不毛だったプロ・アマ対立に別れを告げて出た結果

村田が「銅」以上確定＝ボクシング男子ミドル級〔五輪・ボクシング〕(時事通信) - goo ニュース

　日本時間の今朝行われたロンドン五輪のボクシング・ミドル級のQファイナル
で日本の村田諒太がトルコのアダム・ルキッチに17－13で判定勝ちしてベスト
4に進出、前日のバンタム級・清水聡に続いてメダルを確定した。

　アマチュアボクシングは3位決定戦がないためベスト4に残ればメダル確定
という事でベスト8が最大のヤマ場になるのだが、日本勢にとっては68メキ
シコで森岡栄治がバンタム級で銅メダルを獲得して以来72ミュンヘン・小林
和夫（ロイヤル小林）76モントリオール・関義文、84ロス・黒岩守、88ソウル・
松島勝之と4大会連続でベスト8止まりで実に44年ぶりのメダルで1大会での
複数メダル獲得は史上初の快挙でもある。

　92バルセロナからは大陸予選などが行われ始めた関係で年々出場階級を
減らし04アテネに至っては予選で全滅し出場すらできなかったのが、棄権者
が出たため辛うじてLフライ級の五十嵐俊幸が出場できるという屈辱にまで
追い込まれたのだ。

　この著しいレベルダウンの元凶がボクシング界のプロ・アマ断絶。

　というのも日本のアマチュアボクシング界は基本的にプロを目の敵にして
いるとしか思えないぐらい毛嫌いしている雰囲気があった。

　特に90年代に入ると その傾向が顕著で中岸風太が中学時代にプロのエキ
シビションに参加したことを理由にアマチュア選手登録を停止され裁判に至った
り、粟生隆寛が高校時代に6冠に輝きながらプロ入りが決まっていたという理由
で表彰すらされなかったりとプロ・アマ断絶が話題になる事はあっても肝心の
成績は全く振るわずにJBC幹部から叱責され大恥をかいた事も。

　実は88ソウルまでは非公式にトップアマの選手達がプロとスパーリングを
したりと交流があったものの90年代に入ってからは ほとんど関係断絶となって
いたらしい。

　それが2010年にプロに対する理解が深い山根明が副会長に就任して11年
には会長になるとプロ・アマの交流が復活し、五輪代表選手が帝拳ジムに
出稽古に行ってプロの世界王者とスパーリングをするなどが話題になった。

　そんな中で昨年の世界選手権では最も層が厚いといわれるミドル級で村田
亮太が銀メダルを獲得しアマチュアボクシングの復権を大きくアピールしたと
同時に、南海キャンディーズの山崎静代の五輪挑戦が話題になる。

　さらにロンドン五輪でも清水聡が2回戦で理不尽な判定を受けて負けにされ
たのを猛抗議して判定が覆った事などをみると、以前の体制では考えられない
事だったわけで いかに現在の山根体制が まともか分かる。

　そもそも日本のアマチュア志向はスポーツを修行と捉える者達が、修行の
結果を発表する試合で勝利のみに拘り金儲けの手段と考えるプロを卑しい
者という解釈をしていた。

　特にアマチュアボクシングの関係者には そういう考えが多かったわけで
五輪がプロの大会になったにも拘らずアマチュア思想の堅持を勝利やレベル
アップ以上に位置付けていたのだから本当に90年代のアマチュア選手達は
気の毒だった。

　残念ながら いくらアマチュアの理念を声高に主張しても勝利という結果が
伴わなければ世間は評価せず国際競争力を失った競技は衰退するという理論を
実証するかの如く、92バルセロナからはBSの参入で多チャンネルになったにも
拘らず五輪でのボクシング中継は激減し一般の視聴者から存在すら忘れられて
いたのだ。

　昨年の世界選手権に続き一般のスポーツファンが関心を持つ五輪で複数
メダル獲得という結果が出たので、間違っても かつてのプロ・アマ断絶という
暗黒時代には戻らないとは思うが いかにトップレベルのプロとの交流が大事
かという事が証明されたわけだ。

　これで厳格なアマチュアリズムが いかに競技の発展を阻害しているかという
のが証明されたし、アマ信仰の象徴の修行スポーツの趣が強い柔道が凋落した
のも当然ではないだろうか。

　マスゴミも時代遅れな厳格なアマチュアリズムを否定しても賞賛してはいけ
ない！