列伝の中で新作の
ウルトラマンギンガが始まった。

 一方で今年はウルトラマンを作っている円谷プロ創立50周年という節目の年に
あたるのだが、先日 円谷英明著「ウルトラマンが泣いている、円谷プロの失敗」
という社内の内幕を書いた本が発売され話題になっている。

 実際50周年を迎えたとはいえ円谷プロを取り巻く環境は厳しいものらしくTYO
からフィールズに転売されたり、荒尾にあるウルトラマンランドが9月1日いっぱい
で閉園するなど あまり捗々しい話を聞かないのが実情だ。

 創始者の円谷英二からして支払いのアテもないのに高額な合成機械である
オプチカルプリンターを勝手に購入してTBSに肩代わりをさせるなどという伝説が
あったわけで、いい作品を作るためには金に糸目を付けない姿勢だったから名作
揃いのウルトラシリーズを作った反面 厳しい経営状況だったのは推察できる。

 さらに経費がかかる作品作り以外にも後を継いだ一族の放漫経営が資金繰りを
悪化させたのは間違いないだろう。

 黒澤明や三船敏郎に萬屋錦之介、勝新太郎ら芸術家肌の人達が立ち上げた
会社は いい作品を作る反面、予算をオーバーするのが当たり前のため経営状況が
 ひっ迫したという事はよく聞くので円谷プロも同じなのだろうし だからこそ経理の
プロが社内のスタッフに必要になる。

 ところが経理のプロのような存在は芸術家肌のスタッフには煙たい存在になる
ので、よほど理解のある経営者がサポートしないと力を発揮できない。

 我々ファンにしてみれば円谷プロにはウルトラをはじめとした 素晴らしい作品
さえ作ってもらえれば円谷一族が経営にタッチしてなくても問題は無いし、どんな
形でもウルトラの名前を残し続ける事が最重要課題だ。

 いい作品を作り出しても赤字も同時に出し続けるというのは決して健全ではない
ので何とかバランスを取れる人材を輩出して欲しいし、それが稀代のヒーローで
あるウルトラマンやセブンを作り出し設立50周年を迎えた円谷プロの使命では
ないだろうか。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
芸術家は経営者に非ず (柴田真紀)
2013-07-11 01:10:16
過去を振り返っても、一流の芸術家が、一流の経営者ではなかったことでも、わかります。
現在、一枚に何十億円もの値がついているゴッホは、生前、金がないので老人ばかりモデルにしていたそうだし、作曲家のフォスターは、家賃も払えなかったようです。
また吉川英治も、その日の食事を調達するのに、他人の畑の大根を盗んでいた、と自伝に書いてありました。
なんというか、そういう、貧困の中だからこそ、名作が作れたのではないか、とも思います。
う~ん、でも確かに、自分がそういう会社で働きたいか? という視点で見たら、答えは「NO」になってしまうわけですが…
 
 
 
ホントそうですね (こーじ)
2013-07-11 23:07:27
>柴田真紀様
 12年前に新婚旅行で函館に行った時に観光タクシーの
運転手が石川啄木の事を‘生涯1度も自分の給料を女房に渡さず遊郭遊びに現を抜かし遊女から結核をもらった末に死んだ不届き者’と酷評してました。

 名作を残す感性の人って金を湯水のように本能的に使ってしまう傾向が強いので、だからこそ黒澤明や円谷英二は予算内に きっちり収める事ができる本多猪四郎と
名コンビだったのかもしれませんね。
 
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