勝っても 殆どのファンから賞賛されず、負けたら地 獄を見る世界戦

「12月26日に開催される亀田興毅対アレクサンドル・ムニョスのWBAバンタム
級王座決定戦だが、このカードに違和感を抱いた人は多いだろう。
　当初対戦する予定だった7位のロレンソ・パーラは亀田がSフライ級2位からバン
タム級2位にスライドされると同時に3位に昇格したものの25日前計量で5㌔の
体重超過をしていたので出場にストップがかかる。

　そこで新たな対戦相手として浮上したのがブランクがちで低調なムニョスとは・・

‘亀田祭り’に箔を付けたいTV局の意向もあるだろう。

‘Sフライ級は順番待ち状態、ならばバンタムで’という考え方が透けて見えるし
‘タイトル’ありきになっていないだろうか。」

　というのは今月号のボクシングマガジンの編集部通信で‘その行為 ファンを
裏切ってませんか？’というタイトルで掲載されている。

　そう、明日さいたまスーパーアリーナで行われる亀田3兄弟が競演する「亀田
祭り」のメインとして行われるのが亀田興毅が3階級制覇をかけて行うWBAバン
タム級タイトルマッチだが、上に記したような いわくつきの世界戦で正直言って
‘まだ懲りないのか’という感想である。

‘世界戦は結果が全て’とは言うものの、これでは たとえ勝っても評価されず負け
たら‘あんなロートルに負けて’と酷評される進むも退くも地獄の世界戦を組むの
だから彼らの思考回路は どうなっているのか？
　
　3月に亀田が完敗したポンサクレックは その後 下位ランカーとの防衛戦を行って
いるが いずれも苦戦続きで全盛時の面影なしという状況で、亀田の弱さが際立つ
結果になっておる。

　中継するTV局にすれば同じ時間帯にNHKが坂の上の雲の最終回、TV朝日が
M-1グランプリ、フジはフィギュアスケートの日本選手権と強力な裏番組があるので
対抗するために大毅のフライ級タイトルの防衛戦だけではインパクトが小さいと
考えての企画だろうと思われる。
　
　ただ3月のポンサクレックに完敗しWBCフライ級王座を失った試合の観衆は1万人
以上の収容人数を誇る会場に2千人足らずだったというように会場に足を運んで見
ようとするファンは一握り。

　一家が観客動員数より執心なTV視聴率も強力な裏番組とバッティングするので
3月の試合以上に苦戦するのが目に見えている。
　特に3月はフィギュアスケート世界選手権と時間をずらすために19:00からだった
のを21:00からに急遽変更したという話もあるのだが、今回は共に同じく2時間枠
なので それもできないだろう。
　ましてや浅田真央が今日のSPでトップに立っているのだから、完全にバンタム級
タイトルマッチと浅田真央の視聴率争いになる。

　仮に大毅以外の2人がノンタイトルでも大毅が強敵の暫定王者：ルイス・コンセプ
シオンと統一戦を行うなら大いに興味を持てるのだが、大毅は明らかに水増しで
階級を上げてきた13位のシルビオ・オルティアーヌ相手だから拍子抜けもいい
ところだ。

　ボクシングの素晴らしいところは、どんな過保護なマッチメイクでランクを上げた者
でも いつかは必ず本当の実力が白日の下に晒されるところだ。
　それに対して亀田兄弟は古井戸に棲んで日光から逃れようとする金目ガエルの
如く、強敵との対戦を回避続けているとしか思えないのだ。

　3月にポンサクレックに敗れて無敗という呪縛から解かれたのだから今度こそ
強敵とグローブを合わせてロードバックする姿を期待したのだが、こういう
事をやっていてはアンチが増えても心から応援するファンは減る一方だと思う
のだが。