正義のヒーローには弱点が必要

　以前 記したようにキカイダーシリーズに登場したキカイダーのライバルである
ハカイダーはキカイダーの時には脳の血液を入れ替えないと脳自体が死んで
しまい、そうなるとハカイダーの能力はダークの戦闘員であるアンドロイドマン
以下になるという弱点を持っていた。

　ところが01では脳の持ち主であるプロフェッサー・ギルが死んでいたからか、
血液の入れ替えという描写は全く登場しなかった。

　正義のヒーローというのは必ず弱点を持っているのが定番だ。

　ウルトラシリーズのキャラは3分間を目安にした活動時間の制限があったし、
唯一具体的な時間制限がなかったセブンも最終EPでは度重なる戦いの
ダメージでボロボロになっているのが印象的だった。

　風力をエネルギー源にしている仮面ライダーも風のない部屋に閉じ込められて
ピンチになったり、V3などでも初期は自分の能力を使いこなせずに苦戦する
ケースが目立つ。

　これはマジンガーZも当初は操縦者である兜甲児がマジンガーZの操縦に慣れ
ずに操作で右往左往するシーンがあったし、海底に潜れないとか空を飛べない
などという弱点があった。

　正義のヒーローは強さだけでなく弱点を持ち併せてないと視聴者がハラハラ
せず盛り上がらないという傾向が特に日本では強く、アクション映画でいえば
無敵状態のスティーブン・セガールのシリーズよりボロボロになって最後に
大逆転で勝つシルベスター・スタローンやブルース・ウィリスのシリーズの方が
人気があるのは そのためだろう。

　これは怪獣映画でもいえるわけで人類の味方のガメラは基本的に体にダメー
ジを負いながら最後に勝つというパターンだったのに対し人類に敵対していた
頃のゴジラは無敵の強さだったのが70年代に入って人類の味方に成り下がって
からは苦戦するケースが増えたのも そのパターン。

　それを考えると光明寺博士の脳だったキカイダー版のハカイダーは悪キャラと
はいえ悪のヒーローだったのに対し、01でのハカイダーは完全な悪人になった
という事になる。