もはや複数投手制でなければ甲子園で優勝できない

 大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた今年の選抜高校野球だがWBCの開催
時期と重なっただけでなく、延長15回引き分け再試合が2試合連続
になった事から例年以上に球数に対する注目度が増した大会だった。

 何せMLB選手をはじめとした超一流の投手達がシーズン開幕前と
いう事から厳格な球数制限に従って投げているのに対し、体ができて
ない高校生の投手達が1試合に200球前後投げるだけでなく連投も辞
さずというのだから違和感を感じて当然だろう。

 ただし救いは福大大濠のエース・三浦銀ニが2回戦の滋賀学園戦で
延長15回を200球以上投げただけでなく、中1日置いた再試合でも
登板し完投した翌日の報徳学園戦では登板を回避してチームが敗れた
にも拘らず批判的な声が一切聞かれずに むしろ賞賛されていた事。

 八木啓伸監督は‘優勝を狙っていたので疲労度から考えて休ませ
られる試合は準々決勝しかなかった'と語っていたのだが個人的には
新チーム結成以来、全ての公式戦の全イニングを三浦が1人が投げ
ていたという事自体に危機管理がなってないと思うのだ。

 甲子園で優勝を狙うのに1人で全イニング投げての優勝というのは
打撃レベルが以前とは比べ物にならないぐらいに上がった現在では
無茶な話で複数投手を揃えて臨む必要があるし、そのためには予選
から控え投手にも投げさせる機会を与えながら勝ち進まなければな
らない。

 以前ならエースが故障などでコンディションが悪くてもエースと
心中というスタイルで十分勝てたのだが、今はコンディションの悪
いエースよりもコンディションのいい控え投手で臨まないと勝てな
いようになっている。

 複数投手制は層の厚い私立の強豪に恩恵を与え、公立校には酷な
システムだといわれるが今から10年前に夏の甲子園で優勝した佐賀
北は複数投手制を敷いていたチームで公立校でも十分勝てるという
事を証明している。

 確かに昨夏の甲子園で好投手・藤平尚真を擁した横浜や寺島成輝を
擁した履正社、高橋昴也を擁した花咲徳栄などが2番手投手を先発
させた試合で立ち上がりに喫した失点を返せずに敗れているように
複数投手制というのはリスクが高い。

 更にエースも己に対する自負心から少々コンディションが悪くて
も大丈夫だと言い張るわけで、そこを見分ける能力が監督には必要
になってくる。

 ただ最近の世論は今年の福大大濠のように疲弊したエースを起用
せずに敗れても批判は少ないし、むしろエースを酷使して勝つ方に
批判の目が行くような流れになっており公立の佐賀北が複数投手制
で優勝しているのだからコチラの方に舵を切るべきだろう。

 ボクシングの名レフェリーといわれたリチャード・スティールは
‘命に勝るファイトはない’と語っていたが、将来ある選手を潰し
ての優勝に意味はないのだから。

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