もはや具志堅越えに価値はない!

ボクシング界 価値下がる世界王座連続防衛…強い王者ほど“ステージアップ”

 早いもので井上尚弥がWBAバンタム級タイトルマッチでジェイミ
ー・マクドネルに1RでTKO勝ちし3階級制覇を達成して2週間経つが、
オファーが来ていたバンタム級のWBSSへの参戦を表明した。

 WBSSはバンタム級最強を決めるトーナメントで賞金は凄いものに
なる一方で、当然ながら敗れるとタイトルを失うという正しくハイ
リスク・ハイリターンのだが‘誰が一番強いのか?’を分からせるファ
ンにとって最高のイベントになるのは間違いない。

 井上がの場合は優勝するまで3試合戦うらしく初戦がアメリカで、
2試合目が日本で行われ最終戦はイギリスというのが有力だから日本
ボクシング界が長年しがみついていた地上波TVとタッグを組んだ興
行システムとは真逆を行くものだ。

 こうしてみると もはや井上に具志堅用高の13連続防衛越えという
価値観は当て嵌まらないというのが分かるだろう。

 20世紀までの日本ボクシング界は世界タイトルを1回でも多く防衛
する事に拘りを見せており、その頂点が13度の防衛を果たした具志堅
の記録を抜く‘具志堅越え’というものだった。

 ところが21世紀に入り日本もWBAとWBCだけでなくIBFとWBOと
いう4つの団体が乱立する事になったため世界ランカーの質も落ちて
おり、長く防衛する場合は格下挑戦者を選ばざるを得ないケースが増
えるわけで結果的にボクサーの力を錆び付かせるリスクが高くなる。

 さらに具志堅は13度の防衛を4年かけて達成していたのだが最近は
試合間隔も長くなり多くて年間3試合という形になるので、山中慎介
もタイトル奪取から5年4ヶ月かけて12度の防衛だから今のペースで
14度防衛するまでに7年ぐらい同じタイトルを守り続ける必要がある。

 そうなれば年々体重が落ちづらくなり減量苦に苛まれる事になるし、
先述したように挑戦者の質の低下からモチベーションも低下するとい
うケースが出て来る。

 最近のスーパースターといわれるボクサー達は強豪相手以外には
戦おうとしないケースが多く、必然的に二桁防衛をする前に対戦に
値する相手がいなくなればタイトルを返上して上の階級に上げてい
くというのが最近の傾向だ。

 実際に井上尚弥もデビューはLフライ級だがタイトルを奪取して
初防衛に成功すると体重苦から2階級上のSフライに上げて2階級
制覇したものの、3年の間に再び体重苦に苛まれローマン・ゴンサ
レスをはじめとした他団体の王者との統一戦も決まらずにバンタム
級に上げたのだった。

 一方で山中慎介は他団体との統一戦が決まらず徐々にボクシングが
粗っぽくなっていたし、内山高志はジムサイドに具志堅越えの頭しか
ないため防衛回数を重ねるスタイルに埋没し最終的にモチベーション
を切らして相性の悪いジェスレル・コラレスから敗れる事に。

 ちなみに山中など統一戦ができないためルイス・ネリとの13度目
の防衛戦に成功したら、そのまま引退しようと考えていたという話
があるわけで選手自体も具志堅越えよりも更なる強敵相手の試合を
望む傾向が強い。

 そんな中で具志堅越えに拘るのは時代の流れに無知な民放地上波
TV局やジムの会長という事になるわけで、具志堅越えが無意味とい
う事を証明するためにも井上尚弥にはWBSSで優勝して欲しい。

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