レパード玉熊のラストマッチから30年

 今から30年前の今日91年3月14日に東京武道館で行われたWBA
フライ級タイトルマッチで、王者のレパード玉熊は1位のエルビス
・アルバレスに0-3の判定負けで2度目の防衛に失敗した日である。

 同じサウスポーのアルバレスだが立ち上がりからアップテンポな
リズムで玉熊に対し手数で優位に立ち、接近するとクリンチで玉熊
の連打を寸断する形になりズルズルとラウンドを重ねて行く。

 中盤から玉熊も反撃し7Rと9Rは得意の接近戦に持ち込んで場内
を沸かせるが巧妙なクリンチで逃げられ、判定は118-111、116-
112、117-113という3-0の判定で敗れる形になった。

 アルバレスサイドには初防衛戦の相手ヘスス・ロハスのトレーナ
ーが付いており、対玉熊対策を徹底していたようだ。

 もともと玉熊は身長173cmとフライ級では長身のため対戦相手は
接近戦を挑む傾向があるのだが実は接近戦こそ玉熊の土俵であり、
望むところだったのでタイトルを奪取した李列雨戦は接近戦での細
かい連打で打ち勝ちロハス戦も同じく接近戦でのショート連打でポ
イントを挙げて分のいい引き分けに持ち込んだ。

 一方ロングレンジの攻防になると接近戦ほど巧くなく手数も少な
いため最初の世界戦で僅差の判定負けを喫した金容江戦などは、ロ
ングレンジの攻防で手数の差が相手のポイントに結びついてしまっ
た結果だった。

 つまりアルバレスは基本離れてロングレンジから軽いパンチでは
あるが手数を出してポイントを奪い、接近されればクリンチで玉熊
の連打を寸断するという戦い方を環椎した形だろう。

 とはいえ試合後に玉熊は左目の網膜剥離を告白しているのだが、
症状が急に来たのではなく何年か前からその症状が出ていたのでは
ないか。

 基本的に日本王者時代の玉熊はロングレンジの戦い方も決して下
手ではなかったのだが金容江戦あたりからロングレンジになると手
数が少ないという事が目立つようになり、アルバレス戦ではロング
レンジの戦いでは制圧されていたのを見ると少なくとも89年の金容
江戦の頃から網膜剥離の症状が出ていたのだと思ってしまう。

 当時のルールでは重軽傷に拘わらず網膜剥離=即引退という時代
だったので、そういう意味では鬼塚勝也もそうだったがロングレン
ジでの戦いも得意だった選手が突然接近戦が得意になるというのは
網膜剥離の症状が出始めているサインだったのかもしれない。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (ochimo)
2021-03-15 23:47:39
そうかもう30年も経つのですね。
生で見た李烈雨戦の印象があまりにも強烈だったので、網膜剥離だともわからずその後の2戦の戦いぶりを私はとても歯痒い思いで見ていました。インファイトに活路を見出さざるを得なかったようですね。
ただラストマッチでは、アルバレスが確か8か9のインタバルにセコンドに棄権を申し出ていたようです。玉熊のボディ打ちは見た目以上に効いていたんだと思います。
 
 
 
万全なら (こーじ)
2021-03-16 23:08:12
>ochimo様

 玉熊が万全なら勝てた相手だと思いますので、それを考えると眼疾は本当に残念ですね。

 眼疾さえなければ離れてよし、接近してよしという形で5回は防衛できていたのではないでしょうか。
 
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